二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.1

 食事の後、沙綾香には自由時間が与えられた。とはいえ、すでに疲労困憊の彼女に出来ることは多くない。シャワーを浴びながら歯を磨いた後は、ベッドに倒れこんで寝息を立てはじめる。

「へへへ。ただ寝てるだけだってのにそそりやがる」

「ああ、何でなんだろうな。俺はガリガリな女よりはムッチリしてた方がいいし、肌も小麦色に焼けたのが好みなんだが……あのガキから目が離せねぇ」

「まるでエルフ……いや、淫魔(サキュバス)だなありゃあ。人間が醸し出すエロさじゃねぇよ」

 マーキス達は眠り込んだ沙綾香を眺めながら、怒張を扱き上げる。今にもまた襲い掛かりそうだ。

「テメェら、手出すんじゃねぇぞ。マスターベーションも禁止だ。一旦外出て大人しくしてろ!」

 ロドニーが唸るように告げると、黒人共は未練がましく沙綾香を振り返りつつ、部屋の一角にある自動ドアの前に立つ。

「これ、面倒くせぇよな。いちいち3、4秒待たされてよ」

「たしか、データ登録されてるヤツしか通れねぇんだよな。セキュリティが厳重なのは結構だが、そのせいで不便になっちゃいい迷惑だぜ」

 黒人共は、口々に愚痴を垂れる。ドアの前のセンサーが赤から緑に変わり、扉が開いてからも、悪態は止まらない。

「随分と不満が多いみたいだな、お前の手駒は」

 俺はこれまでの意趣返しで、目の前の端塚に語りかけた。

「…………お恥ずかしいところをお見せしました」

 端塚は眼帯のない右目を伏せ、ティーカップを傾ける。この男にしては珍しく、苛立ちの感情を露わにしながら。


 そこから、何時間が経っただろう。

 俺の方も食事を済まし、端塚のチェスの誘いを断り、眠る沙綾香を見守りながら、どうにか逃げ出せないかと考えを巡らせていた時。例のセンサーが反応し、誰かが下の部屋に入ってくる。

 調教師連中が戻ってきたのかとも思ったが、違った。白衣に身を包んだ若い女だ。ロシア辺りとのハーフなんだろうか、顔立ちはアジア寄りだが、腰まである髪は白い。そしてその色に相応しい、クールな雰囲気を纏う美人だった。正直にいえば沙綾香の方が魅力的だが、そもそもにして沙綾香ほど男を惹きつける女性など滅多にいない。

「よう、来たか百合」

「ご無沙汰しております」

 振り返った手越に対し、百合と呼ばれた女性は深々と頭を下げる。この施設の女性従業員にはよく見られる態度だ。エレベーターガールも、受付嬢も、ウェイトレスも、男に対して従順だった。彼女もまた、倶楽部の調教を受けた奴隷なんだろうか。

「ヘイ! 起きろ、お姫様!!」

 ロドニーが新聞を折り畳み、分厚い掌を打ち合わせる。

「ふあっ!?」

 風船でも破裂したようなその音に、沙綾香の身体が反応する。

「…………ぁれ、センセ…………?」

 沙綾香はうわ言を呟きながら目を開く。俺の腕の中で眠る夢でも見ていたのか。つい今朝まで、それは俺達にとっての現実だった。だが今となっては、まさに“夢”だ。それを思い出したらしく、沙綾香の表情が暗く沈む。

「先生がいなくて残念だったな。だが代わりに、別の顔馴染みを呼んどいたぜ」

 手越はそう言って、自分の隣を指差した。沙綾香はその指の先に視線を向け、息を呑む。

「えっ……せ、生徒会長!?」

「御機嫌よう」

 驚く沙綾香に対し、百合は落ち着いたものだ。クールというより、どこか人形めいて思える。


「あの子も、蒼蘭女学院の出身なのか?」

 俺が問うと、端塚は静かに頷いた。

「はい。八金 沙綾香よりも2学年上で、彼女が入学した時に生徒会長を務めていた生徒です。名は高津 百合(たかつ ゆり)。女学院の歴史の中でも、指折り数えられるほど優秀な生徒だったと記録されております」

「蒼蘭の理事長は、そんな生徒にまで『課外学習』を命じたのか」

「ええ。『課外学習』の対象には、見目がよく、将来有望な生徒が優先的に選ばれます。その基準に照らした場合、生徒会長が選出される可能性は高いのです」

 生徒会長は、女学院の『金の卵』を統率するに足ると認められた存在。当然、価値が高いというわけか。その箔を凌駕する家柄とルックスを持つ沙綾香がいた今年は、かなりイレギュラーな年なのかもしれない。


「なんで、生徒会長が……お父さんみたいな政治家を目指して、国立の大学で勉強してたんじゃないんですか!?」

「大学には通っているし、政治家になる夢も捨ててはいないわ。けれどそれはあくまで、この倶楽部に貢献するための手段なの。この倶楽部が活動しやすいように、法律を変えるのが私の使命よ」

「この倶楽部が、活動しやすいように……? ここがどんな場所か、わかってて言ってるんですか!」

「勿論よ」

「そんなのおかしい! そ、それに、その髪……どうして真っ白なんですか? 一体ここで、何をされたんですか!?」

 あくまでクールな百合に対し、沙綾香の取り乱し方は相当だ。彼女の記憶にある百合は、よほど常識的な人間だったんだろう。そしてどうやら、髪も元から白かったわけではないらしい。

「そう喚くな。これから見せてやる」

 手越はそう言って右手を上げた。視線の先は、俺のいるフロアの更に上。おそらく、このエリアを監視している人間へのサインだ。

 すると、数秒後。下のフロアに設置された大型モニターが起動し、何かの映像を映し出す。壁一面を覆うサイズだけに、まるで映画館さながらだ。



                 ※



 映し出されたのは、腰まである艶やかな黒髪を風に靡かせ、颯爽と歩く一人の少女だった。

 沙綾香と同じ制服だが、襟についているバッジの模様は違う。隙のない佇まいは一瞬藤花を思わせるが、剣呑な気を放つ彼女と違い、映像内の女性に近づき難さはない。達観したオーラという意味では、むしろ桜織に近い。名門女子校の生徒会長と言われれば、なるほどと納得するしかない存在感だ。

「懐かしいだろ。テメェが現役の女子高生だった頃の映像だぜ」

「はい。懐かしゅう御座います」

 手越の呼びかけを、百合が肯定する。ということはやはり、あの艶やかな黒髪の少女が百合なのか。


 映像が切り替わった。

 石牢を思わせる場所に、一糸纏わぬ姿の百合がいる。そしてその百合を、黒いラバーマスクを被った調教師風の男が取り囲んでいた。和やかな空気には見えない。百合の静電気でも発するかのような気配は、周りの男が敵であることを如実に物語っている。

『お前には、奴隷になる上で邪魔な要素が2つある。その小賢しい頭と、クソの役にも立たんプライドだ。よって今から、お前の自我を崩壊させる。繰り返し犯し、辱めて、お前の思想を根本から変えてやる』

 百合の右側に立つ一人がそう宣告する。沙綾香が下に落とされて間もない頃、手越がした宣言とほぼ同じだ。あの言葉を聞かせることが、奴らのいう『洗脳』の第一歩なのか。

『軽率ね。洗脳が目的と判った以上、そう弁えて自衛をさせてもらうわ。今あなたが口を滑らせたことで、私を篭絡できる見込みはなくなったのよ!』

 百合は右の男を睨み据え、毅然とした態度で言い放つ。既視感のある光景だ。手越が沙綾香に言った、先輩もそんな言葉を吐いていた、というのはこれのことか。


 また、映像が切り替わる。

 場所はさっきと同じ、石牢を思わせる空間だ。ただし今度は、百合が床に這いつくばり、大口を開けて泣き叫んでいた。その背後では、例の黒マスクを被った男が激しく腰を使っている。

「さっきはあんだけ格好つけてやがったくせに、えれぇ騒ぎようじゃねぇか。こん時はどういう気持ちだったんだ、百合?」

「私はこの時に、一人前の大人にしていただきました。しかし、当時の私は愚かにもそれを嘆き、耳障りな悲鳴を上げてしまっております。誠に申し訳ございません」

 手越に問われ、淡々と答える百合。その内容に、ベッドの上の沙綾香が顔を引き攣らせる。あの空間で唯一、俺と同調する反応だ。

 さほど広さがあるようでもなく、窓もない閉塞的な空間。そこで百合は、数人の調教師に犯され続けたようだ。後背位で、正常位で、騎乗位で。口枷を嵌めた状態で逸物を咥えさせられたり、浣腸されて粗末な桶に排泄している映像もあったが、圧倒的に多いシーンは輪姦だ。

 数人がかりで代わる代わる膣を犯しては、膣内に射精していく。

『時間はいくらでもあるんだ、確実に孕ませてやる』

 そんな、悪意に満ちた言葉を吹き込みながら。

 複数人から繰り返し大量に膣内射精され、いつ妊娠してもおかしくない、という状況が女性に与えるストレスは甚大だ。痛みや誘惑に辛抱強く耐える女が、妊娠の恐怖で狂う例は少なくない。

 この端塚の言葉は、百合にも当てはまった。

『いやああああっ、妊娠はいやっ!! 妊娠したくないいいっっ!!!』

 破瓜の時以来、犯され続けてもじっと耐えていた百合は、妊娠の恐怖によって心の均衡を失ったようだ。だがそうして晒された弱点を、調教師共が抉らないはずがない。連中は百合の膣に漏斗を刺しこんだ上で精液を浴びせ、精液がすべて膣内に注がれる状況を何度も作った。時にはわざわざビール用のジョッキ一杯に精液を溜め、それを膣に流し込んでいる映像もあった。

「ひ……ひどすぎる、何あれっ!!!」

 沙綾香が悲鳴を上げるのも無理はない。映像に映っているのは、純然たる悪意だ。そしてその悪意に晒されつづけた百合は、緩やかに狂っていった。目が虚ろになり、意味のない言葉を発しはじめ、頭髪は白く変色していく。

 そうして自我崩壊が決定的になったところで、今度は徹底的に快楽を刷り込まれたらしい。

 乳首に何かの注射が打たれ、百合の全身が痙攣をはじめたところで、ひたすらセックスを繰り返す。レイプを目的としていた最初とは違い、まるで恋人同士がするようなねっとりとしたセックスだ。

 それを受けて、恐慌状態にあった百合の顔は緩んでいく。最初の映像と同じ人物であるとは思えないほどに。

「ずいぶんと気持ち良さそうじゃねぇか。この時の事を実況してみな」

 手越にそう命じられ、百合が無表情のまま口を開く。

「この時は……記憶が定かではありません。身体中を駆け巡る快楽に溺れるばかりで、自分が何を口走っているのかすら気に留めてはいませんでした。今、映像を目の当たりにして、少し驚いています。まさか、これほどの淫語を口にし、こんな表情を晒していたとは…………」

 確かに、この映像は“酷い”としか言いようがなかった。

 大画面に映る表情は、どう贔屓目に見ても気が触れている。唾液を散らしながら発される言葉は、およそ日本の女子高生が発するものとは思えない下劣さだ。いい歳をした男である俺でさえ、聞くに堪えない。根が純情な沙綾香ともなれば、縮こまったまま耳を覆って震えている。しかし、当の百合は涼しい顔だ。少し驚いていると語っていたが、果たして本当なのか。


 映像が途切れる。

「ここまでが『洗脳』部分だ。この後は記憶を消して、地上に解放してやった。だよな?」

「はい。その通りです」

 手越の言葉を、淡々と肯定する百合。しかし沙綾香は、その流れを受け入れられないようだ。

「嘘……。生徒会長、『課外学習』から帰ってきてからも、全然変わったとこなんてなかったじゃん。相変わらず格好よくて、みんなの憧れで。それが、あんな……」

 頭を抱えながらうわ言のようにそう呟き、そして顔を上げる。 

「そ、そうだ、髪の色! 生徒会長、卒業までずっと黒髪でしたよね!? もしあの映像が本当なら、白い髪になってる筈でしょう? だからあんな映像、全部ウ────」

「ああ。髪はね、ウィッグを付けていたの。課外学習から戻って以来、私はずっと白髪よ」

「え、え……だ、だって、そんな……。いくら何でも、髪が真っ白になってるなんて、明らかに変じゃないですか! 一体、どんな理由で納得してたんですか!?」

「確かに、気にはなるわね。でも、どういう理屈で納得してたのかは思い出せないわ。だって私は、女学院を卒業してからすぐに……」

 百合がそう語り始めた、ちょうどその時。モニターにまた映像が映し出される。

 

 映像内では、百合が上から覆い被さられる形で黒マスクの調教師に犯されていた。その光景自体は、さっきまでの映像で散々目にしたものと大差ない。ただ、場の空気は大きく違う。

「はぁ、はぁっ……いやあああっ、誰かっ! 誰か助けてえええっ!!!」

 男に圧し掛かられながら、百合は顔を歪めて絶叫していた。前の映像の最後で見た、快感に蕩ける顔じゃない。犯している側も、相手の猛烈な抵抗を予想してか、左右に2人がついて手首足首を押さえこんでいる。まるで、初めて犯す時の雰囲気だ。

「先輩、元に戻ってる……?」

「ああ。女学院を主席で卒業して、輝かしい未来に邁進してる最中だからな。本来は相応の肩書きやら人脈を掴ませてから再調教するんだが、こいつは目指す先が政界だからよ。大成してからじゃ手が出しづれぇってことで、早めに“弁えさせた”わけだ」

 沙綾香の問いに答える手越は、誇らしげだ。政界入りするような女を奴隷にしている、という事実が随分と嬉しいらしい。

『思い出せ。お前はレイプで感じる変態女だ』

 百合に覆いかぶさる調教師は、激しく腰を打ちつけながら、そんな言葉を何度も繰り返していた。そしてその言葉は、映像が進んでも繰り返され続けた。

 ペニスを根元まで咥えさせ、背後から犯している時も。

 首筋を舐りながら膣を突き回している時も。

 騎乗位で腰を振らせている時も。

『違う! レイプなんかで感じないわ!!』

 百合は何度もそう主張し、抗い続けていた。だがその頻度は、映像が先へ進むほどに下がっていく。それは、彼女の意思が弱いからじゃない。この『再調教』が、一度目の『洗脳』に輪をかけて凶悪だからだ。

 映像の中の百合は、まさに穴という穴を穢されていた。膣や肛門、口は勿論、耳の穴や鼻の穴にさえ白濁を浴びせかけられる。汚物を絡めた恥辱責めも頻繁に行われていた。

 犯し、辱め、犯し、辱め、犯し、辱め、犯し、辱め……。ダイジェスト映像を見ているだけで胸焼けするほど、徹底的な調教。

「う゛っ!!」

 沙綾香は途中で口を押さえてバスルームに駆け込み、便器に胃の中のものを吐いていた。俺も吐きこそしないものの、嘔吐の感覚が常に喉元まで迫っている状態だった。

 そして、ダイジェスト映像が始まってから数十分後。百合への再調教は、ついに完成の時を迎えたようだ。

 最後の映像は、背筋が凍るものだった。

 醜く肥え太った数人の調教師が、四方八方から巨体を密着させ、百合の身動きを封じている。連中はその上で、百合を弄んでいた。

 執拗に逸物を咥えさせ、手で扱かせ、腋で扱き、乳房に亀頭を擦りつけ、閉じあわされた股へ割りいるように挿入し。ほんの少しでもスペースが空けば、そこに精液まみれの逸物を擦りつけるという状態だ。

 普通の少女なら、そんな状況には耐えられない。顔を歪めて絶叫するに違いない。だが、映像内の百合は達観したような表情を見せるばかり。

『ありがとうございます』

 彼女は時おり、感謝の言葉を口にしていた。その言葉が発されるたび、彼女の足が開かれ、その合間から男が離れていく。どうやら膣内射精されるたびに感謝しているらしい。


『ありがとうございます』

『ありがとうございます』

『ありがとうございます』

『ありがとうございます』

『ありがとうございます』


 裸の男女が芋虫のように蠢く中、抑揚のない百合の言葉だけが繰り返される。その異様過ぎる光景を最後に、映像は暗転した。


「また一人、倶楽部に服従を誓う奴隷の出来上がりってわけだ。今やコイツは、政治家を目指して勉学に勤しみながら、エロマッサージのバイトに精を出す女子大生よ。なあ百合。今日は何人“相手”したんだ?」

 手越はそう言いながら、隣にいる百合の肩を抱き寄せる。やや乱暴な動作だが、百合は嫌がる素振りを見せない。

「本日は、マッサージ4件を行いました」

「ほう。それ以外は?」

「施術後に、おまんこを6回、アナルを5回ご使用いただきました」

「はははっ! 相変わらず人気だなぁお前ェは。ま、見た目がいいからな。結構噂になってんぜ。白い髪の女はオイルマッサージがうまい上に、クールな美人だから犯し甲斐があるってよ。お前が出勤してねぇ日は、常連客からクレームが来るそうだ。まったく、バイトにしとくにゃ勿体ねぇよ」

 下卑た会話が繰り広げられる。性器を『おまんこ』と表現するのは、いかにも彼女らしくない。奴隷の使うべき言葉として、調教師に強要された結果だろう。


「さて、奴隷堕ちの前例は見せた。後はお前が、同じレールを進むだけだぜ」

 手越はそう言って、沙綾香の方へ向き直る。

「イヤ!!」

「まだ解ってねぇらしいな。奴隷に拒否権なんぞねえんだよ。しゃぶれと言ったらしゃぶれ、喰えといったら喰え」

 ロドニーがダイニングテーブルに置かれた器具を掴む。手の平に収まる大きさの、鼻と口を覆うフルフェイスタイプの吸入器。器具の上部には小さな薬液ボトルがついている。ボトルの中の薬をガスにして吸わせる仕組みだろうか。

「来ないで!」

 沙綾香は逃げようとするが、恐怖に竦む足で黒人のバネに敵うはずもない。あっという間に追いつかれ、身体を羽交い絞めにされてしまう。

「は、離してぇっ!!」

 ロドニーは沙綾香の抵抗などものともせず、丸太のような腕で頸部を固定しつつ、吸引器で口を覆う。さらに人差し指で側面のスイッチを押せば、数秒でガスの漏れる音がしはじめた。沙綾香は必死に身を捩るが、裸締め同然の拘束から抜け出すことは不可能だ。

「ん゛っ、んん゛っぐっ!! う、う……んん゛、ん゛ー……っ!!」

 沙綾香が苦し紛れに天井を仰いだ時、すでにその瞳孔は開いていた。そして直後、細い身体が凍えるように痙攣を始める。劇的な反応だ。明らかに、この部屋のガスを吸った時のそれじゃない。

「おお、いいツラだ。女に初めてシャブ打った日を思い出すぜ。シャブってなぁ打つと疲れが吹っ飛んで、猛烈に性欲が湧き上がってくるんだよな。その状態でやるセックスは、シラフん時の比じゃねぇ。だから一度でもシャブ打ってセックスした女は、病みつきになってシャブセックスから離れられなくなる」

 手越がそう言うと、沙綾香の視線が揺らいだ。

「へッ、ビビったな。お前は調教の目玉だからよ、容赦はしねぇ。お前にはそれを、2時間おきにたらふく吸わせてやる。その上で、休まず寝かさず快楽漬けだ」

 手越が言葉を重ねるたびに、沙綾香の怯えが加速していく。


 さらに数秒ガスを吸わされ、ようやく吸引器が取り去られた頃、沙綾香の様子は目に見えておかしくなっていた。

「ふっ、ふひゅっ……ふひゅっ……」

 首でも絞められたように目を見開いたまま、不自然な呼吸を繰り返す。寒さに凍えるような痙攣もますます酷くなり、少し離れた俺の位置からでも、顔中が汗で光っているのが見て取れる。ロドニーは、そんな沙綾香を無造作にベッドへ放った。ベッドにはすでに百合の手で、大判の青いタオルが敷き詰められている。

「さて。出番だぜマッサージ師」

 手越が声を掛けると、百合は自らもベッドに上がり、肌が透けるほど薄い白手袋を両手に嵌めた。そして何かのボトルを拾い上げ、中身を手の平に受けると、半身を起こした沙綾香の乳房を背後から掴む。

「ひいっ!?」

 乳房を覆われただけで、沙綾香からは悲鳴が上がった。乳首でも捻り上げられたような反応だ。ガスの効果で、かなり敏感になっているらしい。

 その反応を前にしても、百合の表情に変化はない。あくまでも淡々とボトルの中身を塗り伸ばす。白い乳液のようなものが、桜色の沙綾香の身体を覆っていく。

「せ、先輩。何ですか、これ!?」

「特製のマッサージオイルよ。こうやって肌に馴染ませると、身体の奥からじんわりと温まってきて、感度が上がるの」

「え、い、嫌ですっ!! ただでさえ敏感になってるのに、これ以上なんて……う、あっ!!」

「あら、もう感じてきたの? 感度がいいのね」

 百合は巧みな手つきでオイルを塗りこめていく。いくら敏感になっているとはいえ、脇腹や下腹、太腿を撫でられただけで身体が左右に揺れるというのは、明らかに普通じゃない。

 百合の手は沙綾香の身体中を弄るが、性器にだけは触れない。代わりにその周辺……特に乳輪や内腿は、入念過ぎるほど執拗に刺激していた。それは、沙綾香の性感を確実に昂ぶらせているようだ。

 もう十数度目にもなるだろうか。百合の10本指が内腿に集まり、触れるか触れないかというソフトタッチで、上から下に撫で上げた。すると、その直後。

「ひうんんんっ!!!」

 沙綾香が固く目を瞑りながら悲鳴を上げる。下半身の動きも凄い。足裏が完全にシーツから離れ、宙に浮いた足指はすべて丸まっている。内腿の溝もかなりくっきりと刻まれている。まるで……

「達したのね?」

 間近でその変化を見ていた百合が、沙綾香に確認する。沙綾香は首を振って否定するが、うっすらと開いた瞳に力はない。

「嘘は言わないで。女を騙せるわけがないでしょう」

 百合は内腿の指を滑らせ、割れ目の縁に指をかけて左右に押し開いていく。

「いやあっ!!!」

 沙綾香のその叫びは、割れ目の中に変化があると認めたのも同じだ。

「ほら。こんなに濡れ光って、息をするように動いているわ。貴女は勘違いしているようだけれど、これは望ましい傾向なの。もっと快感に酔いしれなさい。心配しなくても大丈夫。他の子より少しだけ早く、大人の味を知るだけよ」

 百合は諭すように語りかけながら、割れ目から指を離す。そしてその指を上に滑らせ、前に突き出た丘を越えると、その先端の蕾を摘み上げる。

「んい゛い゛っっ!!!!」

 沙綾香は歯を食いしばりながら首を仰け反らせる。歯を食いしばっていたのは、覚悟していた証だ。百合の指が乳房に触れた時点で、耐える決意を固めたに違いない。しかし、声は殺せなかった。覚悟ではどうにもならない、圧倒的な快感だったんだ。

SHARE

Siti Dara

Hi. I’m Designer of Blog Magic. I’m CEO/Founder of ThemeXpose. I’m Creative Art Director, Web Designer, UI/UX Designer, Interaction Designer, Industrial Designer, Web Developer, Business Enthusiast, StartUp Enthusiast, Speaker, Writer and Photographer. Inspired to make things looks better.

  • Image
  • Image
  • Image
  • Image
  • Image
    Blogger Comment
    Facebook Comment

0 komentar:

www.ayeey.com www.resepkuekeringku.com www.desainrumahnya.com www.yayasanbabysitterku.com www.luvne.com www.cicicookies.com www.tipscantiknya.com www.mbepp.com www.kumpulanrumusnya.com www.trikcantik.net