二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.1

 「始める前に、またコイツを吸って貰おうか。3分は吸い続けろよ」

 手越はそう言って、ガスの吸入器を沙綾香に投げ渡す。沙綾香は露骨に顔を顰めながらも、吸入器で鼻と口を覆い、手探りでスイッチを入れる。数秒でガスの漏れる音がしはじめ……沙綾香は、目を見開いた。 「げほっ、ええほっ!!」 「馬鹿野郎、外すんじゃねぇ! ガスが勿体ねぇだろうが!」  吸入器を外して激しく噎せる沙綾香に、手越が怒鳴りつける。 「ま、待って! なんかヘンなの、身体が、すごい熱い……! これ、さっきと全然濃さが違う!!」 「それがどうした。ガスの濃さは、スイッチを入れるたびにランダムで変わるぜ。ちなみに一番濃いパターンだと、ヘロインを上回る“ラッシュ”の快楽が来るらしい。ヘロインっつうと、『オーガズムの数万倍の快感』とか『ヒトが一生で体感しうる快感を一瞬で得る』なんてのが常套句だが、それ以上だ。まあ快楽中毒まっしぐらだろうな。どうだ、スリル満点のルーレットだろ?」 「はあっ!? どこまで陰湿なの、あんたら……!!」  悪意しかない仕掛けに、沙綾香は怒りと呆れの混じった表情を見せる。だが手越はその反応を気にも留めず、ガラステーブルからストップウォッチを拾い上げた。 「こっちはテメェの理性を吹っ飛ばしてぇんだ。わざわざ同じ濃さのガスばっかり吸わせて、慣れさせるわけねぇだろ。それより、早く口に戻せ。今から3分だ」  沙綾香はやはり不服そうだが、勝負を呑んだ以上は従うしかない。 「げほっ、えほっ……んん、ふうっ、ふうーーっ…………!!」  何度も噎せながら、必死にガスを吸引する沙綾香。瞳孔は開ききり、身体は凍えるように痙攣している。まるで毒ガスでも吸っているような苦しみようだ。いや、実際に毒ガスそのものか。 「よし、3分!」  手越がストップウォッチを止めると、沙綾香もすぐに吸入器を外す。 「っぶあ! フウッ、ハァー、ハァー……っハアーー…………!!!」  沙綾香の息はひどく荒い。白目を剥き、嫌な汗で顔中を濡れ光らせているのは一度目の吸引後と同じだが、呼吸の乱れ具合はあの時以上だ。  そして、その様子は数秒後にまた一変する。眼球が元の位置に戻ったかと思うと、沙綾香はいきなり腕を抱え込んだ。 「や……こ、これ、本当にヤバいって! 体が、燃えてるみたいに熱い……!!」 「マジで濃いのに当たったらしいな。これから十番勝負の一発目って時に、運のねえガキだ」  手越はそう言いつつ、黒人の一人……マーキスに合図を送る。 「ハハハハハ、やっとか! 待ちくたびれたぜ!!」

 マーキスは白い歯を覗かせながら沙綾香に近づき、ボクサーパンツを脱ぎ捨てる。覆いの下から現れたのは、黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直。しかし、目の錯覚だろうか。その大きさは…… 「な、なんで……さっきより、大き、い……?」  目の当たりにした沙綾香が言うんだから、どうやら気のせいではないらしい。マーキスの『巨根』は、明らかに前回よりも太く、勃起力も強い。今度は斜め上どころか、6つに割れた腹筋に先が触れそうなほどの反り具合だ。 「ああ、1割増しでデカいぜ。スッポンと牛のペニスのスープを飲んできたからな。俺らの勝負メシでよ、すげぇ精力がつくんだぜ」 「ふ、ふーん。じゃあその分、すぐ射精するってことでしょ。勝ち目薄くなっちゃうけど、大丈夫なわけ?」 「心配すんな。4人の女を同時に相手して、朝まで喜ばせたこともある。たったの2時間ぽっちなんざ、最初っからフルスロットルでも余裕だぜ」  沙綾香が精一杯挑発してみせても、マーキスの余裕は剥がれない。ハッタリであってほしいものだが、奴の生命力に満ち満ちた肉体を見ていると、絶倫という言葉しか浮かんでこない。 「さて、ジャパニーズ。まずはしゃぶってもらおうか」  マーキスは沙綾香の前に立ち、怒張を脈打たせる。 「はっ!? こんなの、誰が……!」 「嫌なら別にいいんだぜ、このまま突っ込んでも。ただし今度は、ローションは使わねぇ。摩擦を和らげられんのは、せいぜいプッシーから分泌される保護液だけだ。日本人サイズならそれで足りるかもしれねぇが、俺相手だとキツいぜ? 唾で濡らしとく方が、お前自身のためだと思うがな」  マーキスは薄ら笑いを湛えていた。ジョークを言っている類の笑みじゃない、もっと攻撃的なそれだ。レイプ魔である奴にしてみれば、痛みに顔を歪める相手を犯すのも好みなんだろう。  その悪意を感じ取ったのか、沙綾香はしばらくマーキスを睨みつけた後、観念したように剛直へと手を伸ばす。

 沙綾香がペニスの根元を握りしめると、その馬鹿げたサイズが改めて実感できた。女の手で本当にかろうじて握れる太さで、かつ両手が重ならないように握っても、なお亀頭が丸々余る長さだ。沙綾香はその大きさに数秒凍り付いていたが、やがて意を決したように亀頭に舌を触れさせる。 「おっほ、すげぇ。気持ち良すぎてビリビリくんぜ!」  喜ぶマーキスとは対照的に、沙綾香は心底辛そうだ。先端部分を口に含んだ瞬間、ぶるりと身震いしながら吐き出してしまう。 「う゛っ! ちょっと、シャワー浴びてよ! この臭い、耐えらんない!!」  悲鳴を上げながらマーキスを睨むが、当のマーキスは意にも介さない。 「早くしゃぶれ。それとも、即ブチ込まれてぇのか?」  意思の疎通を放棄した答えに、沙綾香はますます苛立ちを露わにしたが、仕方なく怒張を咥え直す。  怒張を扱きながら、頭を上下させる奉仕。沙綾香は何度も噎せていた。匂いがよほどきついんだろう。だがマーキスは心地よさそうだ。 「おおお、いいぜ……クチん中がすげぇあったけえ。風邪引いてる女に咥えさせた時みてぇだ。クスリで発情してるせいか? 最高だな、ドラッグセックスは!」  うっとりと快楽に酔いながら、さらなる刺激を求めて沙綾香の頭を押さえつける。 「う゛ぉえっ!!」  嘔吐を予感させる声が漏れ、黒人共が歓声を上げた。 「おい、ここで吐かすんじゃねーぞ!」 「解ってるって。半分も咥えてねぇのに大袈裟なんだよ、こいつ」  ロドニーに釘を刺されても、マーキスは後頭部から手をどけない。確かに口内に隠れているのは怒張の半分ほどだが、それでも10センチ以上は入っているだろう。それに、太さの問題もある。片手で掴みきれないような物を咥えるとなれば、相当な大口を開けざるを得ない。ハンバーグを丸ごと口へ押し込むようにだ。そんなことをすれば、戻しそうになるのも無理はない。 「うっ、んっぐ、うう゛……えう、おえあ゛っ…………!!」 「良いぜ、良いぜぇ……!!」  苦しそうに呻く沙綾香と、心地よさそうに天を仰ぐマーキス。そんな光景がもう2分も続いている。マーキスの腰はカクカクと前後していて、今にも射精しそうだ。だが、しない。何度も足を踏みかえ、細く息を吐いて耐えている。  じゅぶじゅぶという水気のある音。それが象徴するように、怒張はもうすっかり唾液に塗れていた。しかも刺激を受けたことで、サイズも増しているようだ。一人目にしてすでに、沙綾香の頬の筋肉には余裕がない。 「あああ、たまんねぇ……もういいぞ!」  マーキスはとうとう沙綾香の頭を押しのける。唾液の膜と共に引き抜かれた怒張は、やはりでかい。奉仕前は巨大な亀頭が目立っていたが、今や幹部分も膨らんだせいで、全体的に寸胴なイメージになっている。その凶悪なフォルムを前に、沙綾香の顔が暗さを増した。 「準備OKだな。始めて構わねぇが、その前に……」  腕を組んで奉仕を眺めていたロドニーが、黒いリモコンを拾い上げる。そのスイッチが巨大モニターに向けて押されると、ある映像が映し出された。

『そんなに怯えるなよ、ジャパニーズ。よく見てみな、ダックスフンドみてぇで可愛いだろ?』

 聞き覚えのある悪趣味なジョークが、フロアに響く。  映像に映っているのは、壁際に追い込まれた丸裸の沙綾香と、その下腹に逸物の先を押し当てているマーキスの姿。この光景を忘れることはない。十番勝負の一回目、その初戦だ。流れているのはどうやら、監視カメラの映像らしい。 「ほおう、前んのときの映像をバックにやれってか。面白え」  マーキスは興味深そうな声を上げ、沙綾香を立ち上がらせると、そのままモニター前に引きずり出した。壁一面のモニターに映し出された、巨大な沙綾香……その脚の間に現在の沙綾香がいる。不可思議な光景だ。  ほんの数時間前の映像だけに、沙綾香自身の変化はないに等しい。大きさが4倍程度違うだけだ。ただ、その下腹に押し当てられた怒張のサイズは明らかに違った。映像内のそれは、逸物の先が臍に当たる程度だが、今はそこからさらに上……臍と両乳房の中間地点にまで達している。 「ざっくり2割増しってとこか。ま、ガスで発情してる今なら大丈夫だろ。今度こそ全力で、たっぷりと楽しませてやるぜ」  マーキスはそう言って沙綾香の頬を舐めた。 「「やっ……!」」  上下の沙綾香の、密着を嫌がる素振りがシンクロする。しかし、それは一瞬のこと。 『ヘンなもの押し付けないでよ、このゴリラ!!』  上の映像では、沙綾香がマーキスの分厚い胸板を突き飛ばし、必死の抵抗を試みていた。  だが下の──今の時間軸の沙綾香は、マーキスに膝裏を抱えあげられたまま、悔しそうに横を向いている。今の彼女には、拒否権などないからだ。  一方のマーキスは、上の映像では沙綾香の抵抗を笑って受けながら、挿入のタイミングを計っているところだった。だが下の現実では、一足先に怒張を割れ目へとねじ込んでいた。 「あっ……あ、あっ……!!」 「うおおおっ、キツいな……ギュウギュウ締めやがる! おまけに、こっちも熱いしよお。マグマん中にでも突っ込んでる気分だぜ!!」  マーキスの興奮ぶりは相当なものだ。具合がいいのは事実だろう。奴はあっという間に怒張の半分ほどを挿入しきり、腰を使いだす。パン、パン、という肉のぶつかる音が響きはじめる。 「うあっ、あ、あああっ! ふうう……うん、んっ!」  沙綾香は目を閉じていた。抜き差しの中で目を開くこともあるが、少しの間だけだ。  辛そうだった。純粋に苦しんでいる上画面の彼女とも、反応はよく似ていた。だが、実際には違ったようだ。 「へへへ、ナカがうねってるぜジャパニーズ。気持ちいいんだろ?」  マーキスは、舌なめずりでもしそうな口調でそう囁きかける。 「か、感じて、ない……。こんなので、感じるわけ、ないじゃん……っ!!」 「へっ。恋人以外で感じたら、浮気になるってか? 義理堅ぇこった。だがその割にゃ、ずいぶん蜜が垂れてくるじゃねぇか」  マーキスが笑いながら、沙綾香の太腿に触れる。 「あ、やっ!!」  嫌がる沙綾香を無視して何かをなぞり、高く掲げると……その指先は濡れ光っていた。 「見ろよ、ドロドロだ。俺の極太がスムーズに動くわけだぜ」 「ち、違……あのガスのせいで、変になってるだけ! あんた相手に、感じてる、わけじゃ……!!」  マーキスの言葉を、沙綾香は強く否定する。だがマーキスは、よほど自信があるんだろう。 「ほお、感じてねぇってか?」  目を細めながら念を押し、沙綾香が頷いたのを確認すると、いきなり彼女の尻肉を鷲掴みにする。そして自分の腰へと押し付けながら、力強いピストンを再開した。双方向から力が掛かるそれは、単純に考えてもさっきの倍の刺激だ。 「あああっ! やだ、そんな奥……っ!!」  沙綾香は顔を顰めて呻いていた。嫌がっているようにしか見えないが、パンパンと肉のぶつかる音が繰り返されるうちに、様子が変わってくる。 「んん、んっく、くはっ……はぁ、はあっ…………ああ、ん、あっ! あ、らえ…………ああああ゛あ゛っ!!」  激しく喘ぎながら、身もだえ。そしてついに彼女は、悲鳴を上げながら身を震わせた。 「へへへ、イキやがった。なまじ我慢したもんで、思いっきりトんじまったなあ?」  マーキスが下卑た笑みを浮かべて囁く。沙綾香には、それに反論する余裕がない。モニターに後頭部を預け、完全に顎を浮かせたまま、ハッハッと短い呼吸をするばかり。快楽という海で溺れ、水面から顔を出そうとするように。 「お前は気持ちよくイッたみてえだが、こっちはまだこれからだ。続けるぜ」  マーキスは、ぐったりとした沙綾香の太腿を抱え上げた。足という支えを奪えば、挿入は嫌でも深まることになる。 「あああああっ!!!!」  沙綾香は悲鳴を上げた。だがその悲鳴にすら、快楽の響きが含まれているように思えてならない。

「感じているようですね、彼女は。黒人のペニスで対面座位を強いられる形なのですから、無理もありませんが」  まるで俺の心を見透かしたように、端塚が語り掛けてくる。奴から見ても、あれは嬌声に思えるらしい。 「……大きいというのは、そんなにいいのか」 「あえて肯定しましょう。世の中には巨根を好む女性も一定数いますが、それらの女性の多くは最終的には黒人とのSEXに耽溺し、そこから離れようとしません。規格外のペニスサイズを誇る黒人とのSEXは、一般的な男性とのSEXとは別次元だからです」 「何が違うんだ。膣はそこまで奥行きがあるわけじゃない。黒人のペニスでなくても、奥までは届くだろう」 「奥に届く、というだけでは不十分なのです。女性の膣に性感スポットは多々ありますが、中でも特筆すべきは子宮口周りの膣壁です。ここは非常に大きな快感を与えるのですが、大抵のペニスでは亀頭の先で突くのがせいぜいで、じっくりと刺激するには長さが足りません。しかし、彼らほどの大きさであれば、そのスポットを起伏に富んだ雁首周りで刺激することができます。抜き差しする度に、延々と。そしてこの快感が、多くの女性を骨抜きにするようです」  端塚は、黒人のペニスの優位性を淡々と説く。その間も下のフロアでは、沙綾香がマーキスの肩にしがみつきながら揺れていた。 「んっん、はぁっ……あああ、はっ…あ! あっ、あっん、んんー……っ!!!」  天井のスピーカーからは、艶めかしい声。それに意識を向けるのがつらい。端塚の話を踏まえて聞けば、思い当たる節がある。  対面座位で沙綾香を抱いている時、欲を出して奥の奥まで突いたことが何度かある。そういう時、たまに深く入り込んだ感覚と共に、沙綾香がいい反応を返してくれることがあった。十数回突き込んで一回、という程度だったが、俺はそんな時の沙綾香の反応が好きだった。  その声が今、毎秒のように聴こえてきている。俺にとっての『奇跡の突き込み』を、マーキスは当然のごとく、ピストンのたびに起こしているらしい。 「っあああああーーっ!!!」  沙綾香がまた悲鳴を上げ、足指を強張らせた。また絶頂したらしい。 「オイオイ、またイッちまったのかよ。ま、俺もそろそろだがな」  マーキスは嬉しそうに笑いながら、腰の振りを早める。 「は、はっ……!!」  絶頂後の余韻の中、沙綾香がはっとした様子で顔を上げた。そして、足の筋肉を筋張らせる。 「おっ……すげえな、一気に締まってきやがった。アメリカ女に握りつぶされてるみてぇだ、こりゃ堪んねぇぜ!」  マーキスは大喜びで腰を振りたくる。抜き差しの音も変わった。水気を含むブジュブジュという音と、何かに空気を入れるような、ハキスッ、ハキスッ、と聴こえる音が交じりあう。空気と水を含んだ空洞の中、強烈な膣圧に負けないピストンが生み出す音だ。それほどの音を立てるセックスが、生半可であろうはずもない。絶倫な強姦魔といえど、その中では何分も持たない。 「ぬああああ…………っ!!!」  やがて、マーキスは咆哮を轟かせた。ケダモノの断末魔だ。奴らはいつもその声と共に、すさまじい量の精液を流し込む。 「うううううっ!!!」  膣奥に精を受けていんだろう、沙綾香が汚辱に塗れた顔をする。だが、表情の中には晴れやかさもあった。 「何笑ってんだよ。まさか、もう中出しで感じてんのか?」  手越に茶化されても、沙綾香の少しむっとするだけだ。 「そんなわけないでしょ! こいつ、今イッてるの。つまりこの勝負って、沙綾香の勝ちだよね!?」  なおも射精を受けながら、目を輝かせる沙綾香。その姿に、手越も、ロドニーも、黒人共もマーキスも、一様に固まる。そして、互いに顔を見合わせ…………笑った。 「ハッハッハッハッハッハッ!!! おいおい、笑わせんじゃねぇよ!!!」 「ひひひひひっ、あの、あの得意顔!! 大したユーモアセンスだぜ、ジャパニーズ!!」  顔に手を当て、腹を抱えてゲラゲラと笑う鬼畜共。その中心で、沙綾香だけが呆然としていた。 「え……な、何? イッてるのはホントだって。ねえっ、あんた今イッてるでしょ!? 沙綾香の中に、思いっきり出してるじゃん!!」 「ああ、イッてるぜ。気持ちよーくな」 「じゃ、じゃあ!!」  沙綾香はあくまで真剣だ。周りがなぜ笑うのか、理解できていない。そんな彼女に冷や水を浴びせたのは、手越だった。 「よう。お前さんまさか、一遍イカせりゃ終わり──なぁんて思ってるワケじゃねぇよな?」  その言葉で、沙綾香が固まる。完全に図星という様子だ。その反応を見て、また黒人連中が耳障りな笑い声を撒き散らした。  沙綾香は、俺とのセックスを基準に考えてるんだ。俺は一度射精するたびに沙綾香を開放し、休憩を挟んだ。射精直後は気怠いというのもそうだが、時間ならいくらでもあったし、沙綾香に負担を掛けすぎないためでもある。つまり、あえて加減していたんだ。 「『2時間以内に調教師が精根尽き果てて、もうヤレねえってことになりゃお前の勝ち』……そう言ったはずだぜ。つまり、射精がゴールじゃねぇ。もちろん、一発出してもう弾切れってんなら話は別だがな」  手越はそう言ってマーキスの方を見る。マーキスは鼻で笑った。 「冗談じゃねえ、やっと体があったまってきたとこだぜ。一発目の射精なんざ、ストレッチみてぇなもんだ。今のコンディションなら、7発か8発……いや、10発はイケるな」  マーキスの口調は自信に満ちている。大見得を切ったわけではなく、本気で言っているんだろう。俺自身、そういう気はしていた。連中はスポーツでも滾りを抑えきれず、性犯罪に手を染めた性欲の権化。一度や二度達した程度で鎮まるはずもない。 「う……嘘、ばっか。だって、本で読んだもん……。男は、何度も連続でイケるようにはできてないって……」  沙綾香は震えながら呟いた。弱弱しい声色だ。他人に対して主張するというより、自分自身に言い聞かせているような。 「俺らは特別に絶倫なんだよ。疑うんなら、そのエロい身体でたっぷり味わってみな!」  マーキスは沙綾香の太腿を抱えなおし、セックスを再開する。今度は沙綾香の身体を斜め上に揺さぶり、角度をつけて挿入するやり方だ。その勢いで、膣内に出された精子が四方八方に飛び散っていく。 「あ、い、いやああっ!! ま、また、すごい奥……う、うっ、ふぅぅううう゛っっ!!」  余裕のない沙綾香の声が響く。

『バカぁっ!!』

 モニターの映像でも、同じく大声が張り上げられていた。膣内射精されたことに憤慨した沙綾香が、マーキスの股間を蹴り上げたシーンだ。 「おお、そういやタマ蹴られたんだったなあ。あの礼は、しねぇとな!!」  映像を見て苦い記憶を思い出したらしい。マーキスは両手で沙綾香の尻を鷲掴みにすると、自分の腰に叩きつけはじめた。丸太のような腕だ、腕力も相当だろう。肉のぶつかる音がバチンバチンと激しさを増し、沙綾香の尻の形は一秒ごとに変わる。 「はああっ、あ、あ! ああっ、いやぁ、あああ……っく、くあああ……!! んあ、あああ……あはっあああっ!!」  沙綾香は、何度も何度も甲高い嬌声を上げながら絶頂へと追い込まれた。 「何遍も連続で絶頂する感覚はどうだ? ただでさえガスの効果で昂ってる上に、逝けば逝くほど敏感になって、ますます絶頂しやすくなっちまうんだよな」  ぐったりとうなだれた沙綾香に、手越が呼びかける。 「だがな、それに浸ってちゃ勝ち目はねえぞ。お前が勝つにゃ、マーキスのザーメンを残らず搾り取るしかねえ。必死でマンコ締めて、10発でも20発でも射精させてよ」  その言葉で、沙綾香の表情が引き締まった。 「おっ……!? へへへ、急に具合がよくなってきやがった。やる気だな?」  マーキスは嬉しそうに笑いながら、激しく腰を前後させる。沙綾香は厳しい表情を保っているが、足の動きがわかりやすく快感を訴えている。4度目の絶頂は近そうだ。

「性欲も御せないケダモノのくせに、随分なテクニシャンじゃないか」  俺は視線を上げ、端塚に向かって吐き捨てる。言うまでもなく嫌味だ。 「彼らはセックスの場数を踏んでいますから、どう責めれば女が参るのかを経験で知っているのでしょう。あるいは八金 沙綾香が、黒人に犯されて喜ぶ特殊性癖なのかもしれませんが」  端塚は憎らしいほど落ち着いたまま、ティーカップを傾ける。  下のフロアで、巨大モニターの映像が暗転したようだ。一人目の映像が終わったらしい。だが、2回目の勝負はまだ続いている。沙綾香がマーキスに突き上げられ、一方的に追い込まれる形で。

 2時間。それは、とてつもなく長い。  望まぬ光景を眺めながらだと、終わりのない地獄にすら思えてくる。   「はぁっ……はぁ、はぁっ……はぁっ……ちょ、ちょっと、休ませ、て…………」  マーキスの肩に頭を預けた沙綾香が、荒い息を吐きながら哀願する。彼女はもう、何度絶頂させられたことだろう。 「ぜぇ、はあ……クチでするってんならいいぜ」  マーキスも流石に疲れたらしく、沙綾香を床に降ろして一息つく。割れ目から抜き出された怒張は半勃ちになっていた。とはいえ、まだまだ剛性を保った半勃ちだ。沙綾香はそんなマーキスの足元に跪き、口と手を怒張に触れさせる。  熱心な奉仕だった。目を見開いてマーキスを見上げながら、舐めしゃぶり、咥え、唾液を絡めて猛烈に扱き上げる。

  ──お願い、早くイって! 一回でも二回でもいいから絶頂して!

 そんな心の叫びが聴こえるようだ。  だがマーキスは絶頂しない。快感を得ている様子はあるが、膣以外で射精するかとばかりに堪えている。  沙綾香の必死の奉仕は、結局、マーキスの怒張を完全な勃起状態に戻しただけだった。 「……もういいぜ」  再び目を血走らせはじめたマーキスが、沙綾香の頭を押しのける。沙綾香は態勢を崩し、ベッドに両手をついた。そんな彼女の股ぐらに勃起しきった怒張が宛がわれる。 「や、やだ! 今、そんな硬いのっ……!!」  沙綾香は挿入を嫌がっていた。自分の事は自分が一番よくわかる。硬さと張りを取り戻した巨根を挿入されたら、絶頂を堪えきれない。それを理解していたんだろう。  そして、それは正しかった。 「…………ッはああああああ!!!!」  後背位で深々と挿入された瞬間、沙綾香は大声を張り上げた。彼女自身が慌てて口を塞ぐほどの声量だ。その一声は、彼女の状態を推し量るのに十分すぎる。 「へへへ、イイ声が出んじゃねぇか!! そうだよなぁ。こんだけラブジュースが溢れてるトロットロのプッシーに、硬いモンぶっこまれりゃ声も出るよなぁ!? おら、声殺すんじゃねぇよ。もっともっと鳴き声を聴かせろ、ジャパニーズ!!」  マーキスは大喜びで腰を打ち込む。 「や、や、ぁ……こ、これっ……ヤバい、ヤバいヤバいっ……!!」  沙綾香は項垂れながら、独り言のように呟いていた。体全体が縮こまり、特に脚は固く内股に閉じている。相手が犯しづらいようにか、それとも単なる自衛か。いずれにせよ、マーキスはその格好を許さない。 「もっと開けよ!」  怒鳴るように叫びながら、沙綾香の股に手をねじ込み、強引に足を開かせる。肩幅より広く。その状態でさらに腰を打ち付けられると、沙綾香の反応が変わった。 「ひああああっ!! だめぇだめええああああっ!! あそこっ、あそこ壊れちゃうう゛う゛う゛ッ!!!」  俯くのをやめて顔を上げ、大口を開けて叫びはじめる。笑う時は思いっきりの笑顔を見せる子だが、あそこまで下品な顔をするタイプじゃない。つまり、“よっぽど”なんだ。 「俺のコックはドギースタイル向きだからな。こうやってバックでやられっと、たまんねぇだろ!!」  相手の変化を見て、マーキスが調子づく。奴は激しく腰を打ち付けながら、沙綾香の両肩を掴み、強引に背を反らせた。それがどれだけ有害なのかは、沙綾香の反応でわかる。 「うわあああっ!! やめて、やめてやめでええ゛え゛ぇぇっ!!!!」  沙綾香はしばらく背を反らせて痙攣していたが、やがてシーツの上に崩れ落ちる。するとマーキスは笑みを深め、首元を押さえつける体勢に移行した。その絵面は、今までのどれよりレイプらしい。愛する女性が、黒人にベッドに組み敷かれて犯される。そのインパクトは半端じゃない。心臓が痛むほどのショックだ。  しかも、その体勢になってから、沙綾香の反応はさらに激化した。 「ああああっ、ああぁぁ……く、ぅああ……あ…………ああ!!!」  沙綾香は、軋むベッドと同化しているようだ。だが、それは胴と腰に限った話。手と顎には恐ろしいほどの力が篭もっている。その力は蓄積に蓄積した末、ある瞬間とうとう爆発する。マーキスの巨体を跳ね上げながら、彼女はまた大口を開いた。 「いっ、くッッ!!!!」  絶頂の宣言は、この上なくストレートだ。それは俺の胸に鋭く突き刺さると共に、他の連中の爆笑を誘う。  しかも、悪い状況はさらに続いた。 「イク、ひぐぅっ!! んんんん゛ック…………あはあああああっっ!!」  何度も絶頂を宣言する沙綾香。何度も下唇を噛んで声を殺そうとするが、すぐにまた大口が開いてしまう。 「随分なヨガり具合じゃねぇか、ええ? 黒人のデカマラでイキまくるなんざ、立派な阿婆擦れだな」  手越が茶化すと、沙綾香は瞬きで汗を切りながら横を向く。 「はぁ、はぁー、はあーっ……こ、こんなの、おかしい……。無理な、サイズなのに……痛い、はずなのに、なん、で…………!」 「それがドラッグセックスってもんだ。クスリでトぶと、大概のことが快感になっちまう。極太をぶち込まれる苦痛も、それと同じだけの快感になるわけだ。だがお前さんは、それに浸ってる場合じゃねぇはずだぜ。必死でマンコ締めて、相手のザーメンを搾りつくさねぇと負けだ。残りあと40分。かなりヤベェと思うがな」  手越の言葉に、沙綾香の表情が強張る。 「ん、ううう、んっ…………!!」 「おおっ!? はっ、いいねぇ、締まりが増しやがった!」  沙綾香が目元を引き締めた直後、マーキスが喜びの声を上げる。 「すげぇすげぇ! ただでさえジャパニーズのガキは締まりがいいってのに、こうギュウギュウやられちゃもたねぇよ!!」  腰を打ち付けながら快感に震えるマーキス。ただ、膣が狭まることで刺激が増すのは奴だけじゃない。沙綾香自身も、より強くスポットを擦られる事になる。 「んあ、あああ……あ、あっ!!」 「オオウ、オッ、ウウオオオオオッッ!!!」  我慢比べはしばらく続いた。ベッドを軋ませ、細かな汗を散らしながら。  マーキスは、天を仰ぎながら咆哮することが何度かあった。追い詰められているのは間違いない。  だが…………限界は、沙綾香の方が早かった。 「…………あ゛、はっ…………お゛っ…………ぉ、い、っく……い、……ってる………………っ!!」  何分が経った頃からか。沙綾香は叫ぶことをやめ、熱い息を吐きだしながらうわ言を呟くようになっていた。それも異常だが、もっと衝撃的なのは顔だ。  舌を、突き出していた。  長湯でのぼせたような、汗まみれのボーッとした顔。とても勝負事で勝ちを拾える人間のそれじゃない。 「おっ……なんだ、ヘバっちまったか? あのままギュウギュウ締めっぱなしだったら、結構ヤバかったんだがな」  マーキスは汗を拭いながら激しく腰を前後させ、沙綾香から呻き声を引き出す。

「よーし、2時間経過だ」  手越が終わりを告げた瞬間にも、マーキスは激しく沙綾香を犯していた。その時点でマーキスの勝ちは確定したわけだが、奴はダメ押しとばかりに沙綾香の腰を掴み、激しく腰を打ち付ける。 「おら、おらっ!!」 「あああ、いや、あ……あっ!! イックイクううっっ!!!」  沙綾香はぶるりと身を震わせながら絶頂する。そして極めつけに、気持ちよく射精したマーキスが怒張を引き抜いた瞬間、かなりの勢いで潮を噴いた。 「ははははっ! こりゃまた、清々しいぐらいの負けっぷりだな!!」  ロドニーやその周りの人間が手を叩いて笑う。そんな中、マーキスはベッドに突っ伏した沙綾香の尻肉を割り広げる。 「見ろよお前ら、こんなに出ちまった。気持ちいいぜぇ、このプッシーは。ただの狭い穴だった一回目と違って、発情してるからヒクヒクしっぱなしでよ。最高に上手いフェラされまくってる気分になれるぜ」  その言葉で、沙綾香に浴びせられる嘲笑が大きさを増す。沙綾香はその渦中で、悔しそうに手を握りしめていた。

 十番勝負1戦目は、彼女の負けだ。

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Siti Dara

Hi. I’m Designer of Blog Magic. I’m CEO/Founder of ThemeXpose. I’m Creative Art Director, Web Designer, UI/UX Designer, Interaction Designer, Industrial Designer, Web Developer, Business Enthusiast, StartUp Enthusiast, Speaker, Writer and Photographer. Inspired to make things looks better.

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