恋人6、Dopey
私の姫 と話しているのは、どうやら弟の騎士のルーカス・セレスティンらしい。
(ルーカスか……)
思わず渋い顔になってしまう。
別に彼に含む所がある訳ではない。ただ弟達と再会してから、この騎士とスノーホワイトが一緒にいる所を見ると妙に胸がざわめくのだ。
何故かは判らない。――…だが私の本能的が、この男だけは決して彼女と二人っきりにしてはならないと言っている。
(もしや私は彼に脅威を感じているのだろうか?)
まさか。そんな事がある訳がない。
スノーホワイトと供に過ごした時間ならば私の方が彼よりも長い。彼女と出会ったのだって私の方がずっと前だ。
あまり軽薄な男が好きではないらしいスノーホワイトはルーカスに冷たい。恐らく7人の恋人の中で、彼女の好感度が一番低いのはルーカスだ。そしてその次が私の弟のエミリオか。
それはあの家の住人の全てが周知している事実であり、ルーカスを見る他の恋人達の視線は生暖かい。彼を見る他の恋人達の目は優越感に満ちた物か、同情的な物のどちらかだ。
彼には悪いが、私も自分の方が明らかに彼女に好かれている言う自信があった。
―――それなのに、今も彼と話しているスノーホワイトを見ていると、他の恋人達に感じる嫉妬心とはまた違う、焦燥感の様な物を感じる。
何故この男と彼女が一緒にいるのを見てこんなに胸がざわつくのかだろうか?
例えばスノーホワイトと一番長い付き合いのメルヒや、家事が出来ると言う理由からスノーホワイトと二人でいる時間が他の恋人達よりも長いエルヴァミトーレ、何故かスノーホワイトが召使の様に従順に尽くしているイルミナート、その無邪気さで時に私達が呆気に取られる程強引に彼女に迫るヒルデベルトにそれを感じるのならば、自分でも納得が行くのだ。
激情型で愛情表現が苦手なエミリオと軽薄な騎士ルーカスにスノーホワイトは苦手意識を抱いている。
それなのに私がライバルの中で一番に脅威を感じているのがこの二人なのだ。――…私が彼女の心を射止める事に失敗した場合、彼女の事を掻っ攫って行くのはこの二人のどちらかだろうと思っている。
エミリオは理解出来る。自分の弟だからこそ私は彼の魅力を承知している。
私の弟は純粋だ。
純粋故にいつも真っ直ぐなのだ。あの純粋さは大人になった私はもう持ち合わせていない。
弟は正義感が強く曲がった事を許せない。
いつも全力で真っ直ぐに壁にブチ当たって行く。
彼のその混じり気無い、気高き白の孤高の精神が眩しくて、私は弟を直視できない時がある。本来ならば愚劣の極みでしかない彼の若さ故の全能感と、万能感が羨ましく感じるのだ。
私は弟が持っている様な謎の全能感も万能感も持ち合わせていないので、石橋は叩き割る位慎重になってから渡るのが常である。私は自分の国を守る為ならば卑怯な事も躊躇いなくやるし、二枚舌にもなる。誰もが目を背ける残虐な行いも平然と出来る男だ。
正しさだけでは国家は守れない。優しさだけでは民も守れない。
私は一万の民の命を守る為ならば千の兵に「死んで来い」と顔色一つ変えずに言える男だが、弟にはそれが出来ない。
一万と千の命を守る為に自ら野を駆けずり回り、千の兵と共に戦場に行き討ち死にするのが私の弟のエミリオだ。
言い方を変えれば幼稚で未熟なのだが、こんなご時世でなければ弟は自分などよりも良い王になっただろう。天性のカリスマ性なら私よりも弟の方にある。
平和な時代だったら私は抜け作の兄王子に徹し弟に玉座を譲っていた。
元々私やイルミの様に政界の深暗部で腐敗にまみれた悪の花達と戯れ、自ら詭謀の種子を蒔いて暗躍し、権謀術策を弄する事を児戯とみなして楽しめる様な人間は、NO2のポジションに就く方が向いている。
しかしその時の世界情勢や時代により、王に求められる資質は刻々と変化する。
今の様に軍靴の響きがあちらこちらから聞こえる時代は、弟よりも私の方が王として適役だ。
今はまだ未熟だが、弟は今回の一件で大きく成長するだろう。
既にその兆しも見えている。弟の成長を望んでいたはずなのに、それを促したのは私自身だったはずなのに、今は彼の成長が少し怖い。
今のスノーホワイトの目には弟は横暴な我儘プリンスとしか映っていないだろうが、彼女が弟の本質を見抜き、彼の真価を理解した瞬間一気に心を持っていかれるのではないか?と私は危惧している。
彼の気位の高さは彼の気高さの象徴であり、自分よりも強い者にも権力にも毅然として媚びないその精神は、見るもの全てを信服させるカリスマ性がある。良く研ぎ澄まされた刃は美しい。
成長後の弟は私の最大の脅威となりうるだろう。
しかしこう言っては何なのだが、ルーカスはいまいち理解出来ないのだ。
黒炎の騎士ルーカス。――バルジャジーア侵略でも、たった一人生きて帰って来たと言う優秀な騎士だ。恐らくヒルデベルトの様な半妖や半獣の騎士を除けば、我が国で一番の剣の腕を持つ騎士だろう。
私や弟にはない野性的な魅力のある男だとは思う。
しかし何故彼にここまで危機感を感じるのか解らない。
この時の私は知る由もないが、私のその勘は間違ってはいなかった。
―――何故ならばそう遠くない未来、ルーカス――…いや、下村茂は、私の命とも言えるスノーホワイトを元の世界に連れ帰ってしまうのだから。
「三浦晃18歳、性別男、千葉県松戸市に産まれる。母親の名前は三浦穂波、双子の姉の名前は三浦亜姫。三人家族の長男でオタク。純日本人。――だと思ってたけど実は違うのかも。肌もやたら白かったし。そういやお前、幼稚園入る前までは髪の色は金髪に近かったよな?今思えば目の色も日本人にしてはやけに茶色なんだよ。アキの方は髪も目も昔から真っ黒だったけど」
(ミウラアキラ…?)
―――私の母、ベルナデットが呼び出した聖女の性も確かミウラだった。
(――――……まさか…、)
頭に浮かんだ突拍子もない考えは、そう的外れでもない様な気がしてゴクリと喉が鳴る。
「やっぱり。――お前、アキラだよな!アキラなんだろ!?」
「や、だ、何を言ってるか分からない!!」
「分かんだろ!てめ、絶対分かってんだろうが!?」
「いや、……こないで、やめて、ルーカスさん…!」
「ルーカスじゃねえ!――…俺は、俺の名前は、……シゲルだ、下村茂だ!!」
「シゲルって、……まさか、下の村?」
「そうだよ、下村茂だよ!」
私はそのまま気配を殺して二人の会話に聞き耳を立てた。
(シモムラね。……ふぅん、ルーカスも向こうの人間だったのか)
意外だ。――と言うよりも想定外だと言った方が正しい。
チリチリと炎で胸の奥を炙られている様な感覚に、私は知らず知らずの内に奥歯を喰いしばっていた。
嫉妬だった。
ルーカスはスノーホワイトと前世からの付き合いで彼女の昔の姿を知っている。
話を聞くに、ルーカス――…いや、シモムラは、アキラと幼い頃からの友人で、しかもかなり親しい付き合いをしていた友人の様だ。
私は自分が彼に感じていた奇妙な焦燥の理由を理解した。
「――――…ウンディーネ、どういう事だ。私はルーカスも転生者だなんて聞いていないぞ」
私は静かな声で我が国の女神様を呼び出すが、私の怒りが伝わっているらしく彼女は私の前に姿を現す事はなかった。
(あいつ……。)
この調子だとウンディーネは私の怒りが冷めてほとぼりが収まる頃合いまで、私の前には現れる事はしないだろう。
『アミール様、どうどうどうどう。そんな怖い顔してちゃウンディーネちゃんが現れなくて当然ですよ』
「…………。」
強く握り締めた拳がギリッと音を立てる。
今度あれが私の目の前に現れたら、幽魔の中に閉じ込めてやるのが良いのかもしれない。
機嫌を損ねれば雨を止め、水源を枯らし、うちの女神様は昔から本当にろくな事をしない。
今の私ならば、アレを幽魔の中に難なく閉じ込める事も可能だ。もし精霊が不死に等しい存在ではなく、彼女を殺す手段があったのならば私はアレを殺していただろう。
ウンディーネもそんな私の心中を察しているのか、私が物心付く年齢になってからはあまり私の元へ現れる事はなくなった。
「だから!そんなに近付くなって!!今のお前は最っっっ高に可愛いんだよ、襲うぞコラ!!」
「えっ!?」
「つーかさっきから胸の谷間が見えてんだよ!さっさと隠さねーと犯すぞマジで!!」
「ご、ごめん…」
そんな事をやっている間にも二人を包む空気は不穏な物となっていく。
―――そして、
「――……とりあえずスノーちゃん、エッチしよっか?」
「……うん」
(…………は?)
握った拳が力なくだらんと下に落ちる。
あろう事か、ルーカスは朝陽の射し込むキッチンでスノーホワイトの服を脱がし始めた。
「っぅん!るーかす、さ……ん…っ」
「スノーちゃん、可愛い、マジで可愛いよ」
「ん、く……だ…め、だめ、声、出ちゃう…」
騎士はスノーホワイトの細い首筋を耳元まで舐め上げると、頬に何度か唇を落とす。
「うん、皆にバレたくなかったら我慢しな? バレたら俺も俺もって騒ぎ出して、朝から7人相手にしてやんなきゃならなくなると思うぜ?」
「そんな、の、無理……っ!」
耳朶を口に含みながら、薄く色付いた可憐な尖りを弄られて、もう感じ始めているらしいスノーホワイトの腰が浮わついていた。
壁際まで追い詰められてもう逃げ場のない彼女は、獰猛な狼に追い詰められた様な子兎の様な表情をしており、その痛ましさに胸が締め付けられる思いになる。
「だったら声、我慢しようね」
「ん、ぅっん……、じゃ、そんな、激しく…しない、で…」
「なんの事かなぁ、オニーサン良くわかんないや」
騎士の筋張った手がスノーホワイトの太腿の柔らかさを確かめる様に、ゆっくりと彼女の雪肌の上を這う。その手の動きにも感じてしまっている様で彼女の腰がビクついていた。
男の大きな手によって彼女の胸の形が変えられていく。乳房が揉まれる動きにつれ、ツンと上を向いた胸の突起の位置がぐにぐにと動くのがとても卑猥に見えた。
彼女は乱れて来た呼吸を隠す様に歯を食いしばる。
「スノーちゃんおっぱい弄られるの好きだよね、いいよ、オニーサンも君のおっぱい触るの大好きだから、たくさん揉んであげる」
「るーかす、さ……っんん!」
「あれ、スノーちゃんちょっとおっぱい大きくなったんじゃない?ほら」
「ふぁ…、あっ、や」
ルーカスが根元から掴んだ胸の膨らみを片方ずつ上下させて、リズミカルに揺らして遊びはじめるとスノーホワイトは少しだけ不満そうな顔をしてみせた。
次に男はいやらしく色付きはじめた乳首を摘むと、上に引っ張っては離し引っ張っては離しを繰り返す。少女の可憐な胸の尖りが男の手から離れる度に、彼女の形よく張った乳房がたゆん、たゆん、と揺れる。
弾力的に弾む胸の膨らみに「おおー!」と感嘆の声を上げる不埒者に、スノーホワイトは自分の胸を隠すと抗議の声を上げた。
「もう!ルーカスさん…!?」
「何?」
スノーホワイトが胸を隠そうとしてもそれは無駄なあがきでしかなく、彼女の腕の下に男が手が伸びる。
軟らかな膨らみを右に左に捩じってみれば、スノーホワイトのういういしい乳房に男の指はめり込んで、指の隙間から白い乳肌が柔らかなマシュマロの様に浮き上がった。
「な、なにって、……ッん! おっぱいで、遊ばないで!」
「ん、りょーかい。じゃ遊ばないでイジメてあげる」
「ッや、やだ、やだ!イジメないでっくださ、い……!」
「だーめっ。こんな悪いおっぱいは懲らしめてやんなきゃ」
「わるくない! 私、なにも、わるくな…い!です……っ!」
「悪いおっぱいだよ、こんなにプルプルして男を誘うなんて、スノーちゃんのおっぱいは悪いおっぱい」
「それは!ルーカスさんが変な風に触るから……!」
真っ赤になって叫ぶスノーホワイトに、男はしたり顔で頷く。
「そうそう、ちょっと触られただけで乳首をこんなに硬く尖らせちゃうなんてさぁ? スノーちゃんのおっぱいはとってもエッチで悪いおっぱいだから、今日はオニーサンがたっぷりお灸を据えてやるからな」
「そんな…!あ!ぁっ……ぁ、……は…ぁ、――――や、やだ、おっぱい、そんな風にしちゃ、……いやっ!」
不条理な事を言いながら、男はスノーホワイトの胸を口に含み舐め回し出した。
わざとちゅぱちゅぱといやらしい音を立てられて、スノーホワイトは恥ずかしそうに目を瞑る。
「ほら、スノーちゃん、ごめんなさいは?」
「っぅ、ぅぅ……ぇ……?」
「いやらしいおっぱいでゴメンナサイって。ちゃんとゴメンナサイが出来ない子にはオニーサン厳しいよ?」
スノーホワイトはしばらく嗚咽とも嬌声ともつかない声を上げながら、男の望む卑猥な言葉を言うべきか否か悩んでいた様だったが、ルーカスが”厳しく”なる事を危惧したらしい。
「……いっ、いやらしいおっぱい、で、……ごめ、ごめんなさっ、ぃ……っく、ぅ、……ふぅ……ぅぅっ」
男は泣きじゃくりながら謝罪の言葉を述べるスノーホワイトの乳首を最後に一度だけかぷりと噛むと、何故か糞真面目な顔をして、不出来な生徒を見守る教導者の様な目で「うん、いいよ」と頷いた。
殺したい。
殺しても良いだろうか?
「おっ、今日もまた小洒落たパンツ穿いてるじゃん」
「きゃあああ!!る、ルーカスさん!そんなにマジマジ見ちゃ駄目です!!」
「これからもっと恥ずかしい事するのに何言ってるの?」
私が弟の騎士の首を斬る妄想をしてる間にスノーホワイトのスカートは無残に腰まで捲り上げられて、都会的なデザインのショーツが露わとなっていた。
彼女が今つけている今年の流行色のショコラブラウンのショーツは、恐らくイルミが贈った物だろう。上品で洗練されたそのデザインがいかにもイルミ好みだ。
恐らく彼もそれがイルミからのプレゼントだと察したのだろう。
「――――でも、気に食わねぇな…」
低い声でぼそりと呟くと、男はスノーホワイトを抱き上げてキッチンにあった椅子の上に座らせた。そして椅子の左右の肘掛けに彼女の両脚を乗せあげる。
「へっ?な、……や、やだ……、」
まだ下着こそ脱がされてはいないが、あけっぴろげな姿にさせられて、彼女はもう耐えられないと言った顔で俯いた。
「るーかす、さん、……はずか、しい……」
既に彼女の下着は濡れていた。
不埒な指が彼女の恥丘の中央にある一条の亀裂をなぞる。彼女の華奢な体が羞恥で、――いや、来たるべき快楽に怯え、震え出す。
ルーカスに今触れられている薄い布地の向こう側がどの様な状態になっているか、私にも簡単に想像する事が出来た。
男の指が下着の上にツンと主張を始めた小さな突起の周囲を円を描くようにして焦らしてみれば、彼女の下着に出来た染みはどんどん大きくなって行く。
「は、はぁ……ぁ、ッぅ!やっ、いや……ぁっ!」
「嫌じゃないだろ、イイだろ?」
「やだ…やだ……っ!」
「スノーちゃんのウソツキ。こんなに濡れ濡れの状態で何言ってんの?」
官能の芽の肉感を布の上から吟味する様に弄んでいた男が指が、ツツツ…と下着の上を滑る。
狼藉者の指が辿り付いた場所は、彼女の下着の染みの元凶である肉口の上だった。男が布地の上から指を挿しこむと、彼女は甘い悲鳴を上げて啼く。
その反応に味を占めたらしい男が、戯れに一条の亀裂部位にびしょ濡れの下着を喰い込ませると、彼女の甘やかに秘めている物の形がいやらしく浮き彫りとなった。
「ッやだ、あ……あ…ぅ、……はずかしい、です……」
恥じらいのあまり耳まで真っ赤にする彼女に、野蛮な男は満足気に笑う。
「スノーちゃん、エロ可愛い。さて、今日はどっから食べちゃおっかな?」
「ば、馬鹿!!もう、いい加減にしないと俺やめるぞ!?付き合いきれねぇわ!!この変態!!」
「もしかしてアキラで犯されたい?俺は別にそっちでも構わねぇけど」
「な、なに…を……?」
恥辱に耐えられなくなったのだろう。表に出てきたスノーホワイトの素の顔に彼はにやりと笑うと、大きな染みの少し上で自分の存在を主張している小さな突起を下着の上から押し潰して捏ね繰り回す。
「っひゃう!?」
一段と大きな声を上げた彼女に、男は小憎たらしい顔で言う。
「このままイっちゃいな?」
「やだ!や、やめ!は、…はぁ、ぁ……やだ、やっ!あ!」
彼女は自身の弱点を荒々しく攻め出した男の手をどかそうと彼の手首を抑えるが、細見で小柄な姫君の力が現役の、――しかも我が国のトップクラスの騎士の力に敵う訳がない。
「そんな気持ち良さそうな顔でやだやだ言われて信じる男がいるワケないだろ」
「っぅ!!やだ!……イキたくない!イキたくな…い!!」
「可愛いよ、スノーちゃん。オニーサンにエッチなお豆ちゃんをグリグリされて気持ちイイんだね?ほら、いいんだよ?早くイっちゃいなって」
「ん!や、やだ、やだやだやだ!イキたくなっ……ぁ、や、だめ、だ、め、っ!…あ、ぁ………あっああああああ――――っ!!」
必死の抵抗虚しく、スノーホワイトは男の手首を掴んだまま達してしまう。
絶頂の余韻による自失から覚めぬまま、魂を奪われたような顔で男の腕にもたれかかり、荒い呼吸を繰り返している王女に騎士は追い打ちをかける様に恥辱を与える。
「スノーちゃんはもう18歳なるのに、またお漏らししちゃったの?」
「え……?えっ、な、なに……言って……、」
あらぬ場所から滴り落ちた悦びのほとばしりにより、いつの間にか彼女の下着は幼女が粗相をした様にびしょ濡れになってしまっていた。
「こんなにパンツ濡らしちゃって、スノーちゃんはいけない子だね」
「ち、ちが……おもらし、ちが……っ!」
「じゃあ何?これはおしっこじゃないの?」
「う、うぅ……」
「答えられないの?スノーちゃんはお姫様なのにまたお漏らししちゃったの?」
「ち、ちが…」
スノーホワイトは熱から覚めぬ状態のまま、何と答えれば自分が助かるのか悩んでいた様子だった。
しかし一度達しより敏感になった花芯の上に男の手が戻り、ゆるゆると指を動かされはじめると顔色が変わる。
「どうしような。スノーちゃんがもうお漏らししないように、オニーサンのおっきいのできっちりここに蓋してあげた方が良いのかな?」
「っあ!……あ、ああ……っ…や、やぁ…!」
「トイレ以外でおしっこ漏らしちゃう悪い子にはお仕置きが必要だしなぁ」
言葉でも指でも攻め立てられている内に彼女は観念してしまったらしい。
「これ、は……ルーカスさんに、触られて、気持ちよくて、濡れちゃっただけ、で、……お漏らしじゃない、です」
その答えに男は満足そうな微笑みを浮かべた。
「俺にどこをどう触られて、気持ち良くなっちゃったの?」
男の手が彼女の下腹部から離れる。
スノーホワイトは少々躊躇った後、椅子の上に置いていた手をよろよろと動かして、濡れた下着の上からうずきたつ肉のしこりにそっと触れた。
「ここ……です…」
「オニーサン良くわかんないな、もっとちゃんと教えてくれよ」
「こ、ここ、……ここを、こう、弄られて、それ、で……」
「ここってどこ?ちゃんと教えて?」
スノーホワイトも弁えた物で、どうすれば男が満足し、彼の責め苦が早く終わるのか知っているのだろう。下着の上から自身の敏感な場所を指でさすり始めた。
椅子のひじ掛けの上に両足を乗せられて脚を開かされた姫君が、恥じらいに身を揉みながら自身を慰めている。それはとても煽情的で、実に背徳的な光景だった。
スノーホワイトが恥じらう様に腰をもじつかせながらそろそろと太腿を閉じようとすれば、不敬な騎士の手がまた彼女の脚を大きくくつろげさせる。
「ここなの?ここがスノーちゃんのイイトコなの?」
「は、はい……ここ、ルーカスさんに、触られたから、だから、気持ち良く、なっちゃって……っん、これ、は、お漏らしじゃない、の…」
それからしばらく騎士は自分がどうやって触ったのから気持ち良くなったのかと、先程自分が彼女にした事と同じ事を実演させてみた。
純真無垢の清楚が服を着て歩いている様な可憐な姫君に自慰をさせる事を成功した騎士は、とても機嫌が良さそうだ。
「OK。じゃあオニーサン、スノーちゃんがお漏らししたんじゃないって信じてあげるね」
(良く言う……)
飽きれ果てて言葉も出て来なかった。
自分も彼女と愛し合う時にこの手の理不尽な攻め方をしない訳ではないのだが、他人 がやっているのを見るとこうもむかっ腹が立つものなのか。
「ありがと、う、ございま…す……」
「うん、良く言えました、いいこだね。スノーちゃん。とってもエッチで可愛かったよ」
もう恥ずかしさが限界に達したらしい。可哀想に、スノーホワイトはえぐえぐと泣き出してしまった。
飴と鞭のつもりなのか、ルーカスはやけに甘ったるい声で「可愛い」「頑張ったね、いいこだよ」と何度も繰り返しながら彼女の体をギュッと抱きしめる。
「いいこにはご褒美あげちゃうね。オニーサンもスノーちゃんにもっと気持ち良くなって貰いたいんだわ」
「ひあ!い、いい、いい、です!!けっこうですってばぁ!!」
「謙虚だねぇ、遠慮しなくていいのよー?」
男は床に膝をつくと、彼女の太腿が閉じない様に手で抑えて下着の上から花芯を吸う。
「もう!…いいです!本当に、っ、いいって、言ってるの…に……っ!!」
わざとらしくちゅうちゅう音を立てて花芯を吸って煽れば、彼女は絶え入るような締泣に身を震わせながら気をやった。
不敬な騎士によりまたしても強制的に絶頂を迎させられたスノーホワイトは、椅子の背もたれに背中を預け、乱れた呼吸のままキッチンの天井を仰ぐ。
「こんなにビショビショなの穿いてても気持ち悪いだけだろ?オニーサンが脱がしてあげるね」
「っぅ……ぁ、ふぁ……ぁ…………ぅ…?」
スノーホワイトが朦朧としながら大きく肩を上下させて呼吸を整えている間に、彼女の下着はたちどころに足首まで下されてしまった。
下着だけではなく服までをもあっという間に脱がされてしまい、彼女に残された肌を隠す物は太腿で止めるタイプの薄いストッキングだけになってしまう。
「な……!や、やめ…っ」
やっと自分のあられもない格好に気付いたらしい彼女は、慌てて秘めやかな部分を手で覆い隠す。
「シゲ…やっぱ、駄目!無理!恥ずかしい!やめよう!!」
「今更やめる訳ねぇだろうが」
ルーカスは彼女の手を彼女が隠していた部分から外すが、スノーホワイトはやだやだと必死に頭を振りながら頑なな様子で太腿を閉じる。
しかしそこは非力な女の身の悲しい性で、彼女がどんなに嫌だと言ってギュッと腿を閉じても無駄な抵抗でしかなかった。スノーホワイトの白い脚を騎士は簡単にかち割って、今度は左右のひじ掛けの上に足の裏ではなく太腿を乗せて先程よりも大きく脚を広げさせると、無情にも彼女の甘やかに秘めている部分を曝け出したのだ。
「いやああああ!!だめ、だめええええええ!!恥ずかしいの、見ないで、見ないでルーカスさん!!」
「駄目だよ、ちゃんと俺に全部見せろよ」
羞恥の極みに達したスノーホワイトは、髪を振り乱し半狂乱になって喚く。
しかし男はそんな彼女の様子に意を介した素振りも見せず、朝食の席で硬焼きのクッペを食べる時にする様に、中心部にある大きな切れ目からパンを左右にちぎるようにしてスノーホワイトの肉の双丘を開いた。
彼女の秘密を守る最後の砦であった滑らかな小丘の中から、細長い苞にくるまれた乙女の屹立と、蜜をいっぱいに溜め込んでいる奥のうつろが簡単に暴かれてしまう。
「やだぁ…っ!はずかしいって、ってるの、にっ!」
「可愛いよ、スノーちゃん。……ごめんな。君が可愛い過ぎて、もう俺止まんねぇよ」
「やだやだっ!とまって、くださ…いっ!!」
「君みたいな可愛い女の子にそんな顔されっとさ、男ってヤツはもっともっと泣かせてやりたくなっちゃうんだよね」
「い!いい!もう、いいってば……!!」
彼女の制止の言葉は、男が直に花芯を口に含んだ瞬間止まる。
それでもしばらくスノーホワイトは男の髪を抑えながら「いや」「だめ」と肩を震わせていたが、いつまでも終わらない快楽地獄に抗う気力も尽きたらしい。
可哀想に。スノーホワイトは椅子の背もたれに後頭を擦り付ける様にしながら首を振り、むせび泣いていた。
「すっげ……舐めても舐めてもどんどん溢れて来る。――…スノーちゃん、エロくて、スケベで、すっげー可愛い。マジ俺好み。ここ、とっても気持ちいいんだね?スノーちゃん、大好き。大好きだから、ここにも沢山チューしてあげるね」
「ん……っ!あ!あっ、るーかす、さ……っ!」
「いいよいいよ、気にしないで?騎士はお姫様に尽くすのが仕事だし?スノーちゃんが満足するまで、たっぷりとご奉仕してあげるから」
「ひん!……ふぁ…ああ、っく、違っ、の! そういう、意味じゃ……!」
本来ならば私しか触れてはならない彼女の大切な部分に男が触れて、何度も何度も口付ける。
本来ならば私が子種を仕込むべき場所に下賤な男の汚らわしい指が侵入し、淫らな抽挿が始まった。
キッチンに響く愛欲に濡れた甘い声と卑猥な水音に、自然と握り締めた拳に爪が喰い込む。
「ぁっ…あん!ん、やだ!やめろシゲ!そこ、も、いい!いいってば!!」
「だからよー、そんな顔でそんな事言われても信じらんねぇって。いいよいいよ、遠慮すんなよ。何回でもイかせてやっから」
「いい、も、まじでいいから!」
「いいから、何?」
「う……ううっ…ぅ…」
「いいから何だよ?」
「――――…………ぃ、……いれ……て…」
彼女が涙ながらにか細い声でそう呟くと、男は意地の悪い目で嗤う。
「どこに何を挿れて欲しいか、ちゃんと言わないとオニーサン馬鹿だからわかんないなぁ」
今にも笑い出しそうな男の口元に、思わずその場に乱入して鳩尾に一発入れてやりたい衝動に駆られる。
―――聞くに堪えない被虐の羞恥にまみれた俗語を彼女の清らかな唇から吐かせた騎士の鬼畜の所業に、思わず私は廊下の壁に拳を突き立てかけた。
「あーもう!もう!もう!!……駄目。今のお前、マジで可愛い。お前と真剣に結婚したい。お前が可愛過ぎて、俺、頭おかしくなってる」
「なっ!正気かよお前!?」
せわしない様子で、ズボンの中からそそり立つ肉塊を取り出しながら言う男の言葉に彼女はギョッとした様だった。
「――――…なあ、アキラ、俺が一番いいだろ?俺が一番いいよな?」
「ッんな、しるか……!ばか!!あほ!!下 の下 の下 の下 の変態!!」
「じゃあ俺が一番イイって言わせてやるよ」
「ひぅ!?……あっ!あ、は……やぁぁ!んっ、」
男のグロテスクなモノが、スノーホワイトの柔らかく濡れそぼった肉の割れ目をこじ開けて押し入って行く様子に眩暈がした。
今まで何度も他の男達と彼女を抱いたが、こうしてただ見ているだけと言うのがここまでキツイとは思わなかった。
「ほら、ここ、こうされるの好きなんだろ?ほら、言えよ、俺が一番イイって、俺のモノになるって」
男は彼女の太腿の片方を自分の腕にかけて持ち上げると、上から雄を注ぎ込む様に激しい抽挿をはじめた。荒々しく腰を衝き出しながら彼女の顔にキスの雨を降らせる。
快楽に蕩けた瞳から頬に流れ落ちた涙まで全て吸い取る様な、そんな激しい口付けだった。
椅子の上で腰どころか背中まで浮き、見るからにつらそうな態勢となった彼女は苦し気に男に手を伸ばす。
「るーかす、さん!ちゅーして、……きす、したい!」
「お前、ちんぽ突っ込まれるとすげー甘えん坊になんのな、クッソ可愛いわ」
「だ、て!……わかんねぇけど、キス、したくな、る」
「いいよ、沢山してやる」
二人の唇が重なり合う。
「しげ、しげ、……きもちいい、よぉ」
「ん、俺も、すっげー気持ちいい」
恐らくスノーホワイトは今の態勢が苦しいのだ。
早く違う体位に変えて欲しいだけであって、キスがしたいと言うのは彼女の本位ではないと思う。……思うのだが、私は今夜この男の藁人形を作る事に決めた。
「アキラ……、」
「ん……?」
二人はその後何か言いかけたが、互いにそれは口にはしない方が良いと思ったのか、そのままジッと見つめ合う。――…妙に甘ったるい沈黙だった。この時点で私は弟の騎士を頭の中で56回殺していた。
そしてどちらかが先と言う事もなく、二人はまた唇を重ね合わせた。
互いに積極的に唇を押しつけあい、せわしない様子で何度も角度を変えて、できるだけ相手の奥まで舌が届く様に首を左右に傾けて深く深く貪り合う。―――…この時、弟の騎士を私が頭の中で殺した数が62回となった。
男が口を離し、彼女の上から上体を起こすと銀糸が二人の間を繋ぐ。
赤い糸よりも忌々しいその糸を間に入って叩き切ってやりたいと思ったが、私の願いが叶った様ですぐにその糸は断ち切れた。
「んっく、ぅっ…あ……あ…………い、イク…、も、いっちゃう……!」
「はあ?何?もうイっちゃうの?お前、相変わらず早いのな」
「な…、なに、言って……?」
「ガキの頃、近所の兄ちゃんの部屋からこっそり借りて来たエロビ見て良く一緒にしこったじゃん」
「そ、それは!黒歴史の扉を開くな阿呆!!」
焦った表情で叫ぶスノーホワイトの体を、ルーカスは己の雄を射し込んだまま椅子の上でひっくり返す。
「ふあ!?っあぁ、ああああああ――――っ!!」
中で陰茎が捻れひだが掻きまわされる感覚に、またしても肉の悦びを極めてしまったらしい彼女が甘い悲鳴を上げる。
男は痙攣しているスノーホワイトの華奢な身体を椅子の上から抱き上げると、上体をキッチンテーブルの上に乗せる。そしてテーブルの上に手を付かせると、まだ脂肪の乗り切っていない少女の尻臀を高く持ち上げて彼女の中を激しく抉りはじめた。
「っん!!あっ!あ、ああっ!は…ぁっ、ん、ぅ、んん……っ!!」
「なあなあ、女の体になって男に犯されるのってどんな気分?」
「やっ……ゃぅ!あ……はあ、ば、ばか、なにいっ、て……」
「教えろよ、なあ、アキラ」
それからしばらく押し問答が続いたが、決して答えようとしない彼女にルーカスは痺れを切らしたらしい。彼女を咎める様に尻臀を抑えていた手を前方に回す。
彼の手は敏感になり過ぎている花芯に触れた様で、スノーホワイトは手を立てていたキッチンテーブルの上にガクンと崩れ落ちた。
「!ひっ、あ、……や、やぁああっ!!」
テーブルの上に置いてあったガラスのスパイスラックがガチャンと音を立てて倒れる。
それでも男は容赦なく、後から彼女の子宮口を突き上げ続ける。
「しかもお前さ、今俺に犯されてんだぜ?お前俺の事嫌いだったよな?キモオタキモオタって自分の事からかってた男に、こんなドロドロになるまで犯されるのってどんな気分?」
「わかん、な……い…!わかんない!!」
「わかんねぇワケねぇだろうが。ほら、こうやって、ちんぽ奥まで突っ込まれて、尻穴まで見られて、一番恥ずかしい格好させられてよ、なあ」
「ばか!!やめろ、馬鹿!!変態!!」
不埒者の手がスノーホワイトの尻たぶを両手で押さえ、左右にグッと押し開く。
こちらからは見る事は出来ないが、今彼には彼女のもっとも秘めやかな場所が丸見えだろう。
「こうやって、嫌いだった男に後から子宮口ガツガツ突かれて、精液注ぎこまれんのって、どんな気分?お前すげー気持ち良さそうだけど、そんなにちんぽっていいもん?」
「ひぁ!あっあん!あ!ああっ、ば、ばか……へんたっ…い…!!」
「変態はそっちだろ?男に犯されてこんなに感じてる癖に」
「――――んっ……んん!…ふっ、ぅ、ぅぅぅーっ!!」
彼女は自分の口を手で塞ぐと、むせぶような喘ぎ声を必死に堪えた。
「お前、中出しされるの好きだったよな?俺は今も昔も男だし、自分の中に精液 注ぎ込まれんのなんて気持ち悪いとしか思えないんだけど。――――お前、もしかして昔からそっちの気あった?」
屈辱的な責め苦に彼女は口を押えながら、必死に頭を振り続ける。
「もし俺がお前みたいに女になっても、男に犯されるなんて死んでもゴメンだわ」
「俺だって!男なんて、死んでもゴメンだっつーの!!お前のちんぽなんか!ぜんぜんっ、きもち、よくなんか、な、ないし!!」
男の酷い言葉に怒り心頭に発したらしいスノーホワイトは、口元を抑えていた手を外すと、弟の騎士を振り返って叫ぶ。
その言葉にルーカスの唇に嗜虐的な笑みが浮かんだ。
「へぇ…?」
「おい!ばか!あんま調子のんな!殺すぞコラ!」
「俺に犯されて、ただ喘ぐ事しか出来ない非力な美少女が何言ってんの?」
「っん!だ、だめ!待って!まっ、――!」
ルーカスはいったん彼女の体から自分の陰茎を抜き、彼女を抱き上げると更に奥を激しく穿ち始めた。
いつもならとっくの昔に乱入しているのだが、恐らく彼等の話には続きがある。――私はそれを聞かなければならない。
私は昂ぶる雄を持て余しながらキッチンの扉に背を預け、腕を組んだまま二人の情事を見守った。
『あ、アミール王子……、やっぱり怒ってます…よね?』
幽魔がおどおどと声をかけてきたこの時点で、私はルーカス・セレスティンの事を頭の中で87回殺していた。
『なんか、空気が、空気が、恐ろしいんですけど……』
私は無言で返すと、腰がくだけそうな位に甘く、雄に絡みついて蠕動するスノーホワイトのあの極上の肉の感触を一人で味わっている男の事をまた脳内で抹殺した。
(見せつけてくれるじゃないか、シモムラ…)
ルーカスが2回達し、スノーホワイトが12回達し、私が己の脳内で108回ルーカスの首を叩き切った辺りで、二人の営みは終了した。
途中、何度も慰めにもならない事をおどおどと話していた幽魔だったが、その頃になると彼ももう何もしゃべらなくなっていた。
私の想像通り、二人の話は先程の続きに戻った。
「真剣な話をするとして。まさかこれって、本当に今流行りの異世界転生って訳じゃねぇだろ?現実的に考えて何かの陰謀に巻き込まれて脳死状態になった俺達が、最新ゲームのVRバーチャルリアリティの被験者にされてるとかそんな感じ?」
「それにその実験の舞台が乙女ゲームはありえねぇだろ…」
「あるかもしんねーじゃん?何かの心理的な実験で、俺達みたいな一般人の心理や適応力が見たくてあえて選んだとか」
「ないないないない」
異世界の陰謀論やら秘密結社など、私には良く分からない話になる。
(ああ、そうか。この二人はウンディーネに自分達が召喚された事を知らないのか)
母上と聖女を呼び出した時と違い、ウンディーネは今回単身で不完全なまま聖女を召喚したと話していた。
「ゲームで言えば、ルーカスとエミリオ王子がお前の前に現れる前のイベントん所だと思う」
「ああ、お前達がフロリアナに負けて城を追い出される所な」
「え?」
「フロリアナだろ?アミール達の義母のフロリアナ」
「もしかしてお前知んないの?このゲームのラスボスって大臣のオッサンなんだよ。その大臣のオッサンの姪がラインハルト国王陛下の後妃のフロリアナ。そいつらの陰謀で追い出されたんだろ?」
(イベント?ゲーム…?さっきから何を言っているんだ?)
―――そして私は知る。
彼等は私達がこれからどうなるのか私達の未来を知っていると言う事を。
そしてその未来はいくつかあるらしい。
(どういう事だ。未来予知なのか?これが聖女の力…?)
今の状況は彼等の知っている未来と違う物らしい。
二人の話によると、本来ならば私達は今、フロリアナと王位を巡って争っていたのだそうだ。
つまりホナミはイレギュラーな存在だと言う事か。
(確かにホナミさえ現れなかったら、フロリアナは今も生きていた。恐らく私は今もフロリアナ達と玉座をめぐって骨肉の争いを繰り広げていただろうな)
私がフロリアナ達に負けて、スノーホワイトが大臣ウーヴェの愛妾となる未来もあると聞きゾッとした。
それはスノーホワイトも同じらしく、彼女も蒼白の表情となり床に座り込む。
「よくわかんねぇけどよ、……俺もお前もゲーム開始時点っつーか、ゲームの『白雪姫と7人の恋人』のスノーホワイトちゃんとルーカスの登場シーンで記憶が戻ってんじゃん、もしかしたらそこに解決の糸口があるんじゃねーの?」
「つまり?」
「お前は時代遅れだっつってたけどよ、取りあえずこのゲームをクリアしてみようぜ?ゲームが終了したら俺達のこの世界の役目も終わったって事で、スノーホワイトからもルーカスから俺達の記憶が抜け落ちて、現実に帰れるとか…?」
「そ、そうか、確かに…!俺達キャラクターの登場シーンの所で記憶が戻ったんだもんな!!ゲームが終了する所まで行けば元の世界に戻れる可能性も…!?」
元の世界に帰れるかもしれないと聞いて、明るくなった彼女の顔に胸が締め付けられる。
彼女はやはり元の世界に帰りたいのだろう。
「――…って、現実世界の俺達は実は死んでる可能性は?その場合ゲームをクリアしちゃったら、記憶と一緒に全部消えてなくなる可能性が出て来ないか?ゲームのエピソードを全て消化した後もそのまま記憶は残ってて、こっちの世界でそのまま生きてく可能性だってあるだろ?」
「ま、まあそれはそうなんだけどよ、そこはお約束の神様を信じるしか……」
「そんな神様本当に存在すんなら、今からお百度参りに行くわ」
「今から二人でカルヴァリオに聖地巡礼にでも行っちゃう?」
(―――ゲームと言うのはイマイチ良く分からないが、……まあ、ここから先は直接聞けば良いだろう。)
「面白い話をしているね?私にも詳しい話を聞かせてくれないか、ルーカス・セレスティン。――…いや、シモムラ・シゲルと呼んだ方が良いのかな?」
私が声をかけると、二人は慌ててこちらを振り返る。
私に話を聞かれた事をまずいと思ったのか、面白い位に二人の顔は引き攣って行った。
「スノーホワイト。いや、ミウラ・アキラ。――……君はもしかして、以前我が国に降臨した聖女ホナミ・ミウラの縁者なのか?」
(君がこの世界と私を捨てて元の世界に帰ると言うのならば、私は――…、)
「困ったねぇ。ねえ、アキラ。君もこの世界を救ったら、聖女ホナミの様に異世界に帰ってしまうのかい?」
抜刀した”幽魔の牢獄”が光る。
―――絶対に逃がしてなんかやらない。
「これで少し頭冷やしとけ、王子様!!」
「小麦粉……?」
そしてまたしても彼女は私の想像を超えた。
スノーホワイトが戸口に投げた小麦粉が謎の爆発を起こして、彼女達はまんまと私の元から逃げ遂せたのだ。
「くくく……あはは、あはははは!面白い、本当に面白い!これは何がなんでも手に入れないと!」
(絶対にあなたを私だけの物にしてやる。)
今までは止む追えず共有していたが、お遊びの時間もそろそろ終わりだ。
「私は貴女の事を逃さない。泣いても叫んでも、元の世界になんて帰してやらない。――…ねえ、スノーホワイト?」
私の情念に共鳴した『幽魔の牢獄』がうっすらと光った。
****
「たっただいまー!!」
「今帰りましたー!!」
それから程なくして二人はいそいそと家に帰って来た。
不自然な笑顔を顔に張り付け、何故かぎこちなく手などを繋いでいるが、両者の左右の手足は一緒に上がっては下がりギクシャクとした様子だった。
「ああ、お帰り、良い所に帰って来たね。丁度パンが焼けた所だよ」
何事もなかった様な顔をしてキッチンから顔を出し、ダイニングに入って来たスノーホワイト達に声をかけると、二人は緊張感を隠し切れない表情で会釈を返す。
本当に丁度良いタイミングだった。たった今、黒パンが焼けた所なのだ。――とは言っても、今朝の朝食当番のスノーホワイトが消えたせいで、腹が減ったと騒ぐヒルデベルトに叩き起こされて朝食を作らされ、更に小麦粉で真っ白なキッチンの片付けをする羽目になったエルヴァミトーレの機嫌はまだ直っていない。
結局彼等はここに帰ってくるしかないのだ。――元の世界に帰りたいのならば、この二人は私の傍から離れられない。
それを重々承知していた私は二人を追いかける事もせず、エルヴァミトーレを宥めながら彼の手伝いをして呑気に目覚めの珈琲を飲みながらパンを焼いていた。
「ルーカスさん!アミー様から聞きましたけど、キッチンを小麦粉だらけにしたのってルーカスさんのせいなんですよね!?」
「え!?俺のせいになってるの!?なんで!!?」
私の横をすり抜けて、肩を怒らせながらルーカスの前に行くエルヴァミトーレに、彼は素っ頓狂な声をあげてこちらを振り返る。
「あ、あの!アミー様!!これって俺のせいでしたっけ!?」
「え?そうじゃなかったかな」
「いやいやいや、俺じゃないでしょう!!」
「私が私の最愛の姫君 が不利になる様な事を言うと思う?」
「そんなのどっちでも良いですよ!!ルーカスさん、罰として今日からトイレ掃除1カ月お願いしますね!?」
「そんな殺生な!!」
私達のやり取りを黙って見守っていたスノーホワイトが、そこでごほん!と咳払いをした。
「あの、今日は皆さんに大切なお話があるんです」
その言葉にルーカスはハッとした様子でスノーホワイトの元に戻る。
そしてスノーホワイトの隣に立つと彼女の手を握った。
「そうそう、ご報告があるんですよ!」
「俺達!」
「私達!」
「付き合い…、」
「結婚しまーす!!」
―――スノーホワイトの言葉を遮って、威勢良く言い放ったルーカスのその言葉に、部屋にいた私達6人の恋人の顔から表情が消えた。
上の「ガキの頃、近所の兄ちゃんの部屋からこっそり借りて来たエロビ見て~」云々ですが、あの二人は別にホモってた訳ではありません。
「おいシゲ!須藤の兄ちゃんに聞いたんだけどさ、ちんこをこうやって触るとすっげー気持ち良いんだぞ!お前知ってた!?」
「うわっ、何だこれ!本当だ、すっごい気持ち良い!アキラ君、教えてくれてありがとう!!(まだ純情)」
「でなでな!なんかこのままシコシコしてるとなんか白いのが出てくるんだよ!!それが出ると超気持ち良いんだって!!」
「えっ白いの?なにそれ怖い」
「いいからやってみろって、マジで気持ちいいから!!」
と言う、仲の良い男友達や男兄弟にありがちなやりとり事をしただけです。
少しアレな続きは拍手に載せてあります。
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