恋人3、Sneezy
後半、女攻め描写があるので苦手な人は注意して下さい。(とは言っても掘りませんし指入れもないぬるい物です)
でもって次話で男攻めに逆転します。
あの後、伯爵家は揉めた。
流石の僕も家名を返還し財産も断ると言ったが、父は絶対に僕に相続させると言って聞かない。
レベッカ夫人の親族も駆けつけ、ヴィスカルディ伯爵家は揉めに揉めた。
『エルヴァ、どうやら君には魔力がある様だね』
親族間の醜い争いを見せたくないと思ったのかもしれない。
僕に魔力がある事を知った父さんは「今の時代、魔術が使えた方が出世争いでも有利になるよ」と言って、僕を大陸でも有数の魔導大国に短期留学を薦めた。
正直この留学費用と父さんが僕に渡した「お小遣い」は、僕と母さんが今まで生きて来た18年間の生活費を合計した額の2倍は軽い。
金と言う物はやはりある所にはあるんだなとしみじみと思った。
言っても詮無き事だが、母が出て行く時にこの金を渡してくれれば…と思わずにはいられない。
こんな大金を使わせるのは悪いと言う思いもあったが、僕があの家に居難いのも事実だ。そして今後行政府で働くにあたり、魔術が使えた方が有利なのも事実であった。
僕はありがたく留学に行かせて貰う事にした。
僕には魔術の才能もあったらしい。
メキメキと魔術を覚えて帰国した僕は、短期間で異例な出世を遂げる。
元々その留学先のアドビス神聖国が魔術師の育成に力を入れ、魔術師や魔具を使った兵器で軍事力を伸ばしており、我が国も軍事に魔術を取り入れようとしていた時期だった。
先日議会で国内の魔術師を管理し育成する協会を作る事が可決されたのだが、いずれその最高責任者にと僕が推された。
帰国後、僕は伯爵家を出てルジェルジェノサメール城で暮らす事を選んだ。
僕が直接レベッカ夫人を殺した訳ではないが、僕が伯爵家に赴く事がなければ彼女は今も生きていただろう。
そう思うとやはり伯爵家では暮らし難かった。
何度も引き留めてくれた父には心苦しく思う部分もあって休日何度か会いに行ったが、向こうも相当忙しいらしい。それ以降父と面会する事は出来なかった。
イルミナートも月の半分は王城で暮らしていた。
多忙な為、家よりもこちらで寝泊りした方が時間の節約になるらしい。
正直彼とはあまり顔を合わせたくなかったが、兄はこの国の宰相閣下であり、行政府で働く僕達文官の最高責任者に当たる。
城で顔を合わせる事は多々あった。
彼はあまり僕と話をしたがらなかったが、それは僕も同じだ。
(まさか自殺するなんて……)
兄と顔を合わせる度、レベッカ夫人の事を思い出して暗澹たる気分になる。
(なんで何も言わないんだよ…?)
不思議な事に彼はその事について、僕を一切責めなかった。
初めて会った時の様に「お前のせいで母は死んだんだ、この妾腹」とでも言って、酷い言葉で僕を罵ってくれれば良いのに。そうすれば僕も躊躇いなくあんたの事を嫌いになれる。
しかし彼はそれをしない。母の死など何もなかったかの様な態度で僕に接して来る。
宰相のあの人に僕を潰す事なんて造作ない。それなのに彼はいつも僕を”正当に”評価した。
そんな公正さに僕は最初戸惑った。
それどころかあの男はトントン拍子に出世して行く僕を煙たがっている連中から、僕を庇っている節まである。しかしそんな事をされればされる程、彼に対して反発心の様な物が芽生えて行った。
これは文官になって一番驚いた事なのだが、どうやら僕は相当賢い人間だったらしい。
士官学校も首席で卒業したし平均より物覚えが良い自覚はあったが、リゲルブルクの様な大国で実際国を動かしている様なお偉方は、僕なんかよりも遥かに優秀で卓越された頭脳を持つ人間だと思っていたのだ。
国の中枢部に居る役人の面子を知って、愕然とした。
士官学校を卒業したばかりの若造の僕が驚く程無能な役人達しかいないのだ。
それだけならまだしも、民の生活の事よりもいかに自分の懐を増やすかしか考えていない低俗な人間も多かった。
尊敬出来ない上司の下で働く事程ストレスの溜まる事はない。
城内で公然と賄賂が行き来するのを何度も見聞きした。
何十年も行政府にいる先輩達の話を総合すると、賄賂はフロリアナが王妃になった辺りから幅を利かせる様になり、寵妃ホナミがやって来てからは一段と酷くなったらしい。
袖の下を受け取る上司を目にする度、こんな奴等が庶民である僕等の命運を握っていたのかとゾッとした。
―――金コネの力で役職に就いた無能な連中とする椅子取りゲームで勝ち進む事は、さほど難しい事ではなかった。
どんどん胸元を飾る勲章の数が増え、勲章のデザインも派手になって行く。あっと言う間に尊敬出来ない上司は無能で使えない部下となり、年上の部下の数と給料の額は増えて行く。
今までの苦労ばかりの人生が嘘みたいに、全てがトントン拍子に進んだ。
―――と思ったのだが。
やはり人生、そんなに甘い物ではないのだ。
産まれも育ちも悪い年下の上司 を面白く思わない存在は多かった。
年上の部下と接する時は細心の注意を払っていたつもりだったのだが、そんな僕の態度は逆に彼等の反感を買ってしまう。当時は「ならどう接するのが正解だったのだろうか」と思い悩んだが、今となっては僕がどんな態度で接しても彼等は気に喰わなかっただろうと思う。何故ならば、彼等が一番気に喰わないのは僕の年齢や生まれ育ちではなく、僕の存在そのものだったのだから。
人とは年を重ねれば誰もが人格に深みが増し、人間が出来るものでもないらしく、僕の様な若造が活躍すれば面白くないと感じる眉雪は一定数存在した。
彼等は良く酒の席で女は嫉妬深い生物だと笑っていたが、出世争いの世界では男の嫉妬の方が遥かに酷いと思う事が多かった。
自分が努力をしても成果を出せない事が解っているからか、努力をする人間を嘲笑う連中も多かった。彼等はいつだって何の努力もしていない癖に、努力をした人間が成果を出せば怒り狂い、足を引っ張りたがる。
匠な老練に揉まれ磨かれるのなら大歓迎だが、大抵はそうではない。
自分のキャリアや能力を客観的に評価が出来ないが故に、自分を大物だと信じて疑わない無能は、正当な評価を下されれば攻撃的になる。今までずっと部下のアイデアや手柄を自分の成功にして出世して来た小賢しい無能は、僕が自分や自分の同期や部下の当然の権利を当然の様に主張すれば激しく激怒した。
無駄に年を重ねただけの幼稚な人間は案外多かった。
行政府での仕事はやりがいがあって楽しかったが、そんな彼等の目に見えない嫌がらせに心が折れてしまいそうになる日もあった。
―――貧民街に限りなく近い場所で、貧民 として世間の冷たい視線に晒されながら育った僕は、人間と言う生き物の本質について良く理解していたつもりだった。
しかしそれでもやはり僕はまだまだ経験の少ない、尻の青い若造だったのだ。
母の死に続いてレベッカ夫人の死と、立て続けに事件が起こり、空気の抜けた風船の様になっていた所で父が死んだ。
毒殺だった。
事態の成行きに付いていけず唖然としている合間に元上司達は共謀し、僕はあれよあれよと言う間に「アミール王子派」とされ国外追放された。
****
「メイド服にしますか?それともこっちの白いワンピースなんてどうです!?」
「……なんでそんなに嬉しそうなの」
しかし人生とは不思議な物で、僕は今のこの生活に満足しながら暮らしてる。
それもこれも今、小躍りしながら僕の目の前でスカートを選んでいる少女――スノーホワイトのお陰だ。
「修道服も良いですね!私とエルのサイズって大体同じですし、きっとこれも大丈夫かな?」
「……ところでなんでこんなにマニアックな衣装ばっかり持ってるのか聞いてもいい?」
修道服を胸元に当てて体に合わせられるが、なんでこんな服まで彼女が持っているのだろうか。
「修道服と治療士の服はイルミナート様が、メイド服はルーカスさんが街で買ってきてくれました!こちらの甘ロリはヒルですね」
「…………。」
あまり知りたくなかった彼等の趣味を知る。
そういう僕が先日プレゼントした貞操帯が彼女の背後で一際悪目立ちしてるこの現状、あまり他人の趣味をどうこう言えた立場じゃないのは分かってるんだけどさ…。
「なんかさ、もっとこう、……普通の服はないの?」
「ごめんなさい、今全部洗濯中なんです。……で、どれにしますか?」
ニコニコと微笑むその笑顔は今日も天使の様に愛らしいのだが、何だかとてつもなく胡散臭い。
しかし愛する彼女に「嘘ついてるでしょ?」と疑ってかかるのも気が引ける。
「…………。じゃ、これで」
僕が選んだのは修道服だった。
兄の趣味だと思うと少しアレだが、他の服は少し動くと下着が見えそうな位スカート丈が短いのだ。
いくら僕が女顔で筋肉が付きにくい体質故に女性と間違われる事が多いとは言え、男があの短さのスカートを穿いたら流石に犯罪だと思う。
その点、修道服は踝まで長さのあるロングスカートだったのでまだマシだと思った。
「では早速お着替えなさいましょうか、手伝いますね」
「……いいよ、一人で着替えられるし」
「遠慮しないで、女性の服って殿方様方からするととても複雑な構造なのでしょう?」
「……こんなのただ頭と腕を通すだけでしょ。森に着いたら一人でこっそり着替えるから大丈夫」
「ええええええ!!じゃあ見れないの!?修道女 妹姫 エルにゃんは見れないの!?」
「……にゃんて何。僕猫じゃないよ?」
(それに修道女 のお姫様なんて聞いた事がないよ…、一体どこの国の話だよ…?)
この子、たまになんだけど、ちょっとおかしな時があるんだよね…。
や、別にそれが嫌だとか迷惑だとかそういう訳じゃないし、全く問題ないし、可愛いし大好きだし愛してるんだけどさ…。
(そうだ、確か今夜は兄さんの日だったな)
ふとある事を思い出して、僕はちょっとした嫌がらせをイルミナートに仕掛ける事にした。
「ねぇ、スノーホワイト。うちの家庭菜園の横にある大きなもみの木は分かるよね?」
「え?ええ…」
「僕はあの木の下に隠れてるから。良かったら今夜、部屋を抜け出して遊びにおいで?」
「へ?」
きょんとする彼女に、打算的な笑みが口元に浮かぶ。
「来てくれたら、――二人でたくさん楽しい事しよっか?」
「た、楽しい事……!?」
「勿論、この服を着たまま」
「き、着たまま……!?」
瞬時に朱色に染まる頬を見て内心ほくそ笑む。――彼女は僕の女装に弱い。……何故かはあまり考えたくないが。
「そう。来てくれたら、いっぱいエッチな事してあげる」
****
ホウホウホウ、
バサバサバサッ。
頭上のもみの木の枝に留まっていたフクロウが、バサバサと夜空に飛び立って行くのを見上げながら僕は溜息を一つついた。
「…………。」
結論から言えば彼女は来なかった。
(だよなぁ…)
あの鬼畜が朝まで彼女を離すとは思えない。
今頃彼女はあの男の腕の中で蕩けている最中だろう。
今晩の衣装はあのなんちゃって治療士の制服だろうか。
下着どころか臀部の下半分の肉が丸見えになってしまうであろう、マイクロミニのスカートを穿いた彼女を兄がベッドに押し倒す所を想像してしまう。
あの男の事だからきっとオプションであった何だかとっても太くて長い注射器も使うのだろう。沢山ゼリー状の媚薬をあの注射器に沢山つめて、きっと前か、いや、お尻にズプッと……、
「あ……」
スカートの上の不自然な盛り上がりに気が付いて、僕はまた溜息混じりに修道服着のロングスカートの裾を捲り上げてみる。
(我ながら酷い格好…)
あの後、鬼気迫る表情のスノーホワイトに「男物の下着なんて危険です!戦闘の最中にスカートが捲れてしまったら、女の子じゃないとバレてしまって銀狼の怒りを買ってしまうわ!!」と力説され、彼女の勢いに飲まれて頷いてしまったせいでスカートの中は酷い事になっていた。
贅沢な刺繍とアンティークレースの組み合わせが印象的な純白のストッキングは、ガーターベルトで腰に吊られており、ストッキングの上のミルキーピンクのショーツが、この女性用下着には不適切な盛り上がりを包み隠している。
そのショーツは繊細なフラワーモチーフがいたる所に刺繍されており、妙にフェミニンなデザインなのだが、その生地はシフォンのシースルーと言うとてつもなく破廉恥な素材で作られている。
スノーホワイトが穿いていたら「フェミニンなのか破廉恥なのかハッキリしなさい!」とか何とか言っちゃって、良く判らない言いがかりを付けてイジメ倒したくなる下着なのだが(勿論性的な意味で)、今これを穿いているのは僕自身だと言うこの虚しさよ…。
春の草花模様がとても可愛らしい下着ではあるのだが、布の素材とデザインからして、女性が普段着用する下着ではなく夜専用の下着に見える。
ちなみにこの下着、ガーターベルトとストッキングとでワンセットになっているらしい。上にベビードールもあったが、流石にそちらは不要だろうと断った。
すると何故か彼女は今にも泣き出しそうな顔をしたが、泣きたいのはこちらの方である。
(何が楽しくて、好きな女の子の前でこんな格好をしなくちゃいけないんだよ…?)
ショーツの不自然な盛り上がりを見て、何だかまた切ない気分になる。
男の僕にこんな格好をさせて、一体何が楽しいんだか。……大好きなあの子の事が僕、良く解らないよ…。
(……欲求不満なんだろうなぁ)
何だかんだであの小屋の住人が八人にまで増えた。
主寝室が一つにゲストルームが三つあるあのログハウスは、およそ小別荘 の様な造りをしている。
主寝室には大きなベッドが一つ、ゲストルームには二組のベッドが置かれてある。
つまり、八人の人間が住んでいるのにあの家には七個しかベッドがない。
必然的に主寝室の大きなベッドに二人の人間が寝る事になる。
当然、男同士で寝たいだなんて人間は一人とて存在しない。誰もが愛しの姫君――スノーホワイトとの同衾を望んでいる。
流石に人数が増えたと言う事もあって、彼女の負担を考え一晩に一人交代制でと言う暗黙の了解が出来たのだが、若い男の体は七日に一度の射精で満足出来る様には出来ていない。
定期的に抜いた方が良いと頭では理解しているのだが、いつもどこかに誰かしら居るので一人でこっそり抜く場所も時間もない。
なんとか愚息を収めようとするが若さ故にそれも難しい。
考えない様にしようとすればする程に、あの男の腕の中でよがる彼女の姿が瞼に浮かび、僕は溜息混じりにシフォンのショーツの中からソレを取り出した。
「はあ、惨め……」
しかし「兄さんは今頃快適な部屋の中であの子と裸で抱き合っているだろうに、僕は屋外で一人、薮蚊達と戦いながら自分を慰めるのか…」と思うと、とてつもなく惨めな気分になり、急速に萎えて来た。
「寝よ寝よ」
萎んだ物をさっさとショーツの中にしまい、スカートを直すと小屋から持って着たタオルケットを掛けて僕は眠りに付いた。
にゅちにゅちにゅち…、
(なん、だ……?)
腰の辺りが甘くだるい。
「んっ………、ぅ…」
腰の辺りに何かがこみ上げてくる感じがして、尿意と似て非なるその感覚に堪らず腰が浮く。
そのムズムズ感から逃れようと寝返りを打とうとするが、何故かそれが出来ない。居ても立ってもいられない妙なソワソワ感から逃げようと身を捩ると、ガチャガチャと無機質な金属質な音が耳に届いた。
「あ、……や、や…だ…」
「嫌なの?でももうエルのここはこんなに硬くなっていますよ?気持ち良いでしょう?」
にゅぷ…、
にゅちにゅち、ジュプププ……!
「ん、……きもち、いい……かも…」
「でしょう、気持ち良いでしょう?『お姉様、エルね、おちんちんが気持ち良いの』って言ってみてくださる?」
「おねえさま、える……おちんちん、きもちいい…」
「か、可愛い……可愛い可愛い可愛い可愛い……っ!!!!」
更に増して行くムズムズ感から逃れようとすればする程、冷たい金属の音と粘着質な水音が激しさを増して行き、僕の意識は覚醒した。
「ご機嫌よう、エル子ちゃん」
「……?」
ぼんやりと目を開けると、目の前には満面の笑顔のスノーホワイトが居た。
彼女の白い白魚の様な指には、透明なガラス瓶が握られている。
(なんだろ…、これ……?)
僕の陰茎の上にはガラス瓶が被せられていて、彼女はそれを手に握っていた。
この瓶、見覚えがある。
うちでジャムを保存してる中くらいの大きさの瓶だ。
瓶の中には謎の白い物体がみっちりと詰められており、それに僕の性器は包まれている様だった。
僕に絡みつくようなそのもっちりした白い何かは、人肌程度のほどよい温かさで妙にぬるぬるしている。彼女と一つになっている時の事を思い出さずにはいられないその感触に、自然と腰がもぞつく。
「な、に……してるの…?」
「なにって、昼間約束したでしょう?夜、エッチな事たくさんしようねって」
「え……?」
彼女は満面の笑みを浮かべたまま、僕の物に被せたジャム瓶をゆっくり上下させはじめた。
じゅぼじゅぼと通常の性行時よりも大きい卑猥な音が鳴り響くのと同時に信じられない程の快楽が走り、体が熱くなって行く。
「ッひぁ! ちょ、ちょっと、待って……!?」
その時になって僕は自分の手が後の木の幹に回されて、手錠で戒められている事に気付いた。
「やっ、あ、だ、だめ、……んんんんっ!ちょっと、ま、待っ」
「駄目よ、夜はそんなに長くないんだから」
彼女は天使の様な笑顔で微笑みながら、身動きとれない僕の物を上下に擦り上げる。
相手は非力な女性だとは言え、僕と彼女の体格はそう変わらない。
両手を戒められた状態で大きく脚を広げられ、脚の間に入り込まれて体重を掛けて押さえつけられてしまえば僕にはもう抵抗のしようがなかった。
「やだ、やめ……っ! はぁっ、ぁ、……ぅ……ッんん……!」
強く弱く、早く遅く、緩急を付けた少女の手の不規則な動きに翻弄される。
次第に呼吸は乱れ、心臓と股間はドクドク波打って。足には痺れが、腰には震えが走った。
自身の雄全体にまとわりついて離れない、少女の肉ひだに良く似た何かでヌルヌルと擦られる感覚に、全身に電流を流した様な鋭い快感が駆け巡る。
「ッあぁ、んんっ、……ぅん、ぁっ、ああああああ――――ッ!!」
僕が達したのを確認すると、「上手にイケましたね、偉いわエル」とスノーホワイトは優しく微笑んだ。
頭上の月明かりに照らされた彼女の笑顔は、まるで月の女神様か何かの様に神々しくて美しい。思わず見惚れていると彼女はきゅぽん!とジャム瓶の中から僕の物を引き抜いた。
中から溢れる白濁液を見つめながら彼女は満足そうに微笑む。
「わ、沢山出ましたね。気持ち良かった?」
「気持ち良かったけど、……なんなの、これ…?」
「”ポテトスターチEX異世界改良バージョン”です」
「はあ…?」
「片栗粉 を瓶に入れて水で溶いて固めたんです。その中に菜箸を数本縛った物を挿して形を取りました。私のこだわりは中の空洞の部分です。菜箸に輪ゴムを巻いて中に凹凸を作っているんですよ。ローションはなかったので、通りすがりの泡沫 タイプのスライムさんの体を少し分けて戴ました」
続けて彼女は、得意気な表情でそのポテトスターチなんちゃらの製作過程について話し出す。
彼女には悪いが、僕はその話の内容よりも何故自分がこんな所で寝ているのか、そちらの方が気になった。
(ああ、そっか。森の主を討ちに来たんだっけ……?)
射精後の脱力感と寝起きで回転の悪い頭で、眠りに付く前の事をぼんやり思い出していると、彼女は鼻歌を歌いながら僕の陰茎と陰嚢に銀のリングをセットして行く。
冷たい金属が性器に触れた瞬間、背筋がひやりとした。
「これ、なに……?」
「本当は自分は可愛い女の子だったんだって、たった一晩でエルにゃんに思い出して貰える性具 よ」
「……は?」
またしても訳の解らぬ事を言いながら、彼女はバスケットの中から瓶をもう1本取り出した。
その瓶は、以前赤ワインビネガーが入っていた物だった。
瓶の中のブクブク泡立つピンク色の怪しい液体は、どう見ても催淫効果のあるスライムだ。
何だか嫌な予感はしていた。
彼女はその瓶の中身を、先程絶頂を向かえたばかりの僕の陰茎にとろとろと垂らして行く。
「――ぁっ!」
ひんやり冷たい弾けるスライムの粘液を射精後で敏感になっている亀頭に垂らされ、思わず腰をビクつかせる僕を見て、スノーホワイトがまた「可愛い…」と熱に浮かされた瞳で呟いた。
「す、スノーホワイト……? あの、まさか、それ……?」
―――僕の嫌な予感は的中した。
今度はイけない様に根元と陰囊を縛られたまま、彼女の手でにゅちにゅちと扱かれて。――寝起きの悪さには定評がある僕だが、流石にもう完全に目は覚めていた。
「やだ、やだ、やめてよ……! スノーホワイト……!!」
「気持ち良いでしょう?スライムの粘液をたっぷりかけてあげましたからね。スライムってとても便利な生物だったんですね、ローションにもなるし、媚薬効果もあるし」
「ううう、もう、やだ……やめてよぉ…」
そんな事をされている内にも下腹から込み上げて来たものが尿道を押し開き、先端から熱い雫になって溢れ出す。
「あら、透明なお汁がとろとろ溢れてきましたね」
彼女の指が透明な液体に触れると、粘着質なそれは糸を引いてみせた。
スノーホワイトはしばらく糸を引く様子を見て遊んでいたが、ふと自分の顔の前まで持って行くと、僕のカウパー腺液が長く糸を引く様子を見て屈託のない笑顔になる。
(何やってるのー!!やめてー!!)
「イキたいよー、イキたいよー、ってエルのおちんちんが泣いてるみたい。とっても可愛いらしいわ」
目をギュッと瞑り歯を食い縛りながら、羞恥と快楽に耐え忍ぶが、彼女の責め苦は終わらない。
「あっ!おちんちんがビクビクしていますっ!射精 したいんですね?射精 したいんですよね?ビュビューって精液出して気持ち良くなりたいんですよね?」
「ひどい……なんで、こんな事するの…?」
「ああ……射精出来なくて辛そうな顔してるエルたそ可愛い、カワイソ可愛い…もう、もう、どうしよう。道踏み外しそう……って言うか、既に踏み外してる様な気がするよ俺…」
「いつもの仕返しなの? スノーホワイトはぼくの事が嫌いなの……?」
涙目で訴えてみるが、彼女は恍惚とした表情で熱い溜息を漏らすだけだ。
「嫌いな訳ないでしょう?私、ドライアドに虐められていた時のエルの事が忘れられなくて。あの日のエル、とっても可愛かった。赤頭巾と赤いスカートがとっても良く似合ってた。――…あの日みたいに可愛らしい格好をしてスヤスヤ眠っているエルを見ていたら、ついつい悪戯したくなっちゃって」
てへっと可愛らしく笑いながらも、彼女は上下する手の動きを止める事はしない。
―――とどのつまり、僕はスノーホワイトに夜這いをかけられたと言う事なのだろう。
世にも美しい姫君に夜這いをかけられただなんて、普通に考えれば男として栄誉な事だ。男なら誰もが誇らしく感じる事なのかもしれないが、僕は今全く嬉しくない。
何故ならば彼女は僕に男としての魅力を感じて夜這いをかけたのではなく、女装している僕に何かしらの興奮 を感じて夜這いをかけたのだ。
でもって僕は今、女物の衣装どころか女性用下着まで着用した情けない格好のまま木に縛られている。
中途半端に肉棒だけ取り出されたショーツの下で、リングに戒められパンパンに張った玉袋がものすごーく変態臭い。我ながら泣けて来るほど気色が悪い。……が、どうやら彼女はそうではないらしい。
スーホワイトの目は血走っており、心なしか呼吸も荒い。
(なんかこの子、はあはあ言ってるんだけど。……ど、どうしよう…?)
おかしいだろ。男に女物の下着穿かせて興奮するなんて、どう考えてもおかしいだろ…。
「実は前から思っていたんだけど、エルはおちんちんだけじゃなくてふぐりさんも可愛いのね、プリプリしててとっても美味しそう」
「ば……!!何言って!!」
恥ずかしい事を言いながら陰嚢を擦られて、真っ赤になる僕の頬にスノーホワイトは唇を寄せる。
「エル、可愛い……本当に女の子みたい」
ツツツ…、
睾丸の下の会陰部を下着の下から撫でられて、今まで知らなかった、知りたくもなかった奇妙な感覚に腰が跳ねた。
「やっ…」
「あ、ここですね、この下にエルの前立腺があるのね」
(え……?)
その言葉に背筋が凍り付いた。
彼女は今、何故ショーツの上から蟻の門渡りをふにふに押して、中にある前立腺の位置なんぞの確認をしているのだろうか。
男子寮住まいだった学生時代、何度か同性愛者の男子生徒に迫られた事があったが、あの時と同じ様な寒気が体を走る。
―――しかし、
「……っ、は、……はぁ、はあ」
今はそれよりも射精したくても出来ないこの状態の方が辛かった。
「……っ、ん、……も、やだぁ……いかせてよ、なんでこんな、意地悪するの……?」
「うふふ、エルが可愛いからいけないのよ」
言いながら彼女は腰を屈め、ショーツの上から陰囊に舌を這わる。
女性用ショーツから飛び出した異物を、ヌチヌチと手で上下にシゴきながら、下着ごと袋をしゃぶられて。陰茎と陰囊の際の部分やスジや袋の付け根まで舌でつつかれて、チュッチュと何度もキスまでされて。
そのいやらしい光景が何だかとても現実離れして見えた。
絶えず刺激を与え続けられ、しかし達する事の出来ぬ様に根元を固く縛られている雄がイキたいと悲鳴を上げている。
「もう、やだよぉ…、も、やめ……っ!」
「じゃぁ、エルも私の事を愛してくださる?」
「え……?」
スノーホワイトはゆっくりと立ち上がると、自分の夜着 を捲った。
ゆっくりと捲られたスカートの下には、女性である彼女にはあるはずがない物――つまり、男性器 があった。
しかも僕のよりデカイんだけど。なんなのこれ…。
「それ…」
引き攣った笑みを浮かべる僕に、彼女は小首を傾げ、はにかみながら続ける。
「実は私、さっきイルミ様に稀少なトリュフを戴いたんです。マジックトリュフと言うキノコらしいの。これを食べると男性は活力がみなぎり、女性には陰茎 が生えるんですって」
(知ってる。――…知ってるけど、随分とマニアックなプレイしてるなあの男も!!)
「ほら、見て下さい。さっきイルミ様に尿道攻めをされて、まだ痛いの。ほら、ここ、腫れてるでしょう?」
「いや、それ勃起してるだけだから」
(ってどこかで聞いた事のある台詞だな。……ああ、そうだ、ドライアド達のアレの後、僕が彼女に口淫 して貰いたいが為に言った台詞だ。)
しかし改めて他人の口から聞かせられると、なんて突っ込み所満載な台詞なのだろうか。
思わず半笑いしてしまう僕に、熱い眼差しの彼女が迫る。
「見て下さい、先っぽから涙みたいなのが溢れてるの。きっと痛いよ、痛いよって泣いてるんだわ。――…ねえ、エル、私の事を慰めて下さる?」
・・・・・・。
僕はしばし沈黙した後、意を決する。
「スノーホワイト、神に誓っても良い。僕は君の事を愛している。この世の誰よりも君の事を愛している」
「はい」
「君の為なら何だって出来る。本当だよ?本当に本当なんだ、君の為ならこの命だって惜しくない」
「はい」
「――――…でも、陰茎 は愛せない」
彼女のこれを見せられた時点で、僕の物は急速に萎え萎んでしまった。
正直な感想を真顔で告げると、彼女はやるせなさそうな顔で溜息を付く。
「悲しいわ、イルミ様は愛して下さったのに……」
「え?」
―――なんだって…?
(あの男、陰茎 を舐めたのか……?)
いや、男性器 を生やしたスノーホワイトといかがわしい事をしたかったからこそ、あの男は彼女にマジックトリュフを食べさせたのであって、それは別に不思議な事ではない。ないのだが。……うわあ、変態だ。変態がいる。その変態と同じ血が半分流れてるなんて、何だかすっごい嫌だ…。
―――しかし、
僕の男のプライドが、彼女への愛であの男に負ける事を許さない。
「……わかった」
「え?」
「あの人よりも僕の方が君の事を愛していると、証明してみせよう」
「エル、嬉しい!!」
(うわ……)
そのまま抱きつかれ、自分の物とにゅるん!と擦れ合ったその生々しい雄の肉感に腰が引き、顔が引き攣ってしまう。
「じゃあ、……よろしくお願いいたします」
照れくさそうにはにかむ彼女はとてつもなく愛らしい。真実、世界で一番可愛らしいと思う。僕が恋の病にかかり彼女に狂っている事を抜きにしても、彼女より可愛い女の子がこの世に存在する訳がないと真剣に思う。
「舐めて」とおねだりされたのが男根ではなく、いつも通りの彼女の秘所であったのならば、どんなに嬉しいご褒美だった事だろうか。
口元に添えられた脈打つ雄に一瞬怯んだ後、僕は覚悟を決めて一気に頬張った。
「ふあ……ぁん、すごい、これがフェラなのね……、んんっ、きもちいい……、エル、そこ、そこ、もっと吸って」
ピチャピチャと響く卑猥な水音と、彼女の甘い声に頭がボーっとして行く。
最初は自分の股の下にぶらさがっている物と同じ物を舐めるだなんて絶対無理だと思ったが、いざやってみれば意外にいけるものだ。
と言うのも男になった部分はそこだけで、スノーホワイトの上半身は女のままで、顔も声も愛する彼女のままだからだろう。
彼女の興奮具合が伝わって来て、半分萎えていた僕の物もまた鎌首をもたげはじめた。
それを見た彼女が「まあ!」と目を丸め、瞬きしながら自身の口元を手で覆う。
「嫌だわエルったら!おちんちんを舐めているだけでそんなにカチカチにしちゃうなんて!何故!?どうして!?――……ハッ、もしかして、エルってそっちの気があったんじゃ……、」
「んんんんん――――……っ!!」
可愛い顔を赤らめて、可愛らしい声で何ておぞましい事言ってるのこの子!!
(これは君の顔とか表情とか声が可愛いから反応しているんであって!!断じて今僕の口の中にあるもののせいじゃないから!!)
「ごめ、……も、イク、でる、で、でそう……!!」
口の中の肉棒を吐き出して何か反論したい所だったが、彼女はグイッと僕の喉奥に筋張った物の先端を挿し込んで、熱い物を盛大に吐き出した。
(うううう……取りあえず、飲んでおこう…)
いつも自分の物を飲んで貰っているのに彼女の物を吐き出したら、僕の愛が疑われてしまう。
あいつも飲んでる可能性があるし、と自分に言い聞かせて頑張ってゴックンする。
「すごい……きもちよかったよぅ…」
彼女はと言えば、初めて経験する射精に放心状態に陥っている様だった。
そのまま大地にぺたりとしゃがみ込む彼女に僕は出来るだけ優しい笑顔で、出来るだけ優しい声色で言う。
「ねえ、スノーホワイト。僕の手錠を取ってくれない?取ってくれたら手も使えるし、もっとキモチイイ事してあげられるよ?」
「え…?」
「僕達さ、初めて時もこの森で舐め合いっこしたよね?せっかく今、二人とも生えてるんだから、また一緒に舐め合いっこしようよ?きっととっても気持ち良いよ?」
「そっか……そうね…」
朦朧とした顔のまま彼女は頷くと、僕の手首を戒める手錠の鍵を外す。
―――かかった。
「スノーホワイト、君のそういう可愛い所、大好きだよ」
外された手錠を片手にそのまま彼女の唇に自分のそれを重ねる。条件反射で目を伏せる彼女を確認し――、
がちゃん。
「へ?」
辺りに冷たく響く無情な金属音と、離れていく僕の唇に彼女は目を開く。
自分の手首にハメられた手錠を見下ろしながら、彼女はポカンとした表情を浮かべた。
自分の性器を戒める金属の輪を1つづつ外して行く僕を、スノーホワイトは不思議そうな顔をしながらぽけーっと見守っている。
「……さて、と」
「ふえ?」
次に僕は彼女の体を抱き上げて、丁度良い高さのほど良い太さの木の枝に彼女の手錠のチェーンを引っ掛けた。
僕が手を放すと、スノーホワイトは両手を万歳をした状態で木に吊るされた格好になった。
爪先立ちになった足首が少し震えているが、そんなの僕の知ったこっちゃない。
「じゃ、次はスノーホワイトが気持ち良くなる番だね」
「え、エル……?」
流石に彼女も、まずいと気が付いたのだろう。
顔が蒼白になっている。
右手にはペニスリング、左手には彼女お手製の女性器を模した淫具を持つと、僕は暗い目をしたまま顔を上げた。
「幸いここはアミー様が張った結界内だし、君がどんなに叫んでも問題はない。――…今夜は声と涙が枯れるまで啼かせてあげる」
「げっ…」
―――そして僕の反撃が始まった。
とりあえずアンケートに出て来た物、数個詰め込んでみました。
アンケートにご協力くださった方々、どうもありがとうございました。
アキラ君のオナホ作りの知識と技術が異世界で役立ったと言う話。
次話調子にのっちゃったスノーのお仕置き&3pです。
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