恋人6、Dopey
「それでね、聞いてよ姫 。その時のエミリオの顔ときたらさ…、」
私は寝台の上でスノーホワイトに腕枕をしながら今週あった出来事を話をしていた。
一つ屋根の下で暮らしているとは言え、私達は二十四時間四六時中ずっと一緒にいられる訳ではない。
スノーホワイトには家事をして貰っているので、彼女は日中いつもパタパタしている。
少しでも愛する姫君と過ごす時間を増やそうと彼女の仕事を手伝おうとした結果、私には家の窓開けて空気を入れ替える仕事と朝晩カーテンを開け閉めする仕事を任せられた。……つまり私の家事能力では全く仕事にならないので、家事の邪魔をするなと言う事なのだろう。
少し悲しいものがあるが、それでも「ここに座っているのがイルミ様の仕事です」とスノーホワイトに1人掛けソファーへと誘導されたイルミよりは私の方がマシなはずだ。多分。
そんな私が日中彼女と愛を育もうとすると彼女のブレイクタイムを狙うしかないのだが、そこにはいつも邪魔が入る。何故ならば、ここには隙あらば彼女と二人きりになるチャンスを狙っている男が6人も存在するからだ。
と言う訳で。一緒に暮らしているとは言っても私の知らない彼女の時間も、彼女の知らない私の時間も案外多い。
なので私は彼女と過ごす夜は、体を繋げる前にこうやって彼女の知らない私の時間を面白おかしく話すのだ。
スノーホワイトもただ求められるばかりでは辛いだろう。
私は女性を守る事と女性を楽しませる事は私達男の義務だと思っている。
二人の一週間分の時間を埋める様にベッドの上でじゃれ合いながら軽く酒を嗜み、アルコールが苦手な彼女は適当な果物をつまむ。こうしてベッドの上でゆったりとくつろぎながら話をする事で、自分と言う男の事を彼女にもっと知って貰おうと言う下心もあるにはあるのだが、それはそんなに罪深い物ではないはずだ。
若い男女が閨に飲食物を持ち込んで、寝台の上に寝そべりながら話をするだなんて退廃的な感じがするが、そんな気だるい空気も悪くはない。元々男女の閨事には元々その手の不徳性を備えた艶冶さや、唯美性を秘めたデカダンスは付き物なのだろう。
「み…………さま…っ!」
「どうしたの、今夜も私を狂わせる魔性の妖精の恋人 」
それなのに私の可愛い姫君 ときたら、今夜はいつも以上に上の空の様子で私の話をちっとも聞いてくれてはいないようだ。
そんなスノーホワイトの様子に私は少し拗ねた顔をしてみせながら、枕元に置いたガラスの皿の上から黒紫色の実を一粒取って自分の口の中に放り込む。
「これは確かヒルが森で採って来た桑の実 だっけ? とても甘いな、まるであなたの唇の様だ」
自然の中で育った野性味のある味わいのこの果物は少し癖がある。とても甘い実もあればそうでもない実もあって、当たり外れが大きい。ヒルデベルトの話によると収穫時期や収穫する木によってかなり味が違うのだそうだ。
この森で暮らす様になって色々と良い経験をしていると思うのだが、実は私はこの実の中にある茎の様な物が少々苦手だ。ヒルやメルヒ殿は構わず食べているが、私はどうもこの茎の草っぽい味が苦手で、スノーホワイトにバレない様にこっそりとそれを取り除いた。
私は甘そうな桑の実 をもう一つ摘まむと、彼女の口元へ運ぶ。
「あなたも食べてみる?」
「あ……あ、ぅ、ぁ…」
「はい、あーんして?」
しかしいつまで経っても彼女が玩味する様子がないので、私は仕方なしに手に持っていたそれを自分の口の中に放り込んだ。
「どうしたの、食欲がない?」
困ったように微笑むと、彼女は苦しげな様子で歯を食いしばる。
汗で額に張り付いた彼女の前髪をかき上げてやりながら彼女の額に唇を落とせば、「可愛いな…」と言う心の声がそのまま口から洩れてしまった。
スノーホワイトは私の腕の中でビクンと体を震わせて一つしゃっくりを上げると、ぎこちない笑みを浮かべながら私を見上げる。
「っん、……ぁ……っぅ、……も、ゆるし、て……」
私が笑顔のまま「ん?」と首を傾げると、彼女は焦点の合っていない瞳からまた涙が溢れだした。
彼女の言いたい事は大方理解している。
実はもう、かれこれ三時間以上浮動石を彼女の陰核にテープで貼りつけたまま放置しているのだ。
浮動石を貼りつけているのは陰核だけでなく、乳首にも小さめの石をテープで貼って固定している。更に彼女の最も秘めやかな場所にはネックレスの様に紐に括りつけられた胡桃程度の大きさの浮動石を6個押し込んでいる。
「もう、本当にあなたは罪作りな人だ」
肛媾と言う爛れた悦びを知ってしまった罪深い窄まりから、猫の尻尾の様に揺れる紐を持ち上げると悪戯に引いて遊ぶ。
「二人きりで過ごせる七日ぶりの夜なのだから、もう少しは私の事を見てくれても罰は当たらないだろうに」
「ひゃぅぅ……っ!?」
窄まろうとする筋肉の輪をあざ笑う様にそのまま紐を引けば、浮動石が一つ彼女の体内から排出された。
毎年夏を待てずに儚く散りゆくラベンダーの花達が夏の空に恋する気持ちの様に、ほんのりと淡い恋色に色付いた蕾の淵が隠れて、美しい真紅の肉花が綻び咲く。
「私の話を聞いていなかったでしょう?」
「きいて…る、きいてっ…ま、す……!!」
「嘘吐き」
「ッあ!……んっ!あああああああああ!?」
無情にも一気に紐を引き抜くと、浮動石が連続で活躍筋にある末端神経を刺激しながら排出される感覚に、彼女は達してしまった様だった。
「男女の閨事など何も知らないような昼間の顔から、今のあなたの艶めかしい姿を想像する事など誰にも出来ないだろうねぇ」
「あ……あ、はあ、あ……、」
「こんな場所でこんなに感じてしまうだなんてあなたは本当にいけない人だ。――…ねえ、シュガー。昼間のあなたは一体何を考えながら夜を待ってるの? 案外、このいやらしい体の内でくすぶる熱を持て余しているんじゃない?」
私の言葉は今の彼女の耳には届いていない様だった。
朦朧とした表情で天井を見上げて、荒い呼吸を繰り返す姫君の半開きの唇から覗く赤い舌をペロリと舐めるようにして口付けを落とす。
「可愛いな…」
耳に届いた自分の声が妙に熱っぽい。
私は絶頂の余韻がまだまだ冷める様子のない体にまた一粒ずつ浮動石を埋め込んでいく。
「っ!ひぅ、……っん!…あ…ぁ、」
物足りない刺激で官能を煽られながら焦らされ続けて、全身が性感帯になってしまった彼女の肢体は、振動する石を一粒挿れる毎にベッドの上で面白い位にビクビクと跳ねた。
今のスノーホワイトの体は、本来ならば排泄する為の器官に浮動石を入れられる際に感じる圧迫感や、直腸粘膜を擦られる事を快感として感じてしまう淫らな体になってしまった。
彼女の体を他の男に使わせる事で私が唯一失敗したと思っているのは、彼女が私の想像を超えて感度が良く、快楽に弱かった事だろう。
もう普通の1対1の男女の普通の交わりで彼女の体が満足できるとは思えない。
流石に7人も間男がいるのは多すぎるが、弟やイルミ辺りとはこのまま関係を持たせ続けさせて、定期的に複数で抱いてやった方が良い刺激になるかもしれない。
「あっ!ぅ…っく、……おしり、も、やだぁ……! いっ、いれないでぇ!!」
「そんな事言っても、私は姫 の体の事をあなたよりも良く知っているから」
容赦なく最後の一粒まで挿れた後、私は彼女の耳元でそっと囁いた。
「……こっちも一緒に犯されるのが好きな癖に」
「ふ、ぁ……ち、ちが…」
パンパンになってしまった下腹の中で振動する6つの石にやるせなさそうな顔で首を横に振る彼女に、クスクス笑いながら耳元で続ける。
「嘘吐きはずっとこのままだよ? いいの?」
「あっ!あっ!み、耳、や、やだぁ……っ!」
「うん、知ってる、あなたは耳も弱いよね。ああ、もしかして私の声も好きなのかな?だから耳元で囁くだけでこんなに感じてくれるの?」
「ひあ!ぅ、っあぁ!」
ちなみにあれからずっとスノーホワイトの手はベッドの柵に繋いだままで、脚は大きく開かせて膝を折り曲げた状態で太腿と足首を縄で縛り上げて固定している。
紅潮した頬から細い首筋に、汗の玉が浮いた鎖骨のくぼみに、そして弾む胸の膨らみへとゆっくりと手を滑らせて、胸の頂きの部分で浮動石を固定しているテープの周りをゆっくりとなぞった。
木苺の花の様に甘やかな色の乳輪がテープの上下からはみ出しているのが、とてもいやらしい。
「あ……あ……、」
乳首に触れて欲しいのか、それとも感じ過ぎてしまったのか、スノーホワイトの背筋がシーツの上に浮く。
くすりと笑いながらテープの上から乳首の上の浮動石を強く押してやると、彼女は涙を流しながらそのしなやかな肢体をくねらせた。
そのまま乳房に浮動石が陥没する位押し込んだり、浮動石ごと乳首を摘まんで遊ぶ。
「ぃっ、いや!や!やだ、それ、や……やだぁ……っ、」
彼女は幾筋も涙を流しながら「ゆるしてください…!」と悲愴な面持ちで許しを乞うが、私はそれを無視すると白い肌の上にうっすらと浮いた恥骨の周囲を撫で回す。
じっとりと熱を持った場所の方へと手を滑らせれば、彼女は甲高い悲鳴を上げながら頭を振った。
「愛してるよ。世界で一番美しい、私の、私だけのお姫様」
彼女の耳元で優しく囁きながら手を進める。
肝心の部分には触れてやらないまま、女性特有の柔らかな太腿や尻臀の感触を楽しみ、次は恥丘の柔らかさを味わいながらベッドの上で淫らに踊る彼女の様子を楽しんだ。
女性の恥丘と乳房の柔らかさが同じだと思うのは私だけだろうか?とは言っても、私は彼女以外の女性の体は知らないので他の女性もそうなのかは判らないが。
彼女のこの緩やかな盛り上がりの柔らかさを堪能するのが私は割と好きなのだが、敏感な部分には全く触れずにそこにだけ触れるのは向こうからすれば酷い焦らしなのかもしれない。
私が今彼女に使っている浮動石の振動は微弱な物だ。
石の力だけでは彼女は達する事は出来ない。
スノーホワイトの蜜口からは夜露がしとどと溢れていた。
子種を仕込んでも子を成す事も出来ない後孔ばかり弄り回され、この三時間一度も触れられなかった彼女の女性器 が、本来の役目を果たしたいと涙を流して泣いている様だ。
「触って……おねが、い…!」
彼女の哀切な懇願を聞こえないふりをして、花溝から流れ落ちる熱い香蜜を掬い口に含む。
「ああ、やっぱりあなたの蜜はとても甘い。さっきのマルベリーよりもずっと甘いよ」
「み、さま……」
「ん?」
「ねが…い、ほしいの、ほしい、ン、です!……おねが、おねがい、だからっ!!」
スノーホワイトの呼吸に合わせて、本来性行に使われるべき場所の肉口がヒクヒクと蠢く。
涙で洗われた澄んだ眼と泣き過ぎて腫れている目元に保護欲を誘われて、思わず何でも言う事を聞いてやりたくなってしまう。
彼女にこの顔で懇願されれば、世界征服だろうが何だろうが本当にしでかしてしまいそうな自分が怖い。
雄を誘う様にたらたらと誘い水を溢れさせながら、空虚さを埋める物を求める様に息づく肉のうつろの淫靡な動きに、今すぐ彼女の中に自分自身を突き立ててしまいたい衝動に駆られる。
(これは男を殺す魔性だな、彼女の色香に狂ってしまいそうだ。……いや、案外もう狂っているのかもしれないが)
自嘲気味な笑みが口元に浮かんだ。
今夜はいつもよりも多めに酒を飲んでおいて良かった。
アルコール量が少なかったらもう我慢できなかったかもしれない。
「―――…そんなに私が欲しいの?」
花芯にテープの上からそっと触れる。
「っ!!――――……っはぁ、あ、あぁ、やぁぁ!」
背筋をしならせのけぞり返りながら、激しく身悶える彼女に思わずクスリと笑ってしまった。
もっと強い刺激が欲しいのだろう。
石がもっと強く当たる様に腰を指に押し付けて来るが、私は彼女が腰を浮かした分だけ指を引く。
「駄目だよ。イキたいのなら、ほら、何か私に言う事があるでしょう?」
彼女は私の言葉に苦悶に眉を寄せると歯を食いしばった。
ボロボロと零れ落ちた涙の粒が、燭台の炎の明かりを受けて飴色に光る。
「イキ…たい、の……、おねが、」
クツクツと喉で笑いながら彼女に言葉を全て言わせず浮動石を押す。
「っぅあ!やっ!いやぁぁああああ―――っ!!」
「もうイってしまったの? 私はまだイって良いと許可していないのだけど」
「ッごめんなさ、い、……ごめんなさい……!」
ベッドのスプリングが激しく軋み音を立てる。
謝りながらも半狂乱の状態で総身を痙攣させイキ続けるスノーホワイトに、私はやれやれと嘆息した。
「一人だけ気持ち良くなってしまうだなんて、私のシュガーはいけない子だね。夫婦の閨で妻が夫よりも先に達してしまうだなんて聞いた事がないよ。私は優しいからあなたに酷い事をするつもりはないけれど、……普通ならば、折檻されても仕方がない事なのだよ? これはあなたの教育係りに代わって私が花嫁教育をし直してあげた方が良いのかもしれない」
「あみ、さま、ごめんなさい、ごめんなさい……っ!」
「駄目、許さない」
無情に告げると、浮動石をグリグリと押して彼女の官能を司る神経集網をイジメ続ける。
「ひっ、あっあ!だ、だめ……!や、やぁっ!」
スノーホワイトの目尻から溢れ出た涙が、耳朶からポタポタと雨だれのように落ちて枕を濡らした。
「ああ、またイってしまった。酷いなぁ、私はまだ今晩一度も達していないのに。一人だけで一体何回気持ち良くなってしまうつもり?」
「あ、ああ……あ………、」
「夫に尽くす事も出来ないんだもの。……これはもう、お仕置きするしかないのかな」
「だ…だ、め! そこ…は!や、やだ、だめ、だめ、だめ……っ!!も、イったの!あみーさま、私、イった、ん……っです!!」
「そうだね、またイってしまったね。今度は私もあなたと一緒に気持ち良くなりたかったのに、私の愛しい姫君はなんて薄情な人なのだろう」
「だ、だって……!そんな、っん!―――――…ぅあっあああああああ!!またいっちゃう、とまらな、い!ようっ!」
「またなの?ああ、もう……、シュガーは本当に酷い人だ、私はこんなにあなたの事を愛しているのに。悲しいよ」
「あっあぁっ!…んッ……も、もう、や、やめ…っ!」
「何故?ずっとイキたかったんでしょう?」
「ッいや、やだ、だ、だめぇ……」
昇りつめても絶頂感が引いて行くのを待たずに何度も何度も責め立ててやれば、スノーホワイトは快楽の海で溺れる様に汗塗れの肢体でシーツの上をのた打ち回った。
「っぅぅ、……ゆるし、て…、もう、許してぇ……っ!」
「許すとは何を?私はただあなたに気持ち良くなって貰いたいだけだよ?」
またしても絶頂に追いやられるのを避けようと懸命に身を捩ってみても、彼女は縄で縛られているのだ。無駄な足掻きでしかない。
私は含み笑いを零しながら、そのまま彼女を何度も浮動石でイかせ続けた。
恐らく二十回程度花芯でイかせた後だろうか? 彼女は火が付いた様に泣きだしてしまった。
「もう、やだあああ!!もう、嫌だあああああああ……っ!!」
「スノーホワイト……、」
絶え入るような締泣に身を顫わせている彼女の頭をよしよしと撫でながら、私は出来るだけ優しい声で言う。
「泣かないで。大丈夫だよ、私は別にあなたを責めている訳じゃないんだ、今度は二人で一緒に気持ち良くなろうか?」
「ひっく、ひっく、ふ、ふぇぇぇ、……っく、う、うう、」
シーツは既にグショグショだった。
あらかじめシーツの下に防水シートを敷いておいて良かったかもしれない。
彼女の汗と汗とは別の物で凄い事になっている。
(今週も私の一人勝ちかな?)
実は最近一晩でどれだけシーツを汚す事が出来たかが、私達の間で男の優劣を競う手段となっている。
「いれて……おねが…いっ……」
「うん、そうだね」
指で花溝の淵をなぞる。
「あみ、さま、……ねが、い……です!」
魂まで奪われてしまいそうな力のある瞳で求められれば、ゴクリと喉が鳴った。
ぬぷん、
蜜を溢れさせながら収縮する肉壁の中に人差し指を挿れ、軽く抜き挿しする。そして彼女の弱い部分ーー入口のすぐ上にあるザラザラした部分を押してみた。
「いぁっ、あぁ!――……あ、アミー様、」
「ん?」
「きもちいいの……、だ、だから、も、もっと……シテくださ、い……」
焦らし過ぎたせいか、指一本でこの反応だ。
切なそうに身悶えながらするせわしない息遣いと、可愛らしいおねだりに思わず口元に薄く笑みが浮かぶ。
「どうしようかな。そんなにきゅうきゅう締め付けて、あなたは私を一体どうしたいの?」
「だっ、だって……っ!」
「あなたは本当に欲しがりだね、そんなに私が欲しいんだ?」
「も…っと……ほ、ほしいの、ほしいんです!……あみーさまが、ほしいの…っ!」
「駄目だよ、まずはここの確認をしないと」
充分過ぎる程蕩けた中の肉の様子を指でまさぐった後、私はわざとらしくも大きな溜息を付いた。
「ああ、やっぱり。――――…スノーホワイト、あなたには失望したよ」
「ふえ……?」
「一週間前、散々私の物を加え込ませてやったのに、シュガーのここはもうすっかり私の形を忘れている。――…ねえ、あなたのここは今、誰の形なの?あの騎士?それとも……、」
「っ!!?――――あっ!あぁ、あああっ!」
部屋に響く水音はどんどん激しさを増して行く。
その激しさに比例する様に指の本数を増やして行けば、いつしか夜の静寂の空気は掻き消され、男女の濃厚な情交の香りが閨房に充満して行った。
「答えて?それともやましい事があって答えられない?」
いつしか私の呼吸も荒いモノとなっていた。
「わ、私も!私のカラダ…も! あっ、あみーさまのこ、と……っちゃんと、覚えてます!!アミー様の形も、熱さも、かたさも、大きさも、激しさも!ぜんぶおぼえて、ます!!だか、ら!だから、もう!!」
自分の下でよがり狂い声を張り上げる彼女に、嗜虐的な笑みが浮かぶ。
「本当に?」
「ッ、ほんとう、です……!」
「じゃあ直接体に聞いてみようか」
私は指を引き抜くと、彼女の胸の上に跨り微笑んだ。
「今からみっちりと私の体を思い出させてあげる」
ガッ!
「きゃぁっ!?」
髪を乱暴に掴むと、彼女は怯えた様にギュッと目を硬く閉じる。
「駄目だよ。ほら、恥ずかしがらずにしっかりと目を開けてみてごらん?」
髪を掴む手に力を入れると、彼女は震えながら瞳を開けた。
さっきからずっと欲しがっている物が目の前に突きつけられているのを知った瞬間、スノーホワイトの目がとろんとした物となる。
「あ……ああ、あみーさま、だ、……あみーさまの、だ…」
その我を失った恍惚の表情に私の半身の熱が最高潮まで昂ぶった。
「あなたがあんまりにも美味しそうだから、さっきから早く食べたい、早く食べたいって涎が止まらないんだ」
彼女の痴態に耐え切れずに先走った物を、スノーホワイトの半開きになった唇に持って行く。
その透明な液体をルージュを塗る様にして彼女の唇に塗りつけてやれば、スノーホワイトの紅要らずの真っ赤な唇はリップグロスを塗った様な光沢を帯びて、薄暗い寝所の中で妖しく光った。
「ん、おいし……い…、」
彼女は喉を撫でられた猫の様な顔をしながら、自分の唇の上で光る私の物を舐め取って行く。
そのとろんとした濃艶な瞳と情火の炎を煽る仕草に顔に、思わず顔から火が噴いた。
「あああああっ!!もう!本当にあなたは!!…………よ、弱ったな、可愛いすぎる。ああああああ、もう、もう!!」
真っ赤になった顔を彼女の髪を掴んでいない方の手で押さえて、思わず小声で呻いてしまった。
(仕方ない……)
「分かったよ、そんなに欲しいのなら今すぐ食べさせてあげる」
頭を軽く振って頬の熱を冷ましてから、彼女の髪を掴んでいない方の手で彼女の口元に自分の雄を添える。
「――――はい、どうぞ?」
笑顔で雄を差し出すと、彼女は一瞬だけ泣きそうな顔になった。
さっき私の事をあんなにも動揺させた事への意趣返しだ。
理解の早い彼女はまず口で奉仕しなければずっとこのままだと気付いたのだろう。口を開けると私の物を咥えた。
「私の雄の味も、匂いも、硬さも、形も、色も、大きさも、しっかり覚えるんだよ。目を瞑ったまま私の物を口にして、私の物だと判らない様じゃ駄目だからね、分かったかい?」
私の物に必死で舌を這わせながら、彼女はこくこくと頷いた。
「その日の精液の味や濃さで私の体調の変化が判らない様では私の妃失格だよ、いい?」
こくこくと何度も頷く彼女に背筋をゾクゾクと這うのは、性的な快感よりも、優越感……いや、征服欲の様な物なのかもしれない。
恥じらいと屈辱と不本意な昂ぶりに染まった瞼を震わせる彼女の様子に感じるのは、恐らくときめきで間違いない。しかし懸命に私の物に奉仕する彼女を見て沸き立った脳から放出している物は、もう少し穢れたその手の何かの気がした。
「……例え離れ離れになっても、死ぬまで私の事を忘れない様にあなたの体にしっかり刻み込んであげる」
言って私はそのまま彼女の喉奥に己の分身を射し込むと、腰をゆるゆると動かして抜き挿しを始めた。
彼女は何度もむせかえりそうになったが、髪の毛を強く掴まれてるから身動きが取れない。
苦痛と酸欠で涙で潤む瞳に、限界まで硬くなった雄が脈動する。
「ああ、気持ち良いよ。あなたの体はどこもかしこも気持ちが良い」
「ぅんッ、ん、んん……!」
「どう?私の雄 の味はちゃんと覚えた?私の雄に喉を犯される感覚は? 覚えられないようなら、覚えるまで何度も優しく丁寧に教えてあげるからね?私はイルミ達と違って、とても優しい男だから」
「んっ……ぅ、んん……っ!!」
鋭い快感が血液に乗って全身を駆け抜けて、下腹部の熱が急速に膨らんで行く。
体の中心をきり揉みされるような快感と眩暈がする様な陶酔感に、少しだけ眉を寄せて耐えながら抽挿の動きを速めて行く。
「そろそろ、出すよ、……口を開け、て?」
彼女の髪を掴んだまま舌の上に吐精し、私は大きく息を吐いた。
喉奥に加えさせたまま射精する事も出来たが私はそれをしなかった。
私はイルミやエルと違って別にサディストではない。彼女が悲しそうな顔をすれば私も悲しくなるし、苦痛で歪む顔を見れば胸が痛む。今回はこんな事になってしまったが、私は彼女をいたぶる気など更々ないのだ。
私はただ自分の体を彼女にしっかりと覚えさせたい。――…今は自分の精液の味か。
喉奥に己の精を注ぎ込んだとしても、彼女に私の味を覚えて貰う事は出来ない。
しかしこのように舌の上で吐精すれば、彼女は精を口の中で転がして、しっかりと私の味を覚える事も出来るだろう。
「ほら、最後の一滴まで全部飲むんだ、いいね?」
「は、い…」
唇の端から垂れた白濁液を指で掬って、それを彼女の口に運ぶ。
「いいこだよ、美味しかったかな?」
「ええ、とっても、おいし…い、」
いつもならこの後は尿道に残った精も吸い出して後始末をしてくれるのだが、今夜の彼女はその余裕もないのだろう。
私の濃く煮つまった白い欲望を嚥下した後、彼女は何かにとり憑かれた様な瞳で目の前にある私の生殖器 を見つめている。
「アミーさま、……もう、私…、私、」
火照った体の熱を持て余して肩を震わせながら訴えかけられて、思わず苦笑してしまった。
「今夜はとっても情熱的だね。今あなたの口に入れてあげたばっかりでしょう?なのにまだ私が欲しいの?」
にっこりと微笑みながら答えると、彼女はまたしても泣きだしそうな顔になってしまった。
「欲しい、の!!お願い、おねが、い!」
「ん、仕方ないなぁ。じゃあそんなに欲しいなら――、……はい、どうぞ?」
「ちが!ちがう!ちがう、の!!」
笑顔のまま再度陰茎を口に咥えこませようとすると、スノーホワイトは明日世界が終わると予言者に聞いてしまった様な顔で必死に首を横に振る。
「そっちじゃな…!下に、お願い、します……」
「下?どこの事?はっきり言って貰わないと判らないよ?」
「あみーさまが、ほしいの、おねがい、おねがいします、」
「うん?」
「あみーさまのコレを、……硬くておおきいのを、私のどろどろになったココに、いれて…くださ、い……」
「ねえ、シュガー。子供の様に純真で天使の様に清らかなあなたはもしかして知らないのかもしれないけど、……あなたのここに男性器 なんかを挿れてしまったら、大変な事になってしまうよ?」
「ひあ!?」
濡れそぼった花溝をなぞると彼女の体がまた海老反る。
「こんな所にそんな物を入れてしまったら、あなたは胎に私の子供を宿してしまうかも。それでもいいの?」
今まで何度も彼女を犯してきた癖に今更何を言っているのだ?と自分でも笑える台詞だが、私は至って真剣な顔で嘯く。
「いいの!!だから、お願い!!」
スノーホワイトは必死の形相で叫ぶが、避妊薬を飲んでいる上でのお遊び だと言う事が頭の片隅にあったはずだ。今までも何度かこの手のプレイをした事がある。――…だが、今夜は今までのお遊び とは違う。
一粒で一カ月持続型の彼女の避妊薬の効果が切れるのは明日の夜だ。
明日の夜までに追加の避妊薬を飲まなければ、彼女は妊娠する可能性が出て来る。
万全を期して避妊したければ一カ月ピッタリ経過する前に薬を飲めば良いのだが、薬を飲む期間が短くなればなる程、女性の体への負担が大きくなる。
女性の体質によって1日2日期間を縮めて飲んだだけで、しばらく歩く事もままならず寝込む事もあるらしい。
スノーホワイトに無理をさせない為にも、私達は1カ月ぴったりの日に彼女に薬を飲んで貰っていた。
しかしそれは薬を飲む日をうっかり忘れてしまえば、彼女が妊娠してしまうと言う危険も同時に孕んでいる。
つまり私の子種を彼女の中にたっぷり仕込んで、明日の夜まで避妊薬を飲ませなければ本当にスノーホワイトは妊娠する可能性があるのだ。――薬の効力が消えかけている最終日に中で精を放った私の子を。
「アキラ。君は私の子を産んでこちらの世界で”スノーホワイト”として生きて行く覚悟はあるのか?」
「え……?」
少しだけ開けていた窓から入って来た夜風に、レースのカーテンが揺れる。
快楽に蕩けた彼女の瞳が、その少し冷たい空気に僅かに正気の色を取り戻した様だった。
「こちらの世界の男の赤子を身籠ってしまったら最後、君は元の世界に帰れなくなってしまう」
夢から覚める様に驚愕に見開かれた瞳に私は目をスウっと細めて微笑んだ。
「そんなに欲しいのなら、私はあなたに自分の子種を授けてあげても良いのだけれど。――――…どうする?それでもあなたは私が欲しい?」
ペロリと自分の唇を舐めてジッとスノーホワイトを見つめる。
彼女は真夜中に牧場内に侵入して来た悪い狼と運悪く遭遇してしまった子羊の様に固まった。
(例え答えがNOでも、私は今夜君を孕ませる予定だが)
―――絶対に逃がさない。
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