2・赤ずきんちゃんと白雪姫
「大丈夫?怪我はない?」
その金髪美少女に覗き込まれて、俺は狂喜乱舞していた。
スノーホワイトとして生を受けて早18年。こんな美少女、鏡の中の自分 以外では初めてお目にかかる。
「助けてくれてありがとう。私はスノーホワイト、あなたは?」
抜けた腰を美少女に支え起こされながら、俺は心の中で叫んでいた。
(淫蕩虫、カムバーック!!!!)
ここに淫蕩虫があれば。淫蕩虫さえあれば。――俺でもこんな可愛い子とハメハメ出来るかも!?……ってそうか、今の俺にはハメる物がついていない…。いやでも女同士でも貝合わせとか色々あるし、とりあえずこの美少女のおっぱいが揉みたいです。パンツも見たいです。
(よし、スノーホワイトの美少女フェイスを生かして頑張るぞ…!!)
今の俺は正真正銘、美少女なのだ。
彼女と仲良くなれば、女同士でお風呂に入って「最近あんたまた胸大きくなったんじゃない?」「えー、そんな事ないよぉ」と言う自然な流れで彼女のおっぱいを揉む事だって夢じゃないはずだ。
「ぼ……いえ、私はエルザ。この森の悪い狼を退治している途中なの」
「狼ってさっきの狼の事ですか?」
下心などまったく感じさせない、あどけない表情でこくんと首を傾げて見せると美少女は顔を曇らせた。
「いいえ、若い乙女ばかり狙うと言う銀狼。この森の主よ。さっきの奴等はそいつの手下ね」
「そうなんですか」
「奴は今日、……絶対に討つ」
その決意した瞳に、スノーホワイトの中の人(俺)がさっきからキュンキュン言っている。
頑張る女の子、可愛い。
応援してあげたい。ってか応援してあげよう。よし、俺がこの子の事を守ってあげよう。……と言っても、戦闘となるとスノーホワイトは非力でしかないのだが。まあ、これは心の持ちようと言う奴である。
「あの、エルザさんは何故そんな危ない事を?」
「え?……うん。実は、見返してやりたい奴がいて」
そう言って俯く美少女の翡翠の瞳には、翳りがさしている。
何やら込み入った事情がおありの様だ。俺は深くは聞かない事にした。
こういう時は、向こうが話してくれるまであえて聞かない方が良い。
だてに俺も長く生きていない。
前世の人生とスノーホワイトの人生を換算すれば、なんだかんだで俺はもう36年生きているのだ。前世は常に挙動不審で空気の読めないキモオタだったが、今の俺はそこそこ処世術と言うものも弁えている。
「1ヶ月ここで張って奴の行動パターンは理解した。恐らく今から30分後、奴はここを通るわ。私がそいつを討つまであなたはここに居てくれない?奴と偶然鉢合わせしたらあなたみたいな可愛い子は絶対に危ないから」
「はい」
断る理由もなく俺は頷くと、茂みの中に隠れる美少女に誘導されるまま彼女の脇に伏せた。
俺が純粋にもっとこの子と一緒に居たいと言う理由も大きいのだが、森の主となんぞ鉢合わせしたらスノーホワイトの細腕ではもうどうしようもない。最悪死ぬ。
先程この美少女の銃の腕を見たが、彼女の腕はどうやら確かな様だ。
美少女がズルズル引き摺って茂みの奥に隠した狼の死体だが、見事に脳天に命中しているのだ。
一人でこの危険な森の中をうろつくよりも、彼女の傍に居た方がずっと安全だろう。
ここで彼女と別れてその銀狼と鉢合わせでもしてみろ。
死ぬのも怖いがそれよりももっと恐ろしいのが、”森の主に襲われたスノーホワイトを7人の恋人のうちのどれかが助けに来るイベント”なる物が発生し、それでまたエロに突入すると言う、18禁乙女ゲームにありがちな未来である。
(可愛いか…)
―――確かにスノーホワイトはとても愛らしい少女である事には間違いないのだが、
「でも、私なんかよりもエルザさんの方が可愛いです!!」
「えっ?」
謙遜も交え、軽く口説きにかかると美少女の頬が薔薇色に染まった。
「いや、そんな事は、」
(イケる…?)
この真っ赤になって戸惑う様子、もしやこの子は百合っ子なのだろうか?
押せば行けそうな気がする。――…と言うか、俺でも犯れそうな気がする。
俺はワンコが窓の外に逃がした淫蕩虫をやはり惜しく感じた。
いや、駄目か。あれは結局男根が欲しくなる様になるんだから、最終的に男が必要になる。
それこそレズモノAVの様に、最後には女達のエロスを覗きをしていた変なオッサンに乱入して貰わなければならない。
自分がそんな変なオッサンに犯されるのも嫌だが、この美少女が目の前で犯されるのを見るのも嫌だ。スノーホワイトが犯されている間だって、自分を犯している王子達が死ぬ程羨ましかったのだ。こんな美少女を間近で抱いているオッサンなんぞ見てしまった日には、嫉妬で悶え狂うかもしれない。
ああ、ちんぽが欲しい。ちんぽが欲しいったらありゃしない。
ここはファンタジーの世界なんだし、女の子が食べればちんぽがニョキニョキ生えて来る茸とか、その手の便利アイテムがその辺りに生えてはないのだろうか?
そんな事を思いながらも、俺は隣に寝そべって銃を持つ美少女の頬にそっと触れてみる。
「ううん、そんな事ないです。エルザさん、とっても可愛い」
明らかに動揺している美少女に、スノーホワイトの中の俺がGOサインを出す。
(イケル!!行くぞ、行くぞ!!うおおおおおおおおおっ!!!!)
「こんな可愛い子、私初めて会いました」
それ以上は言わなかった。
ただ、だまって至近距離で彼女の顔をジッと見つめた。
―――しばしの沈黙の後。
「えっと、…………こんな適当な変装だし、やっぱり気付いててわざと言ってるの?」
「は?」
「だとしたら、君は意地悪だ」
少し不貞腐れた様な顔でスノーホワイトを睨む美少女の話している言葉の意味が俺には分からない。
「どういう意味…、」
言いかけた瞬間、
グイッ!!
「きゃああああああああああ!?」
スノーホワイトの足首が何かに持ち上げられ、宙吊りになった。
「スノーホワイト!?」
慌てて立ち上がり、銃を構える美少女の体が遥か下に見える。
「な、なにこれ…!?」
スノーホワイトの足首を掴んでいたのは木の蔓だった。
慌ててその木の蔓の先を目で辿ってみると、その蔓は近くの大きな木から伸びていた。
その大きな木の幹からは、エルフの様に尖った耳をした女の上半身が浮き出ている。
『ほほほほほ!久々に人の子を捕まえたぞ!!』
木の蔓の髪、下半身は大木で上半身は人の女と言うその異形の姿はスノーホワイトも知っていた。
「森の悪魔ドライアド!!……くそ、気付かなかった……っ!!」
下で美少女がパンパン銃を撃っているが、スノーホワイトの体はどんどん蔓に巻かれ上空へと持ち上げられる。
―――その時、
「うわああ!」
エルザの背後から伸びた蔓が彼女の銃を奪い、彼女の体をもスノーホワイト同様宙吊りになった。
『今日は大量じゃのう』
『どちらも美味そうな人の子じゃ』
根を脚の様にして、ゾロゾロと動き出す周りの大木達に絶句した。
―――囲まれていた……!?
5体、いや6体か。
いつの間にかドライアドの群れに囲まれていた。
(絶体絶命……?)
俺の背筋を冷たい物が流れた。
次エロあります。
連続エロなしでなんだかすみませぬ…。
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