5・赤ずきんちゃんは狼さん
(喰われる!?)
覚悟してギュッと目を瞑ったが、
トン、
(え…?)
地面に爪先が付く感覚に呆然と後を見ると、銀狼が俺のその牙で咥えていた俺の襟首を離す所だった。
俺の事をそっと大地に下ろしてくれた後、その銀狼は跳躍するとドライアドの群れを次々薙倒して行く。
一体何が起こっているのか判らなかった。
「森の主!!何故お前が人間を助けるんだ!?」
エルザの鋭い一喝に、自分達を取り囲んでいたドライアドをその鋭い牙と爪で切り裂いているこの銀狼がこの森の主であると言う事を遅ればせながら理解する。
『なぜお前が人の子の味方をする!?』
『血迷ったか!!』
驚愕の声を上げたのはエルザだけじゃない、ドライアド達もだ。
グルルルルル……
銀狼は答えなかった。
ただスノーホワイトを守る様に俺の前に立ち、ドライアドの群れを威嚇している。
『くそ、逃げるぞ皆のもの!!』
『なんなんじゃ、一体!!』
口々にぼやきながら森の奥へと消えていくドライアド達を俺達は呆然と見送った。
魔性達の気配が消えると、銀狼もノソノソと歩き出す。
「待って!――…もしかして、私の事を助けてくださったのですか?」
その背中に声をかけると、銀狼は一瞬だけこちらを振り返った。
その黒みがかった蘇芳 色の瞳はどこかで見た事がある様な気がして、一瞬思考を巡らせる。
―――その瞬間、
ブワアアアアアッ!!
頭の中に広がる、2度目のムービー映像。
(これは…)
1度目はあのアミール王子との映像だったが、今度はまさか…、
『野良犬か、餌はないぞ!』
『お前が来る様な所ではない、帰れ』
城門辺りが騒がしい。
幼女時代のロリーホワイトが駆けつけると、門番が二人、子犬を槍の先でつついて追い返そうとしている。
『やめなさい、何をしているの?』
槍でつつかれている銀色と言う珍しい毛並みを持つ子犬は――…この流れからしても、その毛色からしても100発100中森の主の昔の姿だろう。
アミー王子の時も微妙に顔が隠されていたが、これ、ゲームしてて分からない奴っているんだろうか?
『お腹が空いているの?パンをお食べ?』
『くぅん』
そんなこんなでロリーホワイトが門番達から森の主を助け、餌付けしたのが二人の出会いだったらしい。
『あなたもお母様がいないのね』
『くぅん…』
『なら、わたしと同じね』
母親のいない二人はすぐに友達になった。
スノーホワイトはその子犬を”ぽてと”と名付けた。
ちっちゃな足でぽてぽて歩くその様子が、その名前の由来だった。
スノーホワイトとぽてとは仲良く育った。
―――しかし、そんなある日。
『なんじゃこの汚らしい犬は!!城から追い出せ!!』
見事な巨乳のボンキュッボン!にお姉様――…ではなかった、意地の悪い継母リディアンネルに、ポテトの尻尾が捕まれる。
宙吊りにされキャンキャン!と悲鳴の様な鳴き声を上げるぽてとに、スノーホワイトは懸命に継母へ訴えかけた。
『待って義母様、ぽてとは汚くないわ、ちゃんとお風呂にも入ってるの!』
『でも灰を被ったようなくすんだ色をしているではないか、おい、捨てて来い』
『やめて!ぽてとは私のお友達なんです!!』
その場に居た兵にぽてとを渡そうとする継母にスノーホワイトはしがみ付く。
『くっ…離せ!!』
ドン!!
『きゃあ!』
突き飛ばされたスノーホワイトが床に倒れた、その時――、
ブワッ!!
ぽてとの毛が逆立ち、目が紅く光る。
『ぎゃああああ!!妖魔じゃ!!この王女、妖魔を飼いならしておる!!』
『ひっ!妖魔だ、姫様、離れてください!!』
『えっ?』
継母に投げ捨てる様にされたポテトは無事床に着地すると、スノーホワイトを守る様に彼女の前に立った。
グルルルル…
『ぽてと、あなた、妖魔なの……?』
自分の前に立ち継母を威嚇するぽてとにそう問うと、その子犬は悲しそうな目をしてスノーホワイトを振り返る。
『そうなの、ぽてと……?』
『…………。』
ぽてとは答えずに風の様に城を駆け抜けて、森の奥へと去っていった。
『ぽてと!まって、戻ってきて!!』
それから雨の日も風の日も、季節が何度も廻っても、二人で遊んだ城の裏庭でぽてとを待つスノーホワイトのムービーが流れる。
しかしそれ以来ぽてとがスノーホワイトの所に戻って来る事はなかった。
『もう会えないの?……私はあなたが人喰い狼でも妖魔でも構わない、何なら私の事を食べてくれても良かった。そのくらい、ぽてとの事が大好きだったのに』
ぽてとが大好きだった黄色のボールを持って俯くスノーホワイトの頬に、透明な雫が光る。
『また一人ぼっちになっちゃった』
空を見上げると、雷鳴が轟いていた。
一雨が来そうだ。
そのまま裏庭に黄色いボールを置いてスノーホワイトは城へ戻った。
(神様。どうかあの子が雨露を凌げる温かい寝所と、温かい食事にありつけて居ます様に)
スノーホワイトが立ち去った裏庭に灰色の影が映り、ボールを咥えた所でそのムービーは終了した。
(そうか、……こいつはぽてとだ…。)
その時、またしても俺の頭の中に3拓が浮かぶ。
1「きゃあ!怖いわエルザ助けて!」
2「妖魔よ、お消えなさい」
3「ポテトなの?ありがとう!!」
・・・・・・。
これ、1と2を選ぶ奴はちょっと人間性に問題あるだろ。
このムービー見た後で1、2を選ぶ奴は流石の俺もどうかと思うぞ。
いや、1を選べば怯えたフリをしながらエルザにひっつけるとかそういう旨味はあるのかもしれないが、動物には罪はない。
俺はこう見えても動物好きなのだ。特に犬は前世から大好きだった。
俺は迷わず3を選ぶ。
「ポテトなの?ありがとう!!」
森の主は何も応えなかった。
森の主はしばし立ち止まった後、大きく跳躍すると森の奥へと消えて行った。
「助かった…?」
「みたい、ですね」
しばらく俺達は腰を抜かしたままその場に佇んでいた。
「い、いたたたたたたっ」
股間を押さえて蹲るエルザに俺は弾ける様に顔を上げた。
あれは本気で痛そうだった。
「だ、大丈夫ですかエルザさん!!」
慌てて駆けつけエルザの顔を覗きこんだ瞬間、スノーホワイトの手首は思いもよらぬ強い力で押さえられる。
そのままエルザの陰茎を握らされ、え?と顔を上げるとエルザは笑っていた。
林檎の様に真っ赤な唇をぺロリと舐めて、エルザはまるで別人の様に艶かしく嗤っていた。
「ねえ、これ、どうしてくれるの? 全部とは言わないけど、君のせいでもあるよね?」
俺の手首を掴んでいない方の手でシュルシュルと自身の陰茎を縛る蔓を解った後、エルザは頭を軽く振って被っていた赤頭巾と長い巻き毛のヴィッグを取る。
(あれ、この子こんな顔だっけ…?)
いや、髪が短くなっても赤頭巾を取ってもエルザが可愛い事は変わりはない。
目を細めたせいだろうか?
可憐な表情が消え、一気に男の顔付きになった。
さっきまで震える仔兎の様な赤頭巾ちゃんだったのに、今の彼からは狼の耳と尻尾まで見える。……おかしいな…幻覚かな…。
そのサディステックな微笑に、思わずイルミナートの顔が脳裏に浮かんだ。
恐らくあの不敬な宰相は今頃、主であるアミール王子に料理の下拵えさせながら家で珈琲でも飲みつつ適当に本でも読んで休んでいる頃だろう。
何故今、俺はあの鬼畜眼鏡を思い出したのか。
明らかに男顔のあの眼鏡と美少女フェイスのエルザとでは顔の造りが全然違う。似ている部分すらない。
「君があんなにギューギュー締め付けるから、もげると思ったよ」
少し恨みがましい目でこちらを睨んだ後、エルザは白い真珠の様な歯を零して笑った。
「ねえ、スノーホワイト。僕のペニスを慰めて? とっても痛いんだ、ほら、赤く腫れているでしょう?」
いや、腫れてるのは勃起してるからだろ。
内心突っ込みを入れた後、俺は少しの間考える。――…しかし考えるまでもなかった。
男のちんぽ→気持ち悪い。死んでも舐めたくない。
男の娘 のちんぽ→舐めたい!不思議!
と言うワケで、俺はぱくりとエルザの陰茎を咥えた。
陰茎を咥え込む事に抵抗も感じなくなってきている自分に少しだけ悲しくなる。
「仕方ないですね…」
「ありがとう、スノーホワイト」
そう言ってニッコリと微笑むエルザの笑顔はやはりとても可愛らしいのだが、なんだかこの美少女フェイスに騙されている様な気がしてきた…。
エルザの物からは雄の味がした。――…欲情している、男の味だ。
今までずっと男の娘 のちんちんはおんにゃのこみたいな甘い香りがフンワリするとか、男の娘 のおちんぽみるくはきっと練乳味だろうとか思っていたが、この分だとエルザの精液の味も王子達の味とそう変わらない物だろう。
そんな現実に少し悲しくなりつつも、いや、これはこれでむしろありだなと思ったり。
「そうそう、上手いね。……君、結構経験あるの?」
「そんな事、ないですけど…」
つい先日まで処女だったし。
でも何気に経験人数はエルザで4人目だ…。
これはもうビッチと呼んでも良いのだろうか。いやいやいや、まだ1桁だしビッチではない…はずだ。
「本当に美味しそうに舐めてくれるね、嬉しい」
筋張った物を根元から丁寧に舐め上げてやると、エルザは満足そうに微笑んでスノーホワイトの頭を撫でてくれた。
頭を撫でる手にふと顔をあげてみればエルザと目が合った。
優しく柔らかく細められる瞳にスノーホワイトの胸がまたしてもキュンキュン言っている。
「短期間でトキメキ過ぎだろ一体何人目だこのビッチ!!」と突っ込む事は、もう止める事にした。
恐らくこれは生理現象…いや、科学反応だと思うべきなのだ。
「よしよし、いいこだねスノーホワイト」
これはエルザだけではないのだが、フェラしている時にこうやって優しく頭を撫でられると、何故かとても嬉しくなって来て「もっと頑張らねば!」と思ってしまう。
(奴等好みに調教されつつある…。嫌だな…。)
俺…と言うかスノーホワイトのフェラ技術は、あの地獄の3日間でかなり上達したと思う。
元々俺が男だっただけがあって、男のどこが気持ち良いのか知っている。男には視覚的興奮を煽るのが必須で、それにはどうすれば良いのかも良く承知していた。
最初は吐き気しか催さなかったイラマチオも、あの3日間で随分嘔吐感も薄れた。今となってはイラマも、ビッチホワイトの秘所を疼かせ、愛涎を垂れ流す為のただの嬉し恥ずかし口腔凌辱となってしまっている。
亀頭の先端をグイグイと喉に抽挿されながら腰を振られると、最初は苦しいのだが、次第に酸欠から頭がボーっとして気持ち良くなって来るのだ。
恐らく首絞めプレイが気持ち良いと言うのもこれの延長線上にあるのだろうと思った。
自らあの恍惚感を求める様にエルザの物の先端を喉奥に咥えこむ。
すると気持ちがいいのか、エルザの腰がぴくりと震えた。
それがとても可愛らしくて、ますます嬉しくなって来てしまった俺は必死に口腔内で舌を裏筋に這わせて動かす。
「腰、動かしていい?」
言うなり、エルザはこちらの返事を聞く前に両手でスノーホワイトの頭を抑えて固定した。
「……んっ!」
顔面が彼の下腹に密着すると、彼の下腹の芽生えも必然的にスノーホワイトの顔に触れる。
陰茎そのものは雄の匂いだったが、そのつつましやかな繊毛の絹草からは何だかとても良い香りがした。恐らく彼の使ってる石鹸に、ラベンダーやカモミール、薔薇などの精油が含まれているのだろう。どこかで嗅いだ事のある甘い花の様な芳香に頭がクラクラする。
「いくよ」
エルザは見掛けによらぬ強い力でスノーホワイトの頭を押さえつけられた後、腰をガンガン振り始めた。
下腹と顔面が密着する度、エルザの髪と同じ色の柔らかい金の若葉が頬に触れるのだがその感触がこそばゆい。
(あー…俺、凌辱されてる…。)
口を使った凌辱。――…出来る事ならば、俺がしてみたかった。
個人的にエルザの様な可愛らしいタイプの男の娘 と相対する場合、こちらが凌辱する側でいたかったのだが、仕方ない。今のスノーホワイトな俺にはちんぽがないし、ちんぽ的なアダルトグッツもこの世界にあるのかも分からない。
腰の動きは徐々に早くなって行き、エルザの呼吸も次第に上がって行く。亀頭が喉を抽挿する動きもどんどん激しさを増して行く。
苦しい。吐きそうだ。
しかしそれを我慢してひたすら耐えていると、いつかの様に頭がぼーっとして来て思考と視界に霞がかかり、体がフワフワして来た。
次第にスノーホワイトの体は疼きを覚え、内股のあわいをドロリとした生温かい物が流れ落ちる。
(バックからも激しく突いて欲しいな…)
腫れぼったくなっている秘肌を後から貫いて、揺さぶる男の肉がないのが寂しく思う。
―――って、待て。
1対1のセックスで物足りなさを感じるとか……ないないないない!!
あいつらに毒され過ぎだろ、しっかしろスノーホワイト!!……というか俺!!
「驚いた。君って本当にいやらしい子だね。今僕に口の中を凌辱されているって言うのに、もっと辱めて欲しい、こっちもお願いって、物欲しそうにお尻を振ってる」
「っ……ん!!」
エルザに指摘され気付く。
スノーホワイトは彼の物を咥えながら、尻を高く突き出す様にして腰を振っていた。
「さっき初めて会った時は、まさかスノーホワイトがこんなにエッチな子だと思わなかったよ。ねえ、僕がドライアドに辱められているのを見て、ここを濡らしていたって本当なの?」
エルザの伸ばした白い手が、愛涎でどろどろに蕩けたスノーホワイトの秘裂に触れた。
「んんん!!……ぅ、んっ……!!」
来るべき官能の予感に、スノーホワイトの体がぞくりと震えた。
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