恋人5、Sleepy
―――なんだか凄い事になっている。
俺は今、心の中で「本物と違って冷たいし、本当はこういうのってあまり好きじゃないんだけど…」と言っていたのはどのお口ですか!?どのお口ですか!?と、スノーホワイトちゃんに突っ込みを入れまくっている。
それもこれもだ。
目の前で享楽に耽り、よがり声をあげているスノーホワイトちゃんがですね、物凄ーくエッチでして。ええ。
「んん…っ…ぁ、ん!……あん!すご…い、すごい……っ! イク、また、イっちゃう……っ!!」
(ど、どうしよ、これ、邪魔しない方が良いんでしょうか……?)
今の俺の目の前では、眩暈がする程美しいお姫様が、その愛らしいお顔とはミスマッチなグロテスクな形状の大人の玩具で一人遊びを繰り広げている訳で。
正直参戦させて戴きたい気持ちもあるのだが、同時にこのまま鑑賞したいと言う気持ちもありーので、難しい問題っスね、はい。どのくらい難しいかって言うと下村茂が高2の時に躓いた物理のモーメントくらい難しい問題だわ。
ああ、何故この世界では科学が発展しなかったのか。
(スマホが、デジカメが欲しい…!この光景を動画にして残しておきたい……!!)
切にそう思いながら、俺は薄目を開けてスノーホワイトちゃんのオナニーを鑑賞していた。
―――その後。
「こ、これは……どうやって使うのかしら…?」
何度か絶頂を向かえた後、スノーホワイトちゃんが手に取ったのは、俺が今晩是が非でも彼女に使おうと思っていたポルチオ用のバイブだった。
その滑らかで透明感溢れる棒状の物の下部には、吸盤がついている。
つまりはその吸盤を壁や床に貼り付けて使用するタイプの性具であった。
バイブの上部には、イソギンチャクの触手の様な無数の突起が扇状に広がるようにして生えている。突起の長さは1cm少々で先端は丸く膨らんでいる。
実はこれ、棒の部分もイソギンチャクの部分も、スイッチを入れると前世のアダルトグッズの様にうね うねと動くのだ。
魔術師ではない俺にはこれ仕組みはイマイチ良く解らない部分も多いのだが、簡単に言ってしまうと中に魔力が内臓されており、中の魔力が切れるまで悦しめると言う使い捨てタイプの大人の玩具なのである。
ちなみ安物だと一晩、良い物だとスイッチを入れて一ヶ月程度動き続けるのがこの世界のアダルトグッツの定番だ。
男の俺からしてみれば「うわ、痛そっ!」の一言に尽きる形状であるのだが、なんでもこのイソギンチャクが、世の女性達のポルチオなる場所をイイカンジに刺激するのだとか。
実際こんなブツを10代の若い子の中にブチ込んでしまえば最後、痛がられて振られてしまうのがオチなのだが、スノーホワイトちゃんはただの若い子ではない。
元から素質があったと言うのもあるのだろうが、彼女はこの年にして既に奥も開発されている。
誰にどうやって開発されたのか考え出すと、彼女を開発したであろう男達の顔やら声やら獲物 やら性癖やらを知っているだけに、色々と生々しく想像出来てしまう辺りが痛いのだが、……まあ、それはひとまず置いておくとして。
俺の経験則からして、ポルチオを開発されて奥でイける様になった女性は、皆さん得てして奥派になるものだ。
現にスノーホワイトちゃんもどんなに乗り気じゃない日でも「今は家事で忙しいんです!」と怒った顔をしてみせても、ちんこを突っ込まれて一度奥を穿たれてしまえば最後、すぐにぐずぐずになってしまう。
と言う訳で。今夜はこれを使って彼女を奥でいかせまくって、更なるポルチオの開発に勤しもうと言う算段であった。
ほら、俺これでも現役の騎士じゃん?
ぶっちゃけ7人の恋人の中で体力持久力なら1、2番だと思うんだよね。
回数や硬度は若さっつーアドバンテージがあるヒルデベルトには敵わないかもだけど、体力と持久力なら絶対に負けてないし、絶対俺の方がテクもあるし。ぶっちゃけ、駅弁ノンストップで一晩中出来るのって、あん中じゃ俺くらいじゃね?猟師のオッサン辺りならいけそうな気もするけど、オッサンとなら俺の方が若さに分があるし?
つまりだ。スノーホワイトちゃんのポルチオを完全に開発しちゃえば俺、あいつらに勝てちゃうんじゃねぇの?と言う事に気付いた俺は、彼女を身体から落とすと言うオトナの作戦を実行中なのであった。
―――その時、
「あ…れ。何か違う……?」
バイブのイソギンチャクの部分を胸に当て、何か違うと思ったのか今度は吸盤の方を胸に聴診器のように当てるスノーホワイトちゃんの姿に、思わず吹き出してしまった。
「ルーカスさん!?お、起きてたんですか…!!?」
「ごめんごめん」
腹の底から込み上げて来て止まりそうにない笑いを、なんどか喉元で押し殺しながらベッドから身を起こす。
真っ赤になってこちらを振り返り、あわあわ言っているお姫様のその様子と来たら。――ああ、もう!今すぐ食べちゃいてぇわ。
あーもう、なんでこんなに可愛いの。
マジで罪作りなお姫様だよこの子は。
このまま彼女を掻っ攫って最寄の教会まで全力疾走して、眠っている神父を叩き起こして式を挙げたい。真剣に。
「これは!違うんです、い、いえ、違うと言うか、その、えっと、」
「ん、よしよし」
「う……ぅぅ、……ぁ…ぅ…」
「スノーちゃんは別に何も悪い事なんてしてないんだから、そんな顔しなくていいんだよ」
「で、でも、私……、」
「大丈夫大丈夫、オニーサンこう見えて口堅いから」
「本当に……?」
「うん」
今にも泣きだしてしまいそうなスノーホワイトちゃんをベッドの上でギューっと抱き締める。
よしよしと頭を撫でて、顔に口付けを落として宥めてやると、彼女はすぐにホッとした表情を見せた。強張った肩からも力が抜ける。
「ところでこれなんだけど、」
俺は彼女がシーツの上に放り投げたバイブを手に取って、ベッドの上から降りた。
壁の程良い位置に――…彼女が床の上に四つんばいになった時に丁度良い高さに、バイブの吸盤をくっ付ける。
「こうやって使うの」
こうしてくっつけてみると、まるで壁から怪しい触手が生えた様だ。
それを見て彼女もコレの使用方法を察したらしい。
「こ、これって…?」
「そう」
ナイトテーブルの上に置きっ放しのスイッチをおすと、それはヴンヴン音を立てて蠢き出した。
「――――それより、あの。……やっぱり、見てたんですか…?」
耳まで真っ赤にしておずおずと尋ねる彼女に、一瞬どうしたもんかと思い悩んだが、正直に頷いておく。
「うん、邪魔するのも悪いかなって。俺の事起こしてくれてば良かったのに」
「だって……ルーカスさん、起きないんだもん…」
俯くと消え入る様な顔でそう嘯くスノーホワイトちゃんは、既に腰をもじつかせている。
―――薬はまだ切れていない。
彼女は今、俺とこうやって会話しているのも辛いのだろう。
涙で潤む目元が朱色に染まっている。
「あの…、み、皆さんには言わないで、くれますか?」
「俺口は堅いって言ったっしょ?言わないであげる。――その代わり、これで続きしてみせて?」
ほっと安堵の表情を浮かべたスノーホワイトちゃんの顔が、一瞬にして奈落の底へと突き落とされた様な顔になる。
「出来るよね?」
「そん、な……」
時間からして、彼女の秘所に塗った薬の効き目はそろそろピークになる頃だ。
目の前に快楽を促す物があり、それに誘導されれば、理不尽だと思えど今の彼女に逆らえる訳がない。
「出来なかったらオニーサン、うっかりスノーちゃんとした約束忘れちゃうかもしんないなー?」
まるで壁から生えた様にうねうねと動くバイブに触れながら言うと、彼女は観念した様に頷いた。
「わかり、ました…」
彼女は唇を噛み締めながら床の上に四つんばいになると、自身の秘すべき場所に壁から生えるそれを添える。
(うわ、すっげーいやらしい)
動くバイブを膣内 に入れようと彼女が腰を動かすと、俺が先程彼女の秘所に注射器で注入したクスリと愛液が混じった物がくちゅりといやらしい音を立てた。
「んっ……ん、んん!」
バイブを中に入れようと、発情期の猫の様に腰を高く突き出したスノーホワイトちゃんの丸まっちい小さなお尻が揺れる。その動きに合わせてゆさゆさと揺れるおっぱいの動きがこれまた堪らない。
(眼福ッス、生きてて良かった……!!)
ありがとう、異世界転生!
ありがとう、18禁乙女ゲーム!
彼女に背を向けると、グッ!と拳を握り締め、俺が感動の涙を流しながら打ち震えていた時の事だ。
「ルーカスさ、……んっ…!」
振り返ると、スノーホワイトちゃんが救いを求める様な目でこちらを見上げていた。
この上目遣いも堪らんわ。
あービンビン股間に来る。
スノーホワイトちゃんはしばらく一人で頑張っていたが、やるせなさそうに首を横に振る。
「これ、無理です!………一回、スイッチ、切って」
「駄目、このまま挿入 れてみて」
「そ、そんな……」
壁でヴンヴン言っているそれを後手で掴んだ格好のまま、スノーホワイトちゃんは涙目になった。
その身も世もない哀れな表情に思わず許してあげたくなるが、エロん時だけは無理だわな。俺のエンジェルホワイト、めんご。
そのままスノーホワイトちゃんの手首を掴み、その手を床に置くと彼女は一瞬だけ呆けた顔になったが、すぐに俺がさせようとしている事に気付いたらしい。
哀れっぽい顔でいやいやと頭を振る。
「駄目。手を使わないで挿入 れてごらん?」
「む、むり…」
「動きは弱にしてある。俺、そんなに難しい事言ってないと思うけどな」
「ぅぅ…っ、」
―――薬がキマっている今の彼女は、快楽へと繋がる俺の言に逆らえない。
目をギュッと瞑ると、壁で動くソレが自身の秘所に入る様に懸命に腰を動かしはじめた。
薄く開かれた唇から漏れる吐息が、ゾッとする程艶かしい。
「ん、あ、……あ、ぁぁ、ぅっ、あっ!――ぅあっっ!?」
イソギンチャクの先端がクリに当たったらしく、彼女の口から一際甲高い声が漏れる。
「あーあ、駄目だよスノーちゃん。そっちじゃないでしょ?こっちでしょ?」
「で、でも、これ、きもち、いいっ……の!」
かろうじて残っていた彼女の理性は、今の衝撃で完全に吹き飛んでしまったらしい。
「ぅっく、あっ…あ!あん!」
四つんばいだったはずの体勢はすぐに崩れ、スノーホワイトちゃんの肘と頭は床の上にズリ落ちる。
ピンとお尻だけ突き上げた体勢で、真っ赤に膨らんだお豆ちゃんを懸命にイソギンチャクに擦り付けながら喘ぐお姫様の姿は、非情に股間に来る物があった。
オニイサン、さっきから120%フルオッキなんスけど。
「っやだ、やぁ、これ、…きもち、いっ……! あ、ああっ!や、やあっ、ん!」
彼女の瞳からは既に理性の色が消え失せている。
普段は白百合の様に清楚な顔をしている少女の痴態を、俺は固唾を呑んで見守った。
「気持ち良さそうだね、スノーちゃん」
「ん、んん!ぅ、ぁっ、あ……あぁ、ん!」
「君がとっても気持ち良さそうでオニーサンも嬉しいよ、でもこれだけじゃイケないだろ?」
「ん、で、でも…っ、きもちいい、のっ!」
「そっかそっか。スノーちゃんがそんなに気に入ってくれたんなら、俺もこの玩具を買ってきた甲斐があったってもんだよ」
このまま彼女にクリオナを続けさせるのも心惹かれるものがあるのだが。――それでは本日の俺の予定とは少々趣旨がズレてしまう。
もうしばらく彼女のエッチな姿を見ていたかったが、残念ながら時間は有限だ。
俺は仕方なしに立ち上がると、ナイトテーブルの上から水晶球の様な物の中で紅い炎が揺らめく石――浮動石を手に取った。
浮動石の使い方はスノーホワイトちゃんも知っているらしく、俺の手の中で激しく振動する石に彼女の顔が強張った。
「あ、だめ、ルーカスさん、それ、ぃ…やっ、……で、す!」
浮動石とは煮えたぎる溶岩の上に浮かんでいる石の事で、この世界の活火山に行けば大抵どこにでもある石である。
水晶の様に透明な石の中では赤い炎が揺らめいているので、一見熱そうに見えるが、中で燃えているのは数万年前のマグマの残りカスという事で、触れても熱くないのがこの石の特徴である。石の大きさにもよるが、今俺が持っているゴルフボールよりやや小さいサイズの物なら、人肌程度の熱さだ。
ちなみにこの石、俺が買って来た程度の物ならば大した額ではないのだが、大きな物になるといきなり値段が跳ね上がる。
火山から取って来た浮動石を丸く削ればいっちょ上がり!と言えば簡単だが、マグマの上に浮かぶ巨大な浮動石を採って来られる人間は実はそう多くはない。
大きい物となれば暖房効果もあるので、裕福層の間でブームになった事もあるらしいが、冬が終わり夏が来ると置き場に困ると言う事で静かにそのブームは去ったのだとか。
しかしそれでも一部の裕福層の間では愛好家が多い。
宙に浮かぶ水晶球の中で炎が揺らめいているその様子は、芸術方面に疎い俺でも綺麗だなぁと思うし、大きな物になれば更にその迫力は増す。美術品としても価値が高いのも納得出来る。
話を戻そう。
浮動石とはその名の通り宙に浮かんで、良く揺れる。
その特性が生かされて、この世界の恋人達の夜のお供としてとてもメジャーな石でもあった。前世で言うなればその使用用途はピンクローターに近い。
宙に浮かぶ浮動石をこの様に手に取ると、穏かだった石の動きが急激に激しくなる。
つまり女の子のいけない場所に押し当てた瞬間、ヴヴヴ!と石が激しく振動しだして、ピンクローターみたいに使えるってワケ。
「駄目じゃないだろ?スノーちゃん、これお気にだったじゃん」
「イヤ、だめ、だめ、です、……い…まは、だめ…、」
彼女はこれに弱い。
往生際悪くやだやだと言っている彼女の身体を抑え、既にヒクヒク収縮している後孔に、先程の軟膏をたっぷりと付けた浮動石を押し込んだ。
「――――……え、…な、なに……っ?」
瞬間、スノーホワイトちゃんの口から素っ頓狂な声が上がる。
彼女は浮動石をイソギンチャクの刺激により敏感になっている花芯に当てられて、イジメられるものだと思っていたのだろう。
―――しかし。
「今夜はまだ誰にも見せてない顔を俺だけに見せて貰うよ」
「ルーカス、さん……?」
涙で洗わされた、彼女の大きな瞳が揺れる。
俺はしばらく後孔に浮動石を埋めこまれた状態のまま、クリをイソギンチャクに当てて快楽に酔い痴れるスノーホワイトちゃんの様子を観察していたが、――…ある瞬間から彼女の動きが変わった。
「あっっぅああっ……やあっ、あ、あぁ!」
後孔内で動く浮動石の動きに、クリに当てていたイソギンチャクを、蜜が溢れてやまらない場所に挿入れようと言う動きに腰の動きが変化した。
「ん、あ、やぁ…あ……っん! 熱…い……、奥が、うずうずする、よぉ……っ、」
男の俺には女体の感覚は良く判らないが、大体の女は後孔に何かしらの刺激物を入れると、前の穴の方にも欲しくなるらしい。
先程彼女の膣内に注射器で入れたクスリもかなり効いているようで、スノーホワイトちゃんの内股のあわいから、ダラダラと尋常じゃない量の愛涎が溢れ出す。
「ん、んんっぅ!あっぁぁ…、奥、ほし…い、……はい、って、おねが…いっ!っん!」
壁に備え付けられたバイブを秘所に入れようと必死に腰を動かす少女の姿に、口元に笑みが浮かぶ。
とっさに手を使おうと後に伸ばされたスノーホワイトちゃん手を掴んで床にに据え置くと、彼女は砂を噛んだ様な顔付きになった。
スノーホワイトちゃんは異世界からやってきた勇者様に「魔王に蹂躙され滅び行く世界を救って欲しい」と懇願するお姫様のような悲壮感溢れる瞳で俺を見つめるが、俺はただ口元に笑みを浮かべるだけだ。
「ルーカス、さん!」
「駄目だよ」
「や、やだ……!つらい……、つらい、よ…っ」
「ほら、一人で手を使わずに入れる事が出来たらご褒美あげるから」
「んっんんんっ!―――…あっ!ぅ、……あ、ああああああああ!?」
にゅるん!と音を立てて秘所に入ったバイブは、そのまま彼女の奥を勢い良く抉ったらしく、瞬間彼女の上体は床に崩れ落ちた。
ビクビクとスノーホワイトちゃんの身体が痙攣している。
あ、これイっちゃったな。
「良く出来ました。――じゃ、ご褒美あげような」
「ああ……ぁ、……ぅ…」
「ほら、これ好きだろ?オニーサンの、好きなだけしゃぶっていいよ?」
彼女の前で膝立ちになり、愛息子を取り出すと、スノーホワイトちゃんは虚ろな瞳のまま俺のソレを見上げて笑った。
「あはっ……」
花や星座の名前がタイトルに付いている様な詩集、はたまた聖書の類しか読んだ事のない様な清らかな唇から漏れたその小さな笑い声からは、隠しきれない肉欲の色が滲み出ていて。
自分の雄に欲情している目の前の美少女の姿に、俺の喉がゴクリと鳴る。
慣れたものでスノーホワイトちゃんはよろよろと上体を起こすと、限界まで張り詰めていた俺の物を口に含んだ。
「ん、んん……、」
(うわ、これ、持つかな……)
四つん這いのまま、うっとりとした瞳のスノーホワイトちゃんに丁寧に愛息子を愛される。ペロペロとカリ首を舐められ、先端から溢れ出していたカウパーをチュウチュウ吸われ、――あー、もうヤバイ。
つーかこの子フェラ巧すぎ。男のツボ抑えすぎ。
あっ、そんな所までペロペロされたらオニイサン、も、ダメ、やばい。やば、やば、ヤッベ、もうすぐにイっちゃいそう。ヤバイヤバイ、このままでは俺に早漏疑惑が出てしまう。ま、まだ我慢だ、イっちゃダメだ、黒炎の騎士の名にかけて。
自然と動き出した腰を見て、彼女は柔らかく微笑んだ。
それを見て俺も微笑む。
そんな甘ったるい空気の中、スノーホワイトちゃんの頭に手を置い優しく髪を梳くと、彼女は喉を撫でられた猫みたいに気持ち良さそうな顏で目を細めた。
(くぅーっ!本当に可愛いなぁ、この子!!)
「オニーサンのちんちん美味しい?」
「んっ、……おい、し……です」
「オニーサンのちんちんもオニーサン本体も好き?」
「んんっ、ルーカスさんも、ルーカスさんのおちんちんも、すき…っ!……だいすき、です!」
「大好きです」と言われて愛息子の先っぽにチューをされ、脳が沸き立つ。
今、俺の頭の中では天使が紙吹雪をまきながら、ラッパを吹いて飛んでいる。
(あー幸せ、俺、超愛されてる。)
「スノーちゃんはオニーサンのちんちんでどうされたい?どうされるのが好き?」
「これで、奥、まで、らんぼ…う、に、……グチャグチャ、されるの、スキ……好き、なの…」
フェラと言うよりも、それはキスだった。
俺の愛息子に頬づりした後、彼女はカリの部分に舌を這わせる。
「ここ、この部分、……っルーカスさ、が、引き抜く時、お腹の裏側、擦られるの、凄い、きもちよく、て……だから、たくさん、たくさ、んっ…ジュボジュボ、して、もらいた…く…って…」
はいっ!!いいですか!?
爆発します!リア充爆発しちゃいます!!
つーかお前等何でリア充が爆発するか知ってる!?幸せだからだよ!!幸せがポップコーンみたいに弾けて爆発しちゃうんだろうな!――って事で、今からリア充が爆発するので、良い子の皆は爆発に巻きこまれないようにね!!はっはっは!!
クスリを使ってるだろと野暮な事は言うなかれ。
俺の愛息子を懸命に愛してくれる彼女が愛しくて、また頭をよしよしと撫でるとスノーホワイトちゃんは俺に満面の笑顔で応えてくれた。その世界一ーーいや、宇宙一可愛い笑顔に、胸がキュゥン!と締め付けられる。でもって同時に俺の股間もズキューン!と言っている。
「スノーちゃん、好きだよ。好き、好き、可愛い、好き、大好き、好き、超愛してる」
「そゆ事、どうせ他の女の子にも、言って、るんでしょ?」
「言ってねぇし!スノーちゃんだけだよ。君以外の女の子なんてマジでどうでもいい」
俺の言葉を信じていないのか、俺の愛息子の裏筋を舐めるスノーホワイトちゃんの口元に苦笑めいた物が浮かぶ。
(これは良くない、俺の愛が疑われている)
確かにルーカスはチャラ男なのだが、彼女に対する気持ちは嘘じゃない。
俺は正真正銘彼女の事を愛してる。現にこんな気持ち、彼女に会うまで知らなかった。
王都に残して来た彼女達とは別れて、セフレ達も全員切ろうと真剣に思っていた所だ。
(困ったなぁ…)
ふと、俺は自分の手の中にあるバイブのスイッチの存在を思い出す。
ちなみに彼女の中の浮動石もイソギンチャクバイブもまだ止まっていない。
スノーホワイトちゃんは一度に全ての穴を攻められて、7人の恋人に輪姦されている味を思い出したのかもしれない。
理性の色が完全に消え失せた虚ろな目が、溶かしたキャラメルみたいに甘く蕩けてとろんとしている。
―――やはり予定通り、身体で陥落させてやるのが一番良さそうだ。
「これだけじゃやっぱスノーちゃんは物足りないか?」
「……?」
手に持っていたスイッチで、壁のイソギンチャクバイブを”強”にした。瞬間――、
「ひあっ!?ぁ、……ぅぁ、あぁぁあああああ――――っ!!」
その刺激に耐え切れず、俺の物から口を外すと頭を床に擦り付けながらただ喘ぐスノーホワイトちゃんの顎を持ち上げる。
「初めてした時から知ってたけど、――やっぱ君、二穴攻めされんの好きっしょ?」
焦点の合っていない瞳と視線を合わせてニッと笑う。
「あ!ぁっ、あぁ…ッん!……ち、ちがう、の…!」
「君の体に負担をかけないように、一日一人一回こっきりって事になってるけど。実はこれ、一番不満なのはスノーちゃんなんじゃないの?」
「ちが、ちが、ん! ンンっ、ふぁ……っぅ!」
「違うの?」
「ん、ぅん!……ちが、ちが……っん、んん!」
「じゃさ、なんでそんなに腰振ってんの?」
「え……?」
どうやら無意識だったらしい。
スノーホワイトちゃんの虚ろな目が一瞬光りを取り戻すのと同時に、彼女の顔が真っ赤に染まった。
「いいんだよ、あいつらには内緒にしてやるから、もっかいそれでいっちゃいな」
「ルーカスさん、やだ、もう…!こんなので、これで、イキたくな、い!」
「なんで?」
「さみし…い、の!ひとりでイクの、さみし…い!これ、も…や、やだ、やだ!ルーカスさんのが、いい……っ!ルーカスさんと、いっしょに、イキた、い…!」
可愛い事を言ってくれる。
さっさと俺を満足させてこの責め苦から早めに解放される為の方便なのだろうが、一瞬どうしようか真剣に考えてしまった。
「だめ、一回それでイってからな」
「う、ううぅッ!」
観念した様に彼女は頭を下げる。
彼女の頬を伝い、汗と交じり合ってボタボタと零れ落ちた水滴が、床の深紺の絨毯に染みを作る。
「も、やだぁ!……さ、さみしい、よぉ……っぅ、んん! ギュって、抱っこして…ほしい…!!」
「ほら、俺も手伝ってやるから」
彼女の下腹の奥に手を伸ばす。
宥める様に花芯に触れた瞬間、びくんと彼女の肩が震えた。
「スノーちゃん、」
顎を伝う涎ごと舐め取って、唇を深く重ねる。
口腔内で所在無げに震えていた舌を絡め取り、唾液ごと吸い上げて至近距離でジッと彼女の目を見つめると、彼女は恥じらう様に俺から視線を反らして瞳を伏せた。
長いキスが終わった後、出来るだけ優しい声を出しながら彼女の髪を一束手に取って、そっと口付ける。
「上手にイク事が出来たら、ベッドの上で沢山抱っこして可愛いがってあげるから。――だから、オニーサンと一緒に頑張ろ?」
あれから俺は壁のバイブで、ワンワンスタイルのまま彼女に何度も絶頂を迎える事を強要した。
最初は一回だけと言う約束だったが、調子にのってそのまま何度も奥 でイかせた。
普段のスノーホワイトちゃんなら「話が違う!」と文句が出て来る所だろうが、クスリがキマっているからだろう。文句らしい文句は出てこなかった。
もしかしたら何かしら文句は言っていたのかもしれないが、俺からしてみればそれも劣情を擽る嬌声でしかなかった。
普段の彼女ならば快楽よりも羞恥の方が勝る体位とプレイであろうが、今夜の彼女は俺の与える快楽を従順に受け取りよがりまくっていた。――と言うか、最後の方は彼女の人格そのものが崩壊していた気がする。
今夜のスノーホワイトちゃんの乱れ狂いっぷりは最高だった。
気をやって床の上にぐったりと突っ伏した彼女を優しく抱き上げて、ベッドの上まで運ぶ。
実はまだ俺は一度もイっていないのだが、今日はこのまま終わりにしてやるべきかなと思ったその時、――彼女の目が薄っすらと開いた。
「ルーカス、さん、……私、ちゃんと上手に、イケた、でしょう? ごほうび、キス、して?」
―――俺の首に腕を回すその瞳からは、まだ情欲の炎が消えていない。
(やっぱ最高だよ、あんた)
―――駄目だ。今夜はもう手加減出来そうにない。
「ベッドで沢山愛してやるって、約束したもんな」
「ふぁ、……っ、ルーカス、さ…ん!……っんんんん!」
そのまま彼女の上に覆い被さると彼女の柔かな唇を塞ぎ、既にグズグズに蕩けているその場所に一気に愛息子を捩じ込んだ。
あー、やっぱ最高にキモチイイ。
今、俺の下で俺の息子で感じてくれてるこの子が好き過ぎて仕方ねぇよ。
俺さぁ、今このまま死んでもいいや。そん位幸せ。生きてて良かった。産まれて来て良かった。俺、もうこの際一生一穴主義に鞍替えするわ。この子とエッチ出来ればもう他の女とエッチなんて一生しなくていい。王都に戻ったら彼女達とは全員ちゃんと別れるから。マジ。
「これ、確か好きだったよな!?」
「ひあ!……あ、あぁっん!……る、るーかす、さん!待って!?」
太股を持ち上げ、上から突き刺す様に穿ちはじめると、お姫様のとろけた瞳に戸惑いの色が浮かぶ。
「っや、やん!あ、あっ……あ、あの!お尻の、ぬかない、の……!?」
彼女は浮動石の事を言っているのだろうが、あれを女の子のお尻に入れたまま前にちんこ突っ込むと、薄い肉壁越しにこっちにもブルブル震度が伝わって来て、マジ最高なんだよね。
「抜かない方がいいだろ?」
「そん…な!……や、んん…っ…ん!…いや……っぅ、や、やめ…!」
勿論悦いのは俺だけじゃない。
スノーホワイトちゃんの声は甘さが駄々漏れで、もう言の葉は形も取り留めていない。
複数の男に愛される事に慣れてしまった彼女の体は、前にも後にも刺激がない満足出来ない、とってもいやらしい体になってしまった。
「君のベッドの中の”ヤダ”は”イイ”だから、聞いてあげない」
「な!ばか!も……へんたっ、――ん、んぐぐっ!!」
俺はスノーホワイトちゃんの細い顎を掴むと、紅を注さなくても紅い、愛欲で濡れなずんで光る唇を強引に抉じ開けて彼女の文句をも飲み込んだ。
そうしている間にももう片方の手では彼女の胸を揉み上げ、容赦なく胸の頂きを攻めだすと、スノーホワイトちゃんは切な気に眉を寄せる。
「オニーサン体力には自信あっからね、こうなったら今夜は朝までノンストップコースな」
「そん、な……、やだ、ム、ムリ……っ」
「……お姫様、あんたが俺をマジにさせたんだ。責任とれよ」
「っ…ん…、ぁ……あ、ちょっと、ま、待っ……、――――…い…っいやぁ、……い、イヤあああああああああああああ!!!!」
****
―――それから。
調子に乗りまくって朝までノンストップで彼女を攻めた俺は、お姫様のお怒りを買ってしまった。
酔いが覚めて薬が切れた後、賢い彼女はすぐに俺に媚薬を使われた事に気が付いた。
そして芋づる式に予め性具の類もセットされていた事に気付き、あの晩の流れは俺の計画的犯行だった事にも気付いてしまい――、
「ね、ね?もうそろそろ許してよー。マイスイートエンジェル、ハニーホワイトちゃん?」
「フン」
彼女の前で腰を低くした状態のまま、両手を擦り合わせて何度も頭を下げるが、スノーホワイトちゃんは冷たい。
へこへこ頭を下げながら、洗濯物を取り込んだ籠を持って歩く彼女の後を金魚の糞よろしく着いて行く俺を見て、表で剣の素振りをしていたエミリオ様が呆れ顔となった。
「スノーちゃんパンケーキ好き? 実はさぁ、俺、世界で一番美味いパンケーキ出す店知ってんだよねー、ね、良かったら今度デートしようぜ?」
世界一美味いパンケーキを出す店に反応したのか、家のドアを開けるスノーホワイトちゃんの手が止まる。
恐る恐る彼女の顔を覗き込んで見ると、顰めっ面が少しだけ緩んでいる。
「決まり決まり!善は急げだ、早速デートしよう!な!な?」
「で、デートなんてしません!私、今忙しいんです!」
彼女はすぐにまた不機嫌そうな顔になると、俺からプイっと顔を背けた。
そのまますたこらさっさと早歩きで室内に入る彼女の後を、俺は自分でも情けないと思う声を出しながら着いて行く。
「そんなぁ、本当は行きたいんじゃないの!?オニーサン、何でも奢ってあげるよ!!」
「ダイエット中なので結構です」
「ダイエットなんてする必要ないって!君全然細いじゃん!!これ以上完璧になってどうすんの!?」
「……断る為の口実だって気付いてくれませんか?」
「あーあー、聞こえない聞こえなーい。おっ、今日のイヤリング、カチューシャと超合ってる!流石俺のピュアホワイトちんだわー、マジ可愛いわー」
「……あの、ルーカスさん」
「はいはい、姫の騎士ルーカスさんはここですよー!ここにいますよーっ!!」
「……私の後、着いてこないでくれませんか?」
「えっ?」
「さっきから家事の邪魔で仕方ないんですけど」
ああ、この冷たい眼差し…!
俺、なんだかマゾに目覚めちゃいそう…!!
スノーホワイトちゃんクラスの美少女になると怒った顔も超絶可愛いんだけど!怒った顔だけでヌけるんだけど!
そろそろオニーサンのガラスハートが罅割れてしまいそうです!
お願いだからもうちょっと優しくして!?
ニードルウサギは優しく角をナデナデされないと死んじゃうんだよ!?
オニーサンもそろそろ股間の角を君に優しくナデナデされないと死んじゃいそう!!
スノーホワイトちゃんは白けた瞳で、暖炉の中の灰を掻き出していた文官の坊やを振り返る。
「ああそうだわ、エル、お芋の皮を剥くの手伝ってくれる?」
「喜んで。スノーホワイト、困った事があったら何でも僕に言ってね?愛する君の頼みなら、僕、何だってきいてあげるから」
「ありがとう、エル」
「スノーちゃん!話し合おう、話せばきっと分かり合えるから!――あっ、俺、実は今超芋の皮剥きたい気分だったんだよね!!オニーサンも芋の皮くらいなら剥けるよ!?やった事ないけど、多分超得意だよ!!職人並だよ!?」
「エル、早く行きましょう」
「じゃあね、ルーカスさん」
「そんなぁ……」
スノーホワイトちゃんに冷たく一掃される俺を見て、ニヤニヤ嗤っている他の男達の顔がまた癪に障る。
(つーか何。何。何なの今の文官のあの目!あの笑顔!?)
あの坊や、今、俺の事鼻で嗤いやがったよ、ちっくしょう……。
年下の分際で生意気だろ、流石鬼畜宰相の弟だよ……。
―――翌朝。
俺はスノーホワイトちゃんの朝食作りの準備を手伝って機嫌を取ろうと、早起きをしてキッチンに駆けつけた。
彼女の朝食当番の日に早起きすれば、あの坊やの邪魔は入らないだろう。
文官の坊ちゃんは低血圧で朝が苦手だ。
ふんふん鼻歌を歌いながらスープ鍋を搔き混ぜるスノーホワイトちゃんの背後に、忍び足でそっと近付く。
「若い人妻が、僕を攻める~♪」
スノーホワイトちゃんの可憐なお口から飛び出した事がにわかに信じられないその酷い歌詞に、俺の足がぴたりと止まる。
―――って。
(…………今、何て言った?)
それは聞き覚えのあるフレーズだった。
―――その歌は、下村茂 が小学生の頃クラスで大流行した歌だ。
この歌をこの世界の住人が知っている訳がない。――何故ならば、この歌は俺が通っていた東小の校歌の替え歌なのだ。
全校朝会で暇を持て余したアキラが校歌の替え歌を作り、それが学校中に爆発的に広まった。……そういやあの頃のアキラは本当に輝いていたな、なんであんなキモオタになってしまったのか。
校歌斉唱の時、そちらの変え歌の方を歌い出す男子生徒が増えて、担任の女教師どころか頭髪の薄い校長までマジ泣きていた当時の事が、今は随分昔の事の様に思える。
(まさか、スノーホワイトちゃんも転生者……?)
だとすると近い。
前世、限りなく下村茂の近くにいた人間になる。――少なくとも東小に通っていた生徒で、俺やアキラ達が在学している間の生徒である可能性が非常に高くなる。もしくはその兄弟や父兄など、どちらにせよ下村茂に近しい人間だ。
俺は気配を押し殺し、キッチンのドアの前で聞き耳を立てて彼女の歌の続きを聞いた。――そして、確信する。
(――――この子は、スノーホワイトちゃんは、――……俺と同じ転生者だ。)
替え歌を2番までサラリと歌い上げた彼女に、俺は愕然とした。
いくら全校で流行ったと言え、他のクラスや学年の生徒はここまでしっかりと歌詞を覚えているはずがないのだ。
聞き馴染んだ校歌にのせた馬鹿な歌詞のせいで、暗記しやすい歌である事は確かなのだが、他のクラスや学年によって、歌詞の細部はアキラが作った替え歌とは少々違った形で伝搬した。
この替え歌のオリジナルの歌詞をここまでしっかり覚えているのは、俺やアキラと同じ4―Aの元クラスメイトの確率が高い。
(いったい誰なんだ……?)
いや、同じクラスメイトだって、小学生の頃流行った替え歌なんてもう細部まで覚えていないだろう。
「パーリラパリラ、パーリラパーリラ~、フンフンフン♪」
(まさか…。)
このやたら回転の多い振り付け。当時流行っていた男性アイドルユニットの真似をした、格好付けた腰振りと意味不明な流し目。要所要所にある謎のジャンプと謎のステップ。今思うとクソだっせーキメポーズ。――…俺は、自分以外にこれをここまで完璧に踊れる人間を、この世でただ一人しか知らない。
―――休み時間や放課後、振り付けを毎日一緒に考えたあいつしか有り得ない。
全身から力が抜けたその時、スノーホワイトちゃんの歌と踊りも止まった。
「あれ?……んー、んーっと、三番はここ何だっけ」
顎に手を当てながら真剣に考えるその後姿は、確かにリンゲイン独立共和国の深層の姫君のはずなのに。俺の恋したお姫様のはずなのに。――…それなのに。もう、俺には下村茂の幼馴染のオタクにしか見えなくなっていた。
「ええっと、……エロい人妻?若い人妻?」
・・・・・。
―――一瞬躊躇ったが、
「1番が若い人妻で2番が飢えた人妻、3番がエロい新妻だろ」
「そうだそれだ!!」
俺を振り返ったスノーホワイトちゃんの顔に驚愕の色が走る。
「ルーカスさん、……な、なんで…?」
なんでだって?
そんなの聞きたいのはこっちの方だ。
「お前、アキラだろ?」
スノーホワイトちゃんの瞳が、限界まで大きく開かれる。
「なに…を……、」
彼女の声は擦れていた。
「三浦晃18歳、性別男、千葉県松戸市に産まれる。母親の名前は三浦穂波、双子の姉の名前は三浦亜姫。三人家族の長男でオタク。純日本人。――だと思ってたけど実は違うのかも。肌はやたら白かったし。そういやお前、幼稚園入る前までは髪の色は金髪に近かったよな?今思えば目の色も日本人にしてはやけに茶色なんだよ。アキの方は髪も目も昔から真っ黒だったけど」
「なに、言って……?」
「誕生日は8月01日のやおいDAY。『どきどきメモリアル』の二次乃サキが好き。あとは『マリアンヌ様がみてる』の白薔薇ファミリー、『神無月の婿』の巫女さん、『ご注文はうなぎですか』のうなぎ屋のメイド。あー、あとはなんだっけ?」
「お前、誰だ……?」
彼女の瞳が不安気に揺れる。
一歩後によろめき、後退するスノーホワイトちゃんの方へ一歩足を踏み出す。
(やっぱり、こいつ、アキラだ…)
彼女はあたふたと周りを見回してどこかに逃げられないか確認するが、狭いキッチン内には逃げる場所なんかない。
入口は俺に塞がれている。
「やっぱり。――お前、アキラだよな!アキラなんだろ!?」
「や、だ、何を言ってるか分からない!!」
「分かんだろ!てめ、絶対分かってんだろうが!?」
「いや、……こないで、やめて、ルーカスさん…!」
ドン!
キッチンの奥まで追い詰められた彼女の背中が壁にぶつかった。
細い手首を掴んで捻り上げると、彼女は大きく息を飲む。
「ルーカスじゃねえ!――…俺は、俺の名前は、……シゲルだ、下村茂だ!!」
「シゲルって、……まさか、下の村?」
「そうだよ、下村茂だよ!」
「え、…………うええええええええええええええ――――っ!!!?」
彼女の叫び声が、狭いキッチンに響き渡った。
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